炊き出しと県庁訪問でみえてきた、岩手被災地の現況と今後の展望、そして俺たちにできること。
そして盛岡へ移動、ちょっとだけホテルで休んで県庁の流通課へ。いままでずっと短角牛の支援で足を運んでいたのに、今 彼らは被災地への物資供給の仕事でおおわらわなのである。県庁の人たちはよくやっている、と思う。
ロレオール伊藤さんとアル・ケッチァーノ奥田さんも合流し、意見交換。以下要約を。
※以下は僕の印象も混じっているのでご了承ください。
- 現在、約47000人の被災者を把握。23000人程度が避難所に寝泊まりをしている。そのほか25000人程度は、避難所ではなく自宅などが残っておりそこに起居し、食事をとりに避難所に通うという感じ。
- 仮設住宅を18000戸建てる計画で、4月にようやく3000戸できるかな、という状態。これから気温が上がっていき、衛生問題やストレスなどが大変な状況になってくるので、急ピッチで進めなければならない。けれども、もともと中山間地が多かった沿岸部のため、土地確保も大変。
- 食料の供給は、量的にはだんだんと充足してきた。質的にはこれから。
- 動脈的物流としては、県の催事場であるアピオという施設に米・青果物・畜産物などを地元の卸から集め、それを各避難所に10tトラックで配送している。細かいニーズに対応できるようなピッキング体制はできていない。ちなみにこれら物資は県が買っている。被災地に関する法律で国から補助金が出ることになっているけれども、いつまで、どれくらい出るかわからないので、県としてひやひやしながらやっている。
- これとは別に、民間NPOや救援物資が各避難所に配送されるケースもあるが、この辺の把握はできていない。県の方は動脈物流で手一杯という印象を受けた。このため、一部の避難所では食料が余っていて腐っているという状況もある。どうも「とにかく食べるものをどかっと送る!」という時期は過ぎたような印象だ。
- 阪神大震災との違いは、単純に広さ。今回はあまりに広い面積で被災しており、車なども流されたため、被災者が自由に圏外移動する手段すらない。岩手県で車がなければ何もできない。このため被災者のストレスがじわじわと溜まってきている。
- 今一番の問題は、冷蔵・冷凍設備がどこの避難所にもないこと。このため、せっかくの食料も管理できず腐っているものも多い。冷凍コンテナなどを手配中だが、電源確保なども同時に進めなければならないので時間が少しかかる。わかるだけで60カ所以上の避難所があるので、それらすべてに大きな冷凍施設を入れるのが難しい。かといって冷蔵庫を多量に送ってもらっても、物流が混乱するので交通整理しながらやっている。
- 避難所によってリーダー的役割をする人がいたりいなかったり。その力量によってもまとまりに差が出る。リーダーが細かく動ける避難所だと、栄養面での充足もあったりする。けれどもこればかりはコントロールできることではないので仕方がない面もある。
- 炊き出しについては非常にありがたいが、現地のコーディネーター的存在と緊密に連携しながらやって欲しい。食事機会が重複したり、連絡行き違いも結構あるようだ。
- いまのところ炊き出しは①住んでいる人たちが自主的に行う②ボランティアが行う③自衛隊が炊き出ししているの3パターンがある。 自衛隊の人たちはすごい。サバイバル行動ノウハウが違う。けれどもいつまでも甘えられる訳ではないので、撤退されてからが不安でもある。
重要なこと:
- 物資をむやみにどかどか送る時期は過ぎたようです。必要なものを窓口に聞いた上で必要量だけ届けるというやりかたでないと、受け入れ側の物流が混乱してしまう可能性大。
というところで、今日は俺の愛する牛に会うためこれから出発します。時間ができたら追記します。まだまだあるんだ。