岩手県の銘柄牛といえば前沢牛。その本拠地に牛の博物館と「ロレオール」あり!

2010年12月 9日 from 出張,食材

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一関駅に着くと、懐かしい坂田さんが迎えに来てくれていた。坂田さんは岩手県の畜産、というより牛の専門家で、以前は本庁でプレミアム短角牛の担当をしていた。それがいきなりの人事で、今度は霜降り牛肉ど真ん中といえる県南に配属。

「黒毛の相手をしています(笑)」

という状況になっているわけだ。人生(いや人事か)ってどうなるかホントにわからない。

で、初めて前沢の地に入った。前沢牛の定義は、岩手県奥州市前沢区に起居する生産者が育てた黒毛和種で、生産者が1年以上肥育したものであり、肉質等階級がA4かA5,またB4かB5であることとなっている。そして定義には書かれていないけれども、性別は去勢牛(つまりオス)で、32ヶ月齢くらいは買うことと言うのが不文律になっているらしい。

奥州市には牛の育種をする試験場があり、そして牛の博物館という施設も存在する。どっちともみてみたいものだけれども時間がない。

「けど、牛の博物館の隣にあるレストランで今日は昼を食べていただきます。ここの伊藤シェフってのが素晴らしい方で、地元食材を中心に料理をしてくれているんですよ!」

 

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■ロレオール
岩手県奥州市前沢区字南陣場103-1
0197-56-3324

このレストラン、高台に建っていて絶景である!

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紹介してもらった伊藤勝康シェフは、実にきさくな人だった!

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フレンチ畑の伊藤シェフはもともと千葉出身。出張料理人としてのキャリアも持っているそうだ。

「岩手はねぇ、地味に見えるけど食材がすごく豊富なんですよ。海産物にも肉にも恵まれてる。それをね、きちんと料理にして出してあげないといけない。」

僕もそう思う。東北六県の中で、山形ではアル・ケッチャーノ、青森ではレストラン山崎やダ・サスィーノなどの「ご当地食材料理」を得意とするレストランが活躍しているが、岩手はそういうのが非常に少ないのだ。これだけ食文化の幅が広いのに、、、

「県の面積が広すぎて、ちょっと散発的になってるんですかね」と坂田さん。そうかもしれないね、岩手一県で四国に匹敵する面積を持っているから、藩政時代の南部藩・伊達藩の文化が入り交じり、沿岸部から内陸まで有するため、いろんなものがあるけれども逆に統一感がなく、間延びして見えるという感もある。

「まあでもこのあたりは畜産が盛んだし、いろいろやっていこうと思ってるんですよ!」

シェフはこのあたりで取り組まれている食材はほとんど導入し、メニュー化を試みているそうだ。これは非常に楽しみ!

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ランチはかなりお得な価格。前菜はビュッフェスタイルで野菜中心の料理が並び、それにメインを何にするかをセレクトする。

しかしなぁ、やっぱり前沢に来て、これから前沢牛に取り組む生産者さんたちと会うんだからなぁ、と思ってここは前沢牛サーロインステーキランチ(自腹です)を食べないとね!

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前菜ビュッフェはかなり充実!野菜中心の料理はすべてこの辺で穫れた食材ばかり。

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この、キャベツの米粉ソースグラタンが実に美味しかった!

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盛りつけ汚くてスミマセン。中央のフリットは、イサダとかいう、アミみたいな小さな海老を使ったもの。初めて食べた、、、

あ、ちなみにこの人が坂田さんです。

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熱血獣医師の彼が現場に来て直面しているのは、牛肉振興の難しさ。景気のせいだかなんだかわからないけど、肉の単価も下がり気味だし、農家に明るい話題はない。

「けど、そんなことより地元の人が地元の肉を食べて楽しむっていうことをやらないといけない!」

ということに気づき、この「いわて県南ブランド牛スタンプラリー」なるキャンペーンを企画。県南地域の42店舗が共同してのイベントで、前沢に限らず銘柄牛肉を食べて、3店舗分のスタンプを集めて応募すると、58人にステーキ肉などの豪華賞品が当たるというものだ。関心のある人はぜひご参加を!

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美味しいコンソメをはさみながら、来ました前沢牛!

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こちらは坂田さんが頼んだ薄切り肉のソテーのランチ。こっちも旨そう!

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ソースをかけてもらっていざ、いただきます。

前沢牛と名乗るからには、肉質等級は4番または5番。すっげーくどい脂なんだろうなぁと思いつつ肉を口に運ぶが、伊藤シェフは筋のいい個体を仕入れているのだろうか、それほどくどさがない。焼き加減をミディアムにしてもらったので多少脂が流れてくれたのか、久しぶりに「黒毛もやっぱり旨いねぇ」と思うことができる肉だった。

しかし!

「これ、食べて。ジャージー牛の仔牛が入ったんだけど、美味しいんですよ!」

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乳用種であるジャージー牛にもオスが産まれる。オスは乳を出さないから肉に回るが、これを仔牛で出荷しているところがあるらしい。ソースは仔牛のフォンドボー、シェフが採ってきた黒いコウタケが添えられている。

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いやはや、このジャージー仔牛の旨さにびっくり! ジャージー牛が肉として美味しいということはよーく識っているけれども、仔牛段階の肉も実に旨いね!なぜかミルキーな香り、ぶるんとフレッシュさを感じる食感!ソースも潔いさわやかな旨みを感じる。

ちなみに肉の火入れには南部鉄器を使用したパンを使っているそうだ。なるほどね、じんわり火を入れるわけだ。

いやぁ、前沢牛もいいけど、やっぱり深めていくべきはこっちの路線でしょ!

「まあ、メニューに載ってないのもいろいろやってますから、、、」

ということなので、ここを訪れる際にはぜひ、いわての食材で冒険して欲しいと予約の時に頼んだ方がいいと思う(もちろん夜のメニューで、ですよ)。

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伊藤シェフ、今度は夜に行きますから、のたうちまわるほどたっぷり料理お願いします。

美味しかった!