やまけんの出張食い倒れ日記

福岡・八女地域の食の至宝「芋まんじゅう」にはまだバリエーションがあった!驚きと喜びの週末筑後訪問記 ニコンD7000で撮ってます。

DSC_3308

なるべく、土日の週末には出張を入れないことにしている。あまりに休みが取れず身体がどうにかなってしまいそうだからだが、どうしても断れない講演で八女に向かう。

まだ全部書き終わってないのだけれども、しばらく前の八女編でこの地域の伝統色である里芋まんじゅうを取り上げた。塩でゆでた里芋を、地の小麦粉に米粉を少し混ぜた生地で包み、蒸し上げた素朴なおまんじゅうだ。これが本当に絶妙な美味しさで、一発で参ってしまった。第一、塩茹でで里芋を食べるということはあまりないわけだが、塩味だけで本当に美味しくゆだるのだ。それが具になった、ぶっきらぼうな蒸しまんじゅう。古くからの麦作地帯である福岡の真骨頂といっていい味だ。

しかもバリエーションがある。里芋が穫れない時期は、ジャガイモを具にする。このときジャガイモは塩ではなく醤油で甘辛く煮染めるのがミソ。芋の特性に合わせて味を変えるわけだろうが、ばっちり決まって美味しい。

ところがどっこい、芋まんじゅうはこの二つだけではなかったのだ!

DSC_3201

羽犬塚駅前のちゃんこ屋。カブの煮物が出てきたが、このカブは店が所有する畑でとれたものだそうだ。

DSC_3215

ちゃんこをいただきながら、農協の皆さんとの話は八女の郷土食をテーマに、盛り上がってきた。

DSC_3220

「そうですか、里芋まんじゅうはそんなに印象に残りましたかぁ。私らが子供の頃は、おやつといえばアレですし、農作業の手伝いをするとき、こびるというんですか、飯代わりに食べたのもアレでした。」

そうですかそうですか、やっぱりそうなんですねぇ、、、

「そうそう、あの唐芋が何とも言えず甘くて、、、」

ん?唐芋? 里芋まんじゅうですよね?

「あー 山本さん、里芋を入れるのはね、八女の山の方の文化なんですよ。私らはホラ、合併して八女になったけど、筑後という町だから。ひら場の芋まんじゅうはね、唐芋(さつまいも)なんですよ。」

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
サツマイモバージョンもあるのかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

「そうそう、私らが食べるのは芋しか入ってないけど、お客さん向けにはあんこいれたりしてね」

え?それって熊本県でよく出てくる「いきなり団子」じゃないですか?

「ああそうそう、こっちでも言うよ、いきなり団子。けど、麦作地帯のこの辺じゃホント昔から作ってたからねー。熊本だけにあった訳じゃないと思うよ。」

いやー もうこれはホントにびっくり。こんど農文協の聞き書き郷土食シリーズの筑後編と熊本編を読んでみようと思ったのである。

DSC_3227

しかもこのセンター長が言うのだ。

「あのですねー 唐芋まんじゅうに「ガニ漬け」をちょいっとつけて食べるのが本当にうまいんですよぉ」

ええええっ ガニ漬けって、あの沢ガニや海ガニを砕いて、唐辛子と麹で発酵させたあれですか!?

「そうそう。この辺じゃ沢ガニだね。春になって冬眠から冷めて、まだミミズとかを食ってないやつを捕まえて漬けるんですよ。餌を食べ始めちゃうと老廃物がでてダメなのね。ちょっと形が残るくらいに砕いて漬ける。はさみの部分は先に外しておいて、漬け込むときに戻すんだ。んで、ハサミの部分はカリッと食感を楽しむ。」

うーーーーーーーーーーーーーーん

食べてみたい、、、 でもこの時期にはもうほとんど家のガニ漬けは残っていない、または固形物がない状態のものしか残っていないそうだ。ぜひその唐芋まんじゅうにガニ漬けをちょいと漬けて食べるというのを、いつの日かやってみたいものだと思う。

さて、その夜は久留米・八女地域の悪友どもと再会。

DSC_3239

地元の酒造である「繁升」の親戚筋ということもあって、繁升の酒は全部並ぶという朝日屋酒店。

DSC_3238

DSC_3240

主人の高橋君の趣味で、全国の選りすぐった佳い食材や調味料が並ぶ。

DSC_3235

DSC_3242

彼のお薦め店・町屋の内装を改築して金土日だけ営業しているカフェ「スコシ」へ。

DSC_3243

小さな戸をくぐると、、、

DSC_3246

DSC_3247

暖かで豊かな空間が広がっている。

DSC_3248

DSC_3260

夜だけど、酒を飲まなくでも大丈夫。フレンチプレスで入れてくれる美味しいコーヒーもあり。

DSC_3261

DSC_3253

気の利いたご飯もあり。

DSC_3255

そして悪ガキども勢揃い。

DSC_3287

左から高橋君、自然食品店を営む産直や蔵肆の鶴久いたる君、そして肥料屋のトミマツ。それと、原木椎茸でやっていけないかと模索中のシイタケ君。

DSC_3285

彼が持ってきてくれた、軽く干したシイタケを揚げたスナック。

DSC_3284

これがなかなかいい!グアニル酸の味・満開である。でも味付けに市販の塩コショーをいれるのはイカンよきみ。アミノ酸の味になっちゃうじゃん。

DSC_3289

栗は、低温貯蔵で甘みを出したもの。

DSC_3266

たまには、酒を飲まない夜もいいもんだ、、、

DSC_3292

さてその翌日、晴れ渡った空の下、JAのセンター広場を開放してのお祭り。

DSC_3302

DSC_3324

DSC_3299

「あらぁ先生、昨日、唐芋まんじゅうが食べたいって言うから、生産者のシンコさんにお願いして作ってもらったわよ!」

えっ マジですか?

DSC_3298

まだほかほかの唐芋まんじゅう。中が黒いのはあんこが入ってるバージョン?

「そうね。これはあんこが入ってるごちそうバージョンね!」

うれしくなって、役員室に入るなりかぶりつく。

DSC_3304

やっぱりこの辺の粉を作っているからだろうか、淡い色がついて食をそそる。ガブッとやると、存外に甘い中身。それもあんこの甘さだけじゃない。サツマイモの香りを伴った甘さが!

DSC_3308

これは美味しい、、、見ての通りあんこはほんのちょびっと。これはあくまでサツマイモの美味しさを主役としたまんじゅうなのだ!立て続けに3個食べてしまいました。

DSC_3309

普及員のとわたさんもかぶりつく。

「僕はこの辺の出身じゃありませんけど、でもよう食ってましたね~ もちろんあんこナシが普通でした。」

うーむやっぱりこの芋まんじゅうという文化は素晴らしい!ということも織り交ぜて、300人くらいの生産者の皆さんにお話。終わると、婦人部が今日、無料で来場客に振る舞うだんご汁と混ぜご飯が!

DSC_3314

だんご汁は、いってみればすいとんのようなものだが、練った小麦の生地をヘラのようなもので切って鍋に入れるのが特徴らしい。残念ながらそのシーンは見られなかった、、、

DSC_3320

それにしてもニコンD7000、すごい中級機です。ごらんのとおり、湯気の微細な粒状感までハッキリ写る、、、

DSC_3321

混ぜご飯がまた美味しい!こんにゃくが入ってなくて助かった、、、

DSC_3323

外に出ると、さっきのサツマイモまんじゅうを作ってくれたシンコさんが居た。

DSC_3335

シンコさんが手にしているのはじつはジャガイモまんじゅう。ナス部会長の奥様がみんなのおやつ用に作ってきたジャガイモまんじゅうである。

DSC_3330

DSC_3331

いやもうしびれるよね、、、

予言するけど、俺はまたこの地に来て、芋まんじゅうの研究(食べるだけですが、、、(笑))をしたいと思う。

八女の皆様、ほんと美味しかったです。ごちそうさまでした!