宮崎の夜は、製造メーカーさんや行政、そのほか関係者など色んな人たちと廻ることになるんだけど、一時間の後にスナック美和までご一緒して、そこで解散ということが多い。しかし僕と数人(宮田武虎とか)は「この後」もある。釜揚げうどんの「織田薪」または「CORNER」でカレーというのが多いんだけど、この日はまだ行ったことがなかったうどん屋さんへ。
識らなかった、、、いままで何回も通っていたのに、入ったこと無かったです。実は今回の仕事で、この界隈に鰹節や昆布などの海産物を卸している業者さんがいらっしゃったのだ。曰く、宮崎のうどんは鰹節を割と強めに煮出すことになるので、厚めに削らねばならない。が、そのちょうどいい厚さ(宮崎オリジナルだそうだ)に削ってくれる業者さんがいないらしく、そこで装置を導入して時前で削り、納品しているという。
その方が「五味八珍という店、うちが卸させていただいてますけど、美味しいですよ。ただの釜揚げじゃなくて、最初に卵を椀にわったところに青ネギをどっさりいれて、うどんをつけるというスタイルなんです」
え?それっていわゆるさぬきうどんの釜玉?と思ったが違うという。これはいかねばなるまい~ということで出陣したのです。
宮崎県人の〆はラーメンにあらず。暖かい気候でラーメンみたいな脂っこいものはあんまり食べる気にならないということだろうか。なので、飲み屋街にはこうした釜揚げうどんの店がかなり連立しているわけだ。
品書きはうどんとそば、お茶漬け。もちろん躊躇なく大盛りでお願いします。
ちゃんと生麺が鍋に入ります。
麺がゆだるまでの間を黙って待っていてはいけない。目の前に出されたこのセットを臨戦態勢にもっていかねばならないのである。その手順はこちら。
これがですね、初めてだと面食らうのですよ。だって順序が、
「まず卵→ネギとワサビ→それからめんつゆ」
という順序。へええええええええええええええええええええええ
それにですな、青ネギとワサビの量が結構なもんなのですよ。ワサビこんなに入れていいの?すっげー辛くなるんじゃないの?と心配になるのだが、連れてきてくれた六さんが「大丈夫なので、全部入れてください」とおっしゃる。
かき玉状にした。まだ生です。
さてここにゆであがったうどんがどんぶりに盛られ(山盛りだけど、上げ底になってるからね、念のため)て出てくる。その横に出された小とっくりがめんつゆだ。
これがポイント。このめんつゆのとっくりは激烈に熱い!
「おしぼりでもってください」
と言われる。おしぼり一重にして持つが、それでも熱い!これをさきの卵ネギワサビ汁へ注ぎ込むっ!
そうかそういうことか!
これにより卵には半熟まではいかないものの、火が入る。その加減たるや非常に精妙。固まらず、しかしまろやかさが汁全体にいきわたるような、そんな感じ。
そしてこの熱さと卵の油脂分が、ワサビのヅンと鼻に来る揮発成分を飛ばすのだろうか、強すぎる辛みが消えるのである!
ごらんのように、釜玉のような状態ではなく、あくまで汁は液体のままである。すすりこんでみると、宮崎デフォルトのコシなし柔らかさ。それにイリコや節ベースで甘辛さの濃い出しが、卵の援軍を得たことでうま味を増幅させている!
こりぁ 旨いね! そして実にオリジナル!
「うどん湯です」
と出された徳利のゆで汁をこのつゆに入れて美味しくいただく。
次回から、宮崎食い倒れの最終地点に迷いが出そうである。