2010年9月24日 from 出張,日本の畜産を考える,農家との対話
今回の高知のテーマは土佐あかうしではなく、地鶏の土佐ジローだった。土佐ジローについてはまたゆっくり書きたい。ちょっとまた繁忙の波が来ているので、まずは写真のみドカンとアップ。
小松精一さん。高知県内で唯一、土佐ジローのオス鶏を肥育し、安定的に供給している人だ。このたび年齢差22歳の可愛い嫁を迎えたラッキーボーイ(?)でもある。
高知市内から2時間余り、畑山地区はドコモやauの電波も入らない山間地。ゆえに、自然があまりに美しい。
そこに土佐ジローの鶏舎あり。
青草を食べて健全に育つ土佐ジロー。とさかの立派なオスもいるが、これは土佐ジローの協会で「オスも入れて交配させ、有精卵を生産すること」がキマリになっているからだ。
可愛い可愛い、ジローの雛たち。それが数週後にはこうなる。
小松さんの経営で重要なのはこの土佐ジローの肉を生産していること。土佐ジローは採卵鶏であり、卵をとるためのメスしか飼養しない。オスは生まれた時点で淘汰、つまり処分してしまう。
それをせずに肉用鶏として育てているのが小松さんのすごいところ。食鳥処理施設まで作って営業許可を取り、運営している。
畑山地区で彼らが運営する「憩いの家」にて、ジローのコースを食べることができる。
大型家畜である牛の肉とは違い、鶏肉は鮮度がよければよいほど美味しい。さばいたその日にしか食べられない内臓肉の刺身は、悶絶するほどに旨い。特に、写真左側の中程にある「とさか」の刺身にはビックリ。全くもって上品、コリコリニョッキリという食感。右側中程にあるのは精巣つまり白子。ネットリして美味。
そしてもも肉のこのはっきりした赤い色は、その辺の地鶏品種を遙かにしのぐ深さだ。
焼きはほぼすべて小松さんが介入(笑)でもその焼き方は20年の年季が入っており、すべてにおいて理屈がしっかりしている。
外側カリッと、中はジューシーなもも肉。素晴らしい、、、ため息が出るほどの味だ。
とさかも、焼くと生とは全く違う味。柔らかくなりうま味が感じられる。なんと素敵な部位なのだろう。
刺身、焼きの後には鶏すき焼き。手前の緑色の野菜は「りゅうきゅう」。高知では非常に一般的な「はすいも」のことだ。けど、関東の人にははすいもでもわからないかもしれない。里芋の茎の一種のことです。高知ではこれがごくごく一般的な食材で、お浸しや味噌汁の具にする。
ジローの卵。非常に玉が小さく、黄身の含量は多い。この卵のあり方について、生産者さんたちとかなり深い議論をした。僕の意見が何かのためになれば嬉しいところだが、今後どのような展開になるだろうか。
やきなすのアイスにはびっくりしたが、手前のジロー卵を使ったアイスはまったくもって美味。
こんな一日だったのである。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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