やまけんの出張食い倒れ日記

藤沢市の飯島農園から、最近の梨の人気品種・「あきづき」送られてくる

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写真の、一番手前が「あきづき」、次が「秀玉」、その後ろが「新星」。学生時代に畑を貸してくださっていた師匠である飯島農園から送っていただいた。飯島さんは代々続く専業農家で、最近では野菜よりもブドウに梨といった果樹に力を入れている。JA系統出荷もするけど、大学の近くにできたJAの直売施設の長にもなったらしく、そちらでもガンガン売れている。それに加えて、自分の家の庭先での直販も、飯島農園の果物の味を知っている客が直接買いに来るので賑わっている。

「なんかねぇ、この『あきづき』が大人気でねぇ、試食に出すとこれしか売れないから出さないことにしてるのよ。」

とおっしゃる。ふうむ、そうですか。

梨は幸水に豊水に21世紀くらいしかしらない、という人も多いだろうけど、実は新品種がぽろぽろと生まれている。「あきづき」は「新高」と「豊水」を掛け合わせたものに「幸水」をかけた、三元交配の梨だ。親がおいしいからといって、それらを掛け合わせてもいい結果が出るとは限らない。けど、この掛け合わせはうまくいったらしい。

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さっそく、剥いてみた。飯島さんから「さきにほかのを食べてね」といわれたので「新星」を先に食べてから「あきづき」をいただく。

シャリン!

と強いシャリ感に粒子感。甘さも強く、みずみずしさは幸水ゆずりか。とてもキャッチーでわかりやすいおいしさを持った梨だ。これは確かに人気が出るだろう。米でいえばコシヒカリといっていいだろう。

けど、けれども、僕も嫁さんも、先に食べた新星の方が好みだった。シャリ感はあきづきよりも弱めだけど、染み出てくるジュースがなんともたおやかでいいのだ。もちろんあきづきのおいしさも際立っているけれども、この辺は好みの問題。飯島農園の皆様、ごちそうさまでした!あと2品種は出張帰りに食べますね。

「そんな品種食べたことがない!食べたい!」

「なんでその辺で売ってないの!」

という人が多いだろう。こればかりは鶏が先か、卵が先かという問題。

実は流通関係者だって、スーパーの人間だって、硬直化した仕入れをするよりも新しくておもしろい品種を並べてみたい。けれども、並べたところでお客さんは「うーん 失敗したら怖いから、やっぱりおいしさをわかってる幸水がいいわ」と、いままでの無難な品種しか買ってくれない。だから、もう新しいのを並べるのはやーめた、となってしまうのだ。

これは、ジャガイモにおける男爵薯とメークインの問題と同じようなモノだ。どちらも実は古すぎて欠点だらけの品種。この二品種を遙かにしのぐ美味しい品種はすでに出ているにもかかわらず、誰もが「やっぱり男爵」「メークインが一番」という既成概念に支配されて、他のものに手を出さないから、結局新品種が浸透していかないのだ。ホント、品種を開発している人たちはやりきれないと思っているはずだ。

だから、新しい品種を食べたければ、消費者の皆さんが率先して新しいモノに手を出してくれないとイケナイのだ。それでまずかったら、その時はお店の人に「こないだのアレ、おいしくなかったわよ!」といってほしい。そういうコミュニケーションがあって初めて、消費者はものいう権利を行使したといえるのだと思う。意思表示をしなければ、作り手には何も伝わっていかない。

ところで、そうはいうものの、新品種=絶対にそれより美味しいとは限らない。品種を新しく開発する意図に「さらなる美味しさの追求」というのはあるにはあるけれども、それ以上に優先されるのは「収量が増えること」「丈夫に育つこと」という、農家に対する付加価値だからだ。一般消費者には理解されにくいけれども、環境が大きく変動している中、今までになかった病気や害虫の心配をしなければならなくなっている。新しい伝染病が発生すると、それまで穫れていたものが穫れなくなってしまうこともある。それではおまんまの食い上げだから、種苗会社はその病気に耐性のある品種を開発する。

また耐病性以外にもいろんな要素がある。たとえばミニトマトで味の評判がよかった品種があるとする。ただしその品種、皮が薄くて美味しいのだけど、棚においておくとその皮の薄さゆえ、すぐに傷んでしまう。そんなとき、やはり棚保ちをよくするために皮の固いものにリニューアルしたりする。もちろんそんなことを狙っていないかもしれないけど、野菜の食べ比べをしていると、農家さんが「あ、この品種、美味しくない改良したな!」などと舌打ちをすることがよくあるのだ。

というように様々な思惑が新品種にはつきまとうけれども、でも新しいものは楽しい。見慣れないものがあったらぜひ手にとっていただきたい。

 

それはそうと、先週から今週にかけて、本当に時間がない。一気にいろんなことが集中してきてしまっている。645レビューはちとおまちを。「早く書け」と言われるんだけど、、、

火曜日から高知へ。今回は土佐ジローを追う旅。22日の夜に帰りたかったのだけど、なんと飛行機のチケットとるのを忘れてて、もう満席。キャンセル待ちが10人以上いるとのことで、あきらめて23日の朝便で帰ることにした。うーん、、、

ということで、今週もばたばたです。

■撮影データ
リコー GXR 50mmF2.5マクロユニット
F5.0 1/48秒
純正ストロボ GF-1+ ニッシンのユニバーサルシューコードで横から光を当てて撮影

GXRの高性能単焦点レンズユニット、早く出ないかな、、、