やまけんの出張食い倒れ日記

口蹄疫終息までまだもう一息、、、 支援の場を見に行った。そして、大手マスコミが語らないことの多さに愕然とした。

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駅弁を食べつつ、鹿児島へ移動。豪雨のため徐行運転となり、40分遅れでの運行となる。温暖化による異常気象の影響は全国的にあるが、とくに南の地方ほどその影響を真っ先に受ける。鹿児島・宮崎は今年、満足に米が穫れるだろうか。穫れはするだろうが、こんなにもめちゃくちゃな日照と風と雨に翻弄されて、一等米の比率は恐ろしいほどに下がるだろう。ちまたには「温暖化など来ていない、錯覚だ」などという人がいるらしいけれども、少なくとも農業生産の分野では間違いなく影響が出ているよ。どんな世界でもアンチなことを言うと世間からある程度認められるものだけれども、そいつはどうだろうかね。

そして頼みの綱の畜産はこんなにも圧迫されているのだから、本当に地方としての力を取り戻すのは大変だと思う。

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鹿児島駅で買い求めた駅弁「えびめし」850円。岡山名物えびめしみたいな真っ黒な焼きめし、ではなく、なかなか美しいお弁当。しかもちらし寿司なのかなと思いきや、ご飯は和風のだしの味。なかなか意外性があっていい。しかも付け合わせもきちんとご飯を食べ勧められる、ちゃんとしたおかずばかりだ。都市部の駅の、不味いくせに1000円する弁当は見習って欲しい。

鹿児島から宮崎へ向かう在来線特急(残念だが新幹線は宮崎に停まらない)が走り始めて20分くらいのところで、家の裏の川というか濠(ほり)の水辺の空き地に、にわとりが二匹いるのでおおおっ?と眼がいった。白色系の鶏ではなく、立派な毛色と模様の、観賞用かと思うようなにわとり。そんな風景、30年前には珍しくなかっただろうに。

さて宮崎駅に着いて、レタス巻き元祖の店 「一平寿司」の村岡さんと合流。

「まずやまけんさんに観てもらいたいところがあるんだ」

と連れて行ってくれたのは、宮崎の繁華街にある商業ビル「カリーノ」。一階には蔦谷書店(ここ、実にセンスのいい本屋である)とタリーズが入っている。この7Fを借り切って「がんばろう宮崎 Doまんなかプロジェクト」という口蹄疫支援のスペースが設置されているのだ。

■がんばろう宮崎! Doまんなかプロジェクト
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http://www.ganbarou-miyazaki.net/
宮崎市橘通東3丁目2-14 よってンプラザ内
e-mail:info@ganbarou-miyazaki.net / tel:080-3902-1420 (休館日を除く)

Doまんなか(どまんなかと読む)は、宮崎市橘通りの商店街の団体だ。活気を失っていた中心市街地でイベントをうったりすることで、地域全体を盛り上げる活動をしてきた。今回の口蹄疫に関して、宮崎県内いや市内でも、まだ常設で口蹄疫関連の情報や支援活動をバックアップする仕組みは、他にないのではないだろうか。もし口蹄疫について関心があり、かつ宮崎を訪れる人にはこのカリーノ7Fを訪れてみて欲しい。

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7階に降りるとまず、左側に設置された特徴的な壁画が迎えてくれる。

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これ、お分かりだろうか。ぐぐっと寄ってみると、、、

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描かれているのは、10万匹の豚さんと牛さんなのである。近くのモニタには、いま殺処分された家畜の数が表示されている。

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数字だけみてもその規模は余りビビッドに伝わってこない。しかしこうやって視覚的に10万匹がどんなものかを観ると、圧巻である。そして「こりゃ、埋却が進まなかったのもわかるよね」という実感に繋がる。

デザイナーさんがこれを作ったらしいが、実に素晴らしいアイデアだと思う。

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中にはいるとこんな風に、防疫状況の写真や資料が展示されている。

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展示されている写真は、まだ見たことがないものばかりだ。さすがに殺処分対象となった家畜の写真などは、いろんな配慮もあってだろうか、展示されていない。

「新聞社さんもいろいろ考えてくれたんですが、やはりまだ出さない方がいいだろうということで。でも、ものすごく好意的で、資料写真を提供していただいているんですよ。」

というのが、ここに7月いっぱい詰める予定の大古殿さん。ちなみに大古殿さんはoblivion dust、ラルク アン シエールのボーカルHYDE BANDのドラマーだった方で、音楽好きの人ならよーく識ってるだろう人である。

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とこんな風にいろんな支援コーナーがあるのだが、僕がオオッと思ったのは入り口近くにある、地元紙「宮崎日日新聞」のブースだ。

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口蹄疫発生からの全ての紙面がここにある。順を追って読むことが出来るようになっているのだ。僕はここで紙面を観て、宮崎日々新聞の情報量と見識に「おおっやるじゃん」と思ってしまった(地元紙だから当たり前といえば当たり前ではあるけどね)。

ちなみに昨日、口蹄疫がらみで全国紙に出ている問題と言えば、ある農家が所有する種牛を殺処分することを拒否し、県がそれを容認し国に対して特別措置で助命して欲しいと直訴している件だろう。全国紙を見ると、まあさらりと「どう考えても宮崎県が駄々をこねてるよな、山田農水大臣の対応は毅然としてオトナだよな」と読んでしまうような論調だ。

しかし、どの新聞もみてみぬふりというか全く追求していないことを宮崎日々新聞は書いている。

■宮崎日日新聞 「激震 口蹄疫」 7月14日付け
「法律と実態、危機意識… 知事と農相深まる溝」
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http://www.the-miyanichi.co.jp/special/kouteieki/index.php?id=1&paging=1

これをみると、この種牛問題を論じた後に、東国原知事がなぜ国に対してこんなにも不信に満ちた言動をするのか、その一つの答えであろう話が載っている。引用させていただく。

「 東国原知事の一連の不満には山田農相の言動以外にも要因がある。口蹄疫対策特別措置法で費用の国負担が「全部または一部」と明記された点だ。12日には「よく国会で通しますよね。どういう見識してんだろう」と怒りの矛先は国会にも向けられた。

口蹄疫対策で県は多額の基金を取り崩しており、国から12月にも交付される特別交付税(特交)での穴埋めを見込んでいる。しかし、特交の総枠は約1200億円。他県で大規模災害が発生した場合などは、それに充てる必要もあり、県が当て込む147億円が全額手当てされるか不透明だ。「県の財政がつぶれる」と東国原知事はこぼす。

山田農相は13日の会見で「違法な状態を、知事はあえてやっているということにしかならない」とあらためて批判。東国原知事は「実態に合わない」と家畜伝染病予防法や特措法の不備を指摘し、柔軟な対応を求める姿勢を崩さない。児湯地域の移動・搬出制限解除予定が16日に迫る中、両者が歩み寄る気配はない。」

つまり、当初 「国がやります」 「金については皆さんが心配しないように」 と言っていたにも関わらず、法律上は「全部または一部」という、訳のわからない表記だがつまり「全部かもしれないけど一部かもしれないよ」的な文言にしてしまった。民主は参院選挙に大敗したけど、その腹いせが宮崎に向けられるかもしれない、なんてことはないよね?ということを東国原知事はツイッターで吐露しているけれども、本当に心配だ。

このような国の対応と両論併記されれば、県側だけがオカシイという認識ではなくなるが、ほぼ全てのマスコミがそういう報道をしていないのはなぜなのだろう。宮崎日日新聞さん、本当に頑張っていらっしゃると思います。せっかく無料でネット上に公開しているのだから、われわれ他地域の人間は、激震地からの報道を観ておく必要があると思う。

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ちなみにこれはPETボトルを切り落として、柄を描いたチップ。これをオーブンで焼くと、、、

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こんなビーズ玉になるそうだ!実はこれ、このスペースに学生が授業のあとに集まって、ボランティアで作っているそうだ。これを300円で販売し、義援金に充てている。

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もちろん僕は3つ買いました。ブレスレッドなんてしたことないけどね、、、(笑)これは着けようと思う。

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このプロジェクトスペースの立ち上げ人お三方。左から大古殿(おおふるとん)さん、村岡さん、そして青年会議所の松田さんだ。なんとこの三人、同級生だそうである、、、

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防疫の現状などがきちんと観られる資料的意味、そして宮崎日日新聞のデータベース。このスペース、しばらく残して欲しいと思う。

口蹄疫終息に向けて、もう一息。ホント頑張ってください。