先週と畜されたさちの格付けの結果が送られてきた。格付けとは、日本食肉格付協会というところの検査員が食肉処理場で行う、枝肉を客観評価するものだ。
客観評価するためには、評価の基準、つまりものさしを作らなければならない。日本では「歩留り」と「肉質」が基準として重きを置かれている。歩留りというのは、つまり一頭からどれくらいの肉がとれるかということだ。そして肉質というのは、サシがどれくらい入っているか、キメやしまりがどうかという判断基準になっている。
もともとこの格付のモノサシは、黒毛和牛に適したものだ。黒毛は骨が細く肉がたくさんとれ、そして霜降り肉になりやすい遺伝特性を持っている。だから、この格付だけを基準にすれば、黒毛が圧倒的に上位を占める。それは実際にいまもそうだ。しかし、その基準に「美味しさ」というものがきちんと入っているのか、ということについていえば大いに疑問である。第一、格付ができた昭和36年から今に至るまでに肥育技術が向上し、サシの入り方は比べものにならないほどすごくなっているはずだ。昔の基準がそのまんま使われているのはおかしい。
すでに料理人や消費者が「赤身の美味しい肉のほうが食べたい」という声を多数上げているけれども、この格付けがある間は、農家もお金になりやすい黒毛ばかりを飼うわけだ。そうして、貴重で希少な、黒毛以外の日本の和牛品種が消えていくのである。
そういうことを念頭に、以下に示すのがさちの格付情報である。僕から言うことは何もない。さち、よく育ってくれました。
個体識別番号 | 等級 | 歩留まり基準 | ||||||||
歩留 | 肉質 | 枝肉重量 |
胸最長 筋面積 |
バラの厚さ |
皮下脂肪 の厚さ |
歩留 基準値 |
||||
0827126990 | A | 2 | 232.5 | 228 | 63 | 7.6 | 2.6 | 74.5 | ||
肉質基準 |
枝肉 総重量 |
|||||||||
BMS |
脂肪交雑 等級 |
BCS | 光沢 | 等級 | しまり | きめ | 等級 | 光沢と質 | 等級 | |
3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 2 | 2 | 2 | 5 | 5 | 460.5 |
短角の格付結果に精通している方、ぜひコメントいただければありがたい。勉強させていただきたいと思います。
さて
さちのオックステールを送った、大阪は心斎橋のフレンチレストラン ドゥ・アッシュの中田シェフから、写真付きメールが送られてきた。
さちのテール料理完成しました。
赤ワインで5時間煮込み仕上げに
ピエールロベールという
ナッツのフレーバーをもちバターっぽい
フランスのチーズをのせました。
お客さんからは
煮込みなのに肉質がしっかりして
程よいゼラチン質がとても良い!
ドライエージングした肉が楽しみや!!
など 大好評でした。D.A.B.が今から楽しみです。
ありがとうございました。
うーん、、、旨そうじゃないか! 食いに行きたい、、、大阪在住の方、食べたらぜひ感想を僕にもおきかせください。
そして、東京は神楽坂の「神楽坂しゅうご」の広瀬シェフからも連絡が。
「やまけんさん、送ってもらったサガリとハラミですけど、、、いままでこんなに美味しい短角の肉は初めてですよ!一昨日から出してますけど、食べたお客さんの反応がものすごいです!」
という、興奮した電話だった。まじですか、、、食べていただいた方、ありがとうございました。
ちなみに先日伺った際の神楽坂しゅうご。
例の、羊のパンチェッタを使ったアマトリチャーナ。いまなら食えるよ。ただしオスの肉だったそうで、以前のものより少しだけしっとりした香りが弱かったように思う。
さちのサガリとハラミはあと3キロ程度だそうです。俺も食べに行かなければ、、、しかし今日の朝から超絶にだるくて、身体の節々が痛い。と思ったら熱が出ているようだ。早引けします、、、