やまけんの出張食い倒れ日記

やっぱり自然にはかなわない、という諦念をもっと社会に拡げていいのではないだろうか。

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実は、うちの母がいまフランス旅行に行っている。はい、つまりアイスランドの火山の噴火によって、帰れない状況に陥ってます。よりにもよって人生初の海外旅行!仲のいい友人たちと一緒であることと、大手旅行代理店のツアーであるということで、向こうで不自由していないだろうとホッとしている。なにせ海外からの電話もかけられないような人だからな。さきほど実家の父に連絡が入って、どうやら次回とれた便が23日金曜日初とのこと。つまりほぼ1週間の延泊ということだ。どうもこの延泊にかかった費用は別口で支払わないといけないらしいので、そっちがいくらになったか、ちょっと怖い。

それはともかく、ひさびさに「うん、よかったなぁ」と思う噴火だった。なにがよかったんだよ!経済にマイナス効果もあったのに!と言われるかも知れない。たしかに噴煙で日光が遮られたりしてEU圏の農産物被害も出るだろうから、それは本当に悲しいことである。

けれども、なにが「よかった」かというと、まだこんな世にも、抗うことの出来ない大きな力というものが発現するということに、なんとなく安心感を感じてしまったのだ。今回の噴火はある意味、地震や津波よりも波及する範囲が多きい。こうなると誰に対して怒ることも出来ないし、リスク回避なんてとうていできやしないんだから、諦めて状況を受け入れるしかない。

こうやって「諦める」ということも時に必要だと思うのだ。何を言いたいかというと、、、いま野菜の値段が高くなっているでしょう?それに対して、なぜか消費者は困って怒って「なんとかならないの?」と言う。

なんともなりません。長期的に続く低温だし、不規則な日照、気温の急激な変動で作物はみんな生理異常を起こしている。抗いがたい力でこうなっているのだ。3ヶ月くらい先の長期にわたる気象予報がビシバシ当たるような状態でもない限り、農家の側でリスクヘッジの手段などとれやしない。

なのに、みななぜか第一次産品である農産物などが高くなるとぶーぶー言うのである。

先日、農産物の流通業界にいる友人が「ホントにそうだよな」と思うメールをくれた。

先日のニュースでは、寒波の影響で野菜相場が値上げして消費者が苦労している。 全農や、農水省、消費者団体等が集まって緊急対策を検討したとありましたが、、、

果物は依然、安値推移で苦労しています。加工用米(米粉用等)も相場が下落しているそうです。野菜も、つい2カ月までは安値で相当困っていた。

のに、ちょっと上がるとなんでこんなに大騒ぎするの? と言いたい。
下がったときに消費者団体は何をしてくれるのか!

2級品や加工品でも流通に乗せろと言うが、安い時は加工業者に”国産品を使え”と言っているくせに、加工業者に回らなくなるではないか!
まじめに国産品で加工している加工業者には大変失礼な話だと思う。

全くその通りである。

「相場が下がって安くなり過ぎ、生産者が赤字になるとき、消費者は何をしてくれるというのだ」

いや、何もしてくれないではないか。安さに慣れきって、全ての商品は限りなくタダに近くなると錯覚している消費者ばかりではないか。

キャベツがひとたま450円になったとしても、いつも飲んでるスタバのコーヒーを我慢するとか、他の余剰分を削ることで何とかなる範囲にある人でさえ「高いと困る」という。そこに「生産者や流通業者も困る」という視点はない。

そろそろそうした構造を変えていかないといけないんじゃないかと思う。どう変えるかというと、、、そう、今回の火山の噴火がいいサンプルになるんじゃないか。

考えてみれば、秋田県はスゴイ県だ。県民に無くてはならない魚である「ハタハタ」を獲りすぎたため、急激にハタハタ資源が減少してしまった。このままではいけないと、県民が数年間我慢して食わずに、その個体数を戻した。僕はその漁獲制限中に秋田で接待され、立派なハタハタをいただいたことがある。「これ、いま一匹で2500円しますよ」と言われ仰天した(おかわりもしたけど)。いまはハタハタはまた余るほどに回復している。

ビバ!秋田県民!!である。 忍耐という、誰でもできる努力で資源回復させた県民なのだ。

マグロやクジラに関する問題は、なかなか論じるのが難しい問題なのだけれども、でも資源が減っているのであれば「我慢」するしかない。個人的には、マグロはそろそろしばらく我慢していいんじゃないの?という気がする。マグロの商売で生きている人は反対する権利もあるかもしれないが、、、

ということで話がぶれたけれども、火山のようにどうしてもあらがえないものを淡々と受け止めるかのごとく、野菜の高騰も受け入れて欲しいものだ。あ、でもとりあえず母には無事に帰ってきて欲しいので、火山の活動が鎮まるのを待ちます、、、