いやーびっくりした。やっぱり地方にいくとそこで愛されているスタンダード中華というのが面白い。
トキワ養鶏の祝賀パーティー後、ツネタさんが僕ら夫婦を五所川原のたちねぶたや太宰治館などに案内していただき、時間に余裕があるので市内で煮干しラーメンでも、と思ったのだ。
「うーん 煮干しラーメンもいいんですけど、私の知り合いの中華の料理人が「あそこは旨い」っておしえてくれた店があるんですけどね。タンメンが旨いんですけど、いかがでしょう?」
む、どうしよう、、、
みなさまもおわかりのとおり、醤油味のラーメンが食いたいときに、にわかに塩味に変更はできないものである。けど、、地元の人が誘ってくれる店というのは、それはもう最高の信頼度でもある。
「なんでもその料理人いわくですね、ダシにエビも使ってるな、っていうんです。たしかに優しい味なんですけど、美味しいんですよ!」
ふうむ だんだんと食べたくなってきた! それに、タンメン食べてから煮干しラーメンというのは、とくに問題にならないボリュームではないか。よし、行こう!
ということでやってきた「王味(わんみ)」。駅からは2キロくらいあるそうで、このためにわざわざ来なければアクセスできない立地だ。しかもなんというか味のある、、、小さな店という感じ。
ところがここを入ると意外に奥行きがある。手前側はオープンキッチンというかなんというか、調理場とテーブル二つあるだけで、メインのお客さんスペースは奥の座敷だ。
もうすでにほぼ満員。そして入店時にチェックしたが、 みんなの卓の上にタンメンと餃子、そしてチャーハンがのっかっている。むむむっ やぱりここはそういうフォーメーションなんだな!
しかも、やっぱり地方の中華食堂。安いんですよ、、、
とりあえず餃子2枚とタンメン3つ、そしてなんとなく気になったタン炒めをオーダー。
まず最初に運ばれてきたのが、、、
これがここの最大の特徴らしい、餃子のタレ。みてのとおり生のニンニク片がドカンドカンと入っている。しかも卓上の調味料置き場にはさらにエクストラでにんにくを入れてくれと言うことか、みじん切りニンニクが置かれているのである、、、
「そういえばうちにくる中国からの研修生が餃子を作ってくれたときも、餃子の中には入れずに、こうやってタレに入れてましたね。」
ここの店のおばちゃんが中国からきた方ではないかということだったが、さだかではない。しかしもうすでにこのしつらえの段階で、期待が持てる。
そして、いきなりクライマックスが訪れた。
おおおおおおおおおおおおおおおっと
ミニ餃子?と言うくらいに小さい餃子、具材もぴっちりと丁寧に閉じられているわけじゃなく、ところどころ中身がはみ出ていたり、皮が隣のとくっついちゃったりしているけれども、そんなのどうでもいいよと思わせるような旨そうな外観ではないか! 焼き目がぎっちりと全面に着いているところが非常によい!小麦はやっぱり焦がさないとね。香ばしくないもんね。
にんにくたっぷりのタレにつけてパクリとやったら、まずその皮がトゥルントゥルンなのに口内細胞が驚く! トゥルッとした食感がえらい気持ちええやんか!断面に見えるように具材にもニンニク入り。タレが染みこんで堪らないニンニク香が口中に溢れる。ああなんて暴力的な餃子なんだろう。
「これ、二枚じゃたりませんね!」
と新たに二枚追加したが、あとでいろいろ調べてみたら2枚ずつなんてケチなことをせずに、10枚とか焼かないとダメらしい。うーん そうだな、10枚、3人いれば楽勝でいけちゃう。いや、俺一人でもこれならいけちゃう。
そして、、、芸術的にいい感じのタンメンきたりて我を祝福す。
早速、そのスープをすする。
あ、、、 これはイイですね! これはいいですよ! 実はツネタさんが車を止める際、店のバイト君が駐車場を教えてくれたのだけど、その時スープのことを尋ねていたのか、「 うちは鶏ガラと豚骨ですね」と言っていた。まあそのフォーメーションだとふつうっぽいけれども、このタンメンスープ、ジワッとくる美味しさだ。爆発的にドカーンという味ではないけれども、十分な旨みの濃度、麺をきっちりと食べすすめることが出来る太さと、なんだか落ち着きを感じるスープである。
文句なしに旨い!
麺はそれほどハードでも幅広でもないオーソドックスな卵麺ぽいけれども、これがまたふんわりとスープを吸って美味しくなる。ああ、書いていてまたよだれが出てくる。また食いたい!
黒胡椒がどっぱりとかけられたタン炒めも美味しゅうございました。レバニラも食ってみたいな。なお、いま最も後悔しているのはチャーハンを頼まなかったこと。すげー旨いはずだ。
いやー 「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」を書かなかったけれども、ここは絶品である。いまのところ僕の人生のタンメンの中で一番になってしまった。
例の木場の至宝「来来軒」が店を閉め、そこのファンだったひとが元・来来軒のオヤジさんに頼み込んでのれんを継承した新生「来来軒」は、再度いってみたのだけれども、やはり別物であった。麺が、圧倒的によそよそしい。餃子も以前よりよくなっていたけれども、もっとまんべんなく焼き色が着いていたはずだ。もちろん、前の「来来軒」と同じ味ではないということだけであって、新しいタンメン専門店としてはいいんじゃないでしょうかという感じだ。
その斜め向こうに、六厘舎が出したタンメン屋さんがあって、行列ができる繁忙ぶりだ。そこも食べた。実に美味しかったけれども、その実に強い塩梅の濃度は、再度行こうと思う感じではない。一杯食えばしばらくはリピートしないでいいかなという感じ。
しかし!
この王味はまたいきたい!できれば今日また食いたい!最高だよ、マジで。
という感想をおばちゃんに伝えたら、「美味しい!?どこから来たの?東京!それは嬉しいねぇ。300円おまけしとくよ」と豪快にまけてくれた。
実にパワフルなおばちゃんで最高。領収書切ってもらってる最中も「ちょっとゴメンねー」と餃子の鍋に油を垂らし、焼き上がったのを皿に盛りつける。忙しいわ、これは。
いやしかし
まじで素晴らしかった、、、帰ってからインターネットで検索したらやっぱりこの店はものすごくファンが多いようだ。
青森市民が羨ましい! またあの味を思い出しながら、白飯を食うか、、、