いま、高知県の土佐あかうしに入れ込んでいることはこれまでこのブログでも述べてきたとおりだ。僕が名前をつけた二頭の土佐あかうし(優男と強力)は順調に育っていて、もうしばらくすると僕がお願いした特製飼料を与えられて育つことになる。5月には彼らの顔を見に行けるので、いまから楽しみだ。
で、その土佐あかうしを店内で長期熟成して、それをステーキに焼いてくれる店が大阪にある。その名も「焼肉 又三郎」。
■焼肉 又三郎
http://www.matasaburo.com/
実はこの店の社長さんである荒井さんには会ったことがある。僕も委員として加わっている日本ドライエージングビーフ普及協会の設立記念パーティの時、ひときわ目立ついなせな浴衣姿で駆けつけていた女性がいた。どこの誰がこんな女性を同伴してきたんじゃ、と思ったら、そういうことじゃなくてそのご本人が大阪は長居という街で炭火焼き肉店を営む荒井さんだったのである。
「うちもドライエージングというか、じぶんとこで熟成庫を持って、長期熟成した牛肉を焼いてるんです。やまけんさんぜひ来てください~」
と美しい声で誘ってもらって、ずーっと行けてなかった。ようやくお目見えなのである。
それほど大きい店構えではなく、ちょっとみには普通の焼肉店っぽい外観だ。
しかし、店内にはいるといきなりすごい冷蔵熟成ケースが鎮座ましましているのである!
「ただいま熟成中」と書かれた中には、骨付きのロースがどかんどかんと置かれていたり吊されている。
そしてそのどれもが、菌がついているのか外側がガビガビになっていい感じに熟成していることを伺わせる!
実はこれ↑は今回我々の口には入らなかったのだけど、土佐あかうしの雌(メス)!土佐あかうしを卸す肉屋の「三谷ミート」の三谷さんが「これは最高ですよ、きっと」という肉質のものだ。だがまだまだ熟成に時間がかかるということでこの日は他の肉を食べることになった。といっても3月3日からだから、もうすでに4週間はたっている。それでも「まだ」なのだ。
もちろん但馬牛も。これ↑は香川県の黒毛だそうだ。黒毛を選ぶ際にもメスのみ、そしてAの3番のみを選ぶという。A5なんぞドライにしたって旨くないのだ。
こんな感じに、きちんと来歴を示すカードと共に肉塊が熟成されているのである。
日本におけるドライエージングビーフの先駆者である静岡県の「さの萬」では、研究の結果発見したドライエージングに向く菌群を庫内に入れて熟成の作用を促進させる。しかし又三郎さんではとくにそうした菌群を外から入れるという方法は採っていないそうだ。
「そうなんですよ、うちでは庫内に熟成させる菌が住んでるんですかねぇ。さの萬さんのところとは違って、うちの場合は外側をあまり切り取らなくても美味しくいただけますね。」
ふうむそうなのか。さの萬スタイルだと外側のガビガビが多くなり、30%程度は削らなければならないほどだという。又三郎方式は肉を扱う業者にとっては素晴らしい福音ではないか。
でも、それは食べてからの判断だよな、、、とにかくまずは食べなくちゃ!
この日じつは高知の人達と駅で合流するはずだったんだけど、すっかりそれを忘れてて先に店に来てしまった。「あーー もうお店なんですか!?じゃあこっちもいまから向かいますー」すみません皆さま。
高知県からはいつも僕の水先案内をしてくれる公文さんと、先述の三谷ミートさん、そして全農さんという布陣だ。
このひとが三谷さん。高知県内では手羽先のおっちゃんという方の顔で通っているが、実はあか牛を扱ってン十年、素晴らしきメキキのである。
さて、それでは宴です。この日は高知県から、オス去勢のサーロインを持ってきてもらい、これも試食。つまり、熟成されているものとそうでないものとを比べることが出来るという寸法だ。
どかんと運ばれてきた大型の七輪。ええ?七輪で客の目の前で焼くの?
「はい、これがうちのスタイルです」
炭火で焼くってむちゃくちゃ難しいけど、、、しかも七輪か!興味津々でみることにしたのである。
(つづく)