大洲市に4月24日にオープンする直売所「愛たい菜」(あいたいな)にて販売される加工食品を、出来る限り大洲産のものを原料としたバージョンにしてもらうというプロジェクトを進めている。
これまでいろいろと試食させていただいた中で、存外に僕の琴線に触れたのがこの商品。
小川陽一さんがつくる焼肉のタレ「ばかタレ」である。とにかくキャベツなどにぬって一口含むだけでズガーンと全身が染まるニンニク・ショウガの香り、絶妙な甘さと旨さに射貫かれてしまう。
ただし、最初の試食会の際にいろいろお願いをした。それは「人工的なアミノ酸を抜いてくれー」ということと「大洲産の醤油や味噌でつくってくれー」ということだ。そうしたら、、、
「山本さんがいうようにしてつくってみましょうか」と、地元の誉れともいえる梶田商店の醤油と味噌、酢を使ったバージョンを試作してくれるという。これは行かねば!
「ん、うちに食べられるスペースあるから、試食に来てください」
ということになったのである。食べられるスペースって、、、店でもあるの?いや、そんなはずはない。まあきっと自宅の庭にバーベキューコンロでも置いてもてなしてくれるのだろう、と思っていったら、、、違った!
ご自宅の隣りに、なんだか屋号までかかげた簡易住宅が建っている。左の入り口が加工場で、右側の玄関は「食べる場所」の入り口である。玄関を入って唖然とした。
奥には囲炉裏のある座敷、手前にはでかい鉄板と炭火のスペースが!
そして手前にずらりとナンバリングされて並んでいるのが、試作している「ばかタレ」である。
「えーとね、今までのバージョンと、アミノ酸を使わずに酵母エキスを使ったもの、酵母エキスすら使わないもの、梶田醤油・味噌を使ったものと、これまで通りのメーカーの味噌醤油を使ったもの、など取り混ぜて、7バージョンつくりました。」
うわーーーーーーーーーー ホント? 頭が下がります。
「でもタレだけ試食してもしょうがないでしょ。いろいろつくったから食べてってよ。」
というが、、、
色々つくったってのがスゴイ。なまこの酢の物、大根のレモン漬け、自家製ホルモン、スタミナ納豆オクライカねばねば、などなどなど、、、この人は店を開いた方がいい。
「まあ、とにかくタレの味を見てください」
と宴会が始まってしまった!
次から次へと焼かれていく具材を、各種タレで試食。いや、タレを試食。
なんと意外なことに、多くの人が「酵母エキスすら入らない、梶田醤油バージョン」を推した! 解説すると、酵母エキスとは、グルタミン酸ソーダやタンパク加水分解物とは違って食品添加物ではない、旨味をプラスするものだ。無添加食品にどうしても旨味が不足しがちなときに使用される。もとの「ばかタレ」は爆発的な味なんだが、アミノ酸もたんまり入ってて、ちょっときつい。それを酵母エキスにしてみたら?とお願いしたわけだ。
僕はこの酵母エキス+梶田醤油バージョンが気に入った。梶田醤油と味噌は市販されている醤油より段違いにうま味成分が多いため、アミノ酸をそれほど足す必要がないのだ。
しかしそれでも酵母エキス使った方が旨味がのびるなーと思っていたが、他のメンバーが口々に「いや、酵母エキスも要らないでしょ!」というのだ。これには驚いた。梶田醤油恐るべしである。もちろん、わけのわからんメーカーの醤油とちがい、今回つかった梶田の醤油にはアミノ酸添加はされていない。
それにしてもこの趣味的空間、換気設備だけはもっとちゃんとしたほうがいい(笑)もうもうたる煙である。
最後の〆は焼きそば。
もちろん味付けは「ばかタレ試作品No.7」つまり完全無添加バージョンだ。
旨い、、、
全国の直売所を廻ると、焼肉のタレを出品しているグループをよく見かける。その際に木になるのが、ほとんどアミノ酸を添加しているということだ。大メーカーがいろんな食品やタレに大量にアミノ酸を使っているから、全く使わないと消費者が「味が薄い」というから、というのはあるだろう。けれども、それをやっちゃぁ、地元の農産物や加工品を買ってもらう直売所としての矜持がすたるというものではないだろうか。
あともうひとつ、醤油や味噌に酢などの調味料原料まで地元産というのはなかなかみかけない。やっぱりキッコーマンやフンドーキンなどの、その地域の大メーカーのものを使ってしまう事例が多い。これはまず第一にコスト的要因であることは明らかだ。
あまりに高いものは売れない。それはそうだけども、でもそれじゃあこだわった商品って、どこにもないじゃないか。そういうことで、この小川さんの「ばかタレ」には地元の食材や調味料だけで作った「ばかタレプレミアム」ともいえるものを出しませんか?とお願いしている。現在、最終商品化にむけて調整中だ。
ばかタレプレミアムを一番楽しみにしているのは、僕かも知れない、、、明日からまた大洲に行ってきます。