愛媛県大洲市に来年4月後半にオープンする直売所の立ち上げを一緒にしているということは既報の通りだけど、とにかく佳い加工食品を出してくれる方をいっぱい探そう、ということをしている。
全国で13000店を超えた農産物の直売所だが、その数が多くなりすぎたこともあり、各店舗にオリジナリティのある商品が不可欠になってきた。野菜・果物でオリジナリティを出すことは難しいので、いきおい漬物や惣菜、弁当といった加工食品に期待がかかるわけだ。しかも、野菜や果物などの第一次産品は単価が低く、かつ利幅も狭い。それに対して加工食品は利幅をもう少し広くとることができる。ただし、加工場を持たなければならなかったり、免許が必要だったりと敷居も高い。
そういうことで、なかなか腰の重い地域のお母さん・お父さん方に出てもらおうと、毎月テーマ別に研修会を行っている。第一回の研修会では、思い切って腕自慢の皆さんに「一品持ちよりをして、味比べをしましょう!」と言う呼びかけをした。漬物や調味料、惣菜、弁当、和菓子や洋菓子といった部門別で品評会をしてしまおうということだ。もちろんそんな大事に自然に集まるわけがないので、農協婦人部で人望の厚いフジブチさん達の手を借りて、腕に覚えのあるご婦人やグループに声をかけていただいた。
その結果、集まりも集まったり!70人を超える腕自慢が、それぞれの得意とする一品一品を持ち寄ってくれたのだ。
実は大洲市には特徴があって、「漬物といえば粕漬け」なのだ。かなりの人がナチュラルに粕漬け好き。なーぜなんだろう?
集まった計70品目以上を、参加者全員で一口ずついただいて点数をつける。超・お腹いっぱい。しかし、参加者一同が目を活き活きさせて刺激を受けている様子が手に取るようにわかる。やはり「世間」の中で自分の食を位置づけるという行為、そして他人の味を識るというのはエキサイティングなことなのだ。
ちなみに、採点を集計する最中には特別ゲストとして、以前に採り上げさせていただいた松山市のオーガニックカフェ「Naturel」の藤山さんにご登壇いただき、最近の飲食事情をお話しいただいた。
藤山さんは最近できた松山市の大街道に愛媛のアンテナショップのプロデューサーでもある。商品開発や、どんなものが求められているのかというニーズをよーくわかっている人なのだ。
さて、この品評会の結果、各部門で上位に入った人達がいる。そのうち何名かを紹介したい。まずはこの人、パン部門の優勝者である西本ハツ子さんだ。
西本さんは、長いこと福祉関係の仕事を務められた後にパン焼きの修行をし、現在、大洲市内で移動販売をしている。市役所や老人ホームなど、固定ファンが多数いる猛者だ。それもそのはず、彼女の作るパンは実にアイデアに満ちている。
これ、なんだかおわかりだろうか?一番人気の西本アンパン。
「私のアンパンはね、あんこを中心に入れるんじゃなくて、こうやってツイストに沿って入れていくの。そうするとどこを食べても餡があるでしょう?」
おおっなるほど! しかもあんこが外側に出ているので、焼けた部分がちょっと香ばしい。これ、基本アイテムとして人気が高いそうだ。
そして僕がはまったのがこれ!
コロネ型のパンの中に入っている具材は、チョコクリームなどにあらず、、、
なんと、ちくわなのである!
しかもちくわの輪の中にトローリ、ピリッと辛いマヨネーズが!
「アンパンと同じくらいに人気のあるのがこのちくわパン。ちくわとマヨネーズとパンって合うのよ。」
ほんとだ!これ、スゲー旨い。ちくわのような魚肉系のものって、実はとってもパンに合うのだ。しかも、通常のマヨネーズだと甘くなっちゃうところが、カラシマヨネーズがピリッと全体の味を引き締める。この場にいるだけで2本、持って帰らせてもらって3本、翌日の朝食に2本食べてしまった(汗)
もちろん定番のメロンパンもこのとおりの焼き加減。
愛媛県における特異なおかし、タルトも大メーカーのものより甘さ控えめで美味しい!
それにしても西本さんのパンは、陽性だ。彼女の気質がパンにも込められているのだろう。明るく元気になるようなパン。酵母にこだわっているとかそういうことではないけれども、僕にとっては大アリな美味しいパンである。
店売りはなく、移動販売のみ。大洲市役所には金曜日の昼時に現れるそうだ。さて、これから直売所にどんなオリジナルパンを作ってもらおうか、いろいろ僕も考え中なのである。