俺は民主党に入れた。けど、農林水産関連の事業仕分けについては、我慢できないほどに酷い内容になっている。
民主党に変わってからの農林水産政策については、言及するのは避けていた。ひとつには、まだ今の段階で同行言える状態にないからというのが大きい。大きな柱である戸別所得補償政策も、予算額含めどうなるのか、固唾を呑んで見守っているところだ。
しかし、、、
ものすごい勢いで農林水産関連の事業がばっさばっさと切り捨てられている事業仕分けには異議を唱えたい。昨日、有機農業に関する支援事業がばさりと切られた。日本の総生産の中で有機農産物がしめる割合はたったの0.18%。世界的にこんなに有機農業の地位が低い国は珍しい。その意義を全く理解していない輩が、なんで「仕分け」できるというのか。「仕分け」と言いながら、佳いものを分けて居ないではないか。
しかも、もっとおかしいのは、意義がほとんど認められないのに生き残った事業があることだ。
「農村活性化人材育成派遣支援モデル事業」。通称「田舎で働き隊!」事業と言って、都市部の若者が農村に足を運んで交流するのを促進するための事業だ。
へえ、いいじゃないか、と思われるかもしれないが、、、なんでこれが残ったのかさっぱりわからん。
全国で展開されているので、中には有益な交流を産んでいる地域もあるのだろう。けれども、僕の親しい生産者団体からはこんな連絡がきている。
「ああ、あの事業ね。うちにも「農作業体験の受け入れをして欲しい」っていう依頼が来て、十数人の研修を受け入れたよ。働きに来るって言う感じじゃなくて、遊びに来たって言うかんじかねぇ。で、なんで来たの?って聞いたら、『うち、この派遣を斡旋しているところの社員の友人なんです』だってさ。」
つまり「田舎で農業体験して、温泉に入って旨いもの食べに行ってくれない?もちろんタダだから」と言って集めた若者を、農村に「作業体験受け入れてくれませんか」と斡旋する。上記友人の団体の場合、受け入れ先の農家さんにはいくばくかの謝礼が支払われたそうだが、事業主体は胴元として仲介の手数料を相応にとっているはずだ。
この事業の意義は「若者が田舎にふれあう機会を増やす」ことにあるのだろうから、意義が全く無いとはいえない。しかし、それが他の事業に比べて残すべき意義であるとは、とうてい思えない。
まあ、この手の話は多々あるわけだけれども、よりによってなんで仕分け人はこれを残したのか。どこに眼がついてんのか。あほう!と言っておきたい。
いま、民主としては、農家に対して戸別に所得補償をします、それも環境保全などの総合的な意義に対する支援をしますということを農業政策の軸としてアピールしている。が、実際に支払われるであろう所得補償額が、どうも農家の生活を保証できるような額面にならないんじゃないの?という問題があることはあまり報じられていない。
しかも、その一方で彼らは自由貿易を推進しようとしている。日本の食は、安さを追求することで安心性を失ってしまった。できるだけ安心できる食を取り戻そうということを国民は求めているのではなかっただろうか。自由貿易推進は外貨稼ぎとしては必要だろうが、日本の第一次産業を犠牲にしてもいいという錦の御旗にはならないはずだよ。
「ニッポンの農力」という連載を始めている日経新聞も、いい内容を書き始めたと思って好意的に読んでいたけれども、第二部のスタート記事をみると、結局最後には「コスト削減によって競争力が増す」とか「これからは輸出で勝機を」ということを謳っている。つまり「農業は競争力のある産業になるのだから、補助はいらない」という論調に持って行こうとしているように思える。
改めて言っておきたいのだけど、欧米諸国に比べ、日本の農業保護は取り立てて厚くはない。それを素人が「仕分け」などと称して奪うなよ。
まあ、私も投票で民主党を選んだわけだから、あなた方の政策がどうなるのか、興味津々で見ています。けれども、4年後くらいにはまた国民の選択があるのだろうから、頑張って良い政策を進めてくださいね。お願いします。