やまけんの出張食い倒れ日記

今年はキノコ不作の年。でも軽井沢には美味しいキノコがありました。 「スターグリル」の軽井沢ハンバーグと、大作さん、藤巻さんと巡るキノコの旅

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キノコの写真を美しく撮ることで、この人を超える人はいないだろうと思うのがKINOKO WEBというブログを書く、大作さんだ。ご自身、すでに何冊かの著作を出しておられ、白バックで切り抜きするためのキノコ写真を大量に撮っておられる。それにしても素晴らしい写真ばかりなのだ。

■KINOKO Web
http://blog.goo.ne.jp/kinokoweb/e/edd9bf5fa0e0fe00d6105eeb867ecf2a

上記リンク先のドウシンタケの写真、素晴らしいでしょ? 植物ではなく生き物とも言い難い、菌類であるキノコの不思議で可愛らしい生態を、愛情もって写す名人だ。数年前に、彼が所属する千葉菌というキノコ研究会に入会して、撮影風景を観に行かせていただいた。その時以来、久しぶりにお会いして、キノコ採種のたびに連れて行っていただいた。僕にとってはまさしく撮影技術の勉強である。

場所は軽井沢。そうなると、丸井の溝口さんに紹介していただいて、以来すっかり仲良くなった永井農場にも寄らねば。有名な星のリゾート内に新しくできたモールに、ジェラート屋を出したと言うし。それに、軽井沢に住む親友のしんのすけ宅にも寄せてもらおう、といろいろ画策して盛りだくさんの旅となった。

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久しぶりの大作さん、常にニコニコとパワフルなのはお変わりない!

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まずは軽井沢駅から来るまで5分程度のところにある「スターグリル」へ。

「ここ、東京でキノコ料理に定評のある『マッシュルーム』で働いていた内堀君がシェフを務める店なんですよ」

と大作さん。マッシュルームといえば都内でキノコ料理といえばここしかないという、シェフが自分でキノコ採種にいって料理するという店である。そこで働いておられた方ならば、やはり天然のキノコが食べられるのだろうか!?と期待に胸を躍らせながら入店。

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「ほんとはフレンチをやるはずだったんですが、なぜかオーナーの意向でいきなりハンバーグとステーキの店をやることになりまして、、、でも、ちょこちょことキノコ料理やったりできるので。今日も、いくつかお出ししますね!」

とのこと。うーんやっぱり大作さんときてよかった。

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ハンバーグは150gから250gまで選べるが、ここはやっぱり250gでしょう!がっつりお願いする。ソースはオリジナルソースとジャポネーゼ風、そして季節のソースの三種から選べる。子供連れもまったくOKで、お子様ランチもある。これがまた充実した内容で驚いた。新しい店なので、軽井沢の人はまだあまり識らないだろう。でも、ここは超・穴場だということがすぐにわかった!

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付け合わせのサラダがまずもって、ちゃんとしている。市販の業務用ドレッシングではなく、調理場で創ったフレンチドレッシングである。

そして、、、これはメニューにはない料理。

「12種くらいのキノコをスープにしました。ぜんぶ、僕が採って保存して置いたものです」

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このスープの複雑玄妙な味が実に佳かった!
子供にもわかるような単純な味、ではない。いくつもの天然キノコから染み出たアミノ酸、甘み、渋みなどが複雑に絡み合い、そしてヌメリのあるきのこからとろみが溶け出し、なんともいえない気持ちよさを舌の上に残す。

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まちがいなく天然の旨味である。

「ソテーしたキノコです。ハタケシメジだけは栽培ものですが、その他は全部天然です、、、」

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うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これ、まともに食べたらいくらかかるの?という豪華な内容だ!わかる人にはわかるだろうが、セップ茸やホンモノのマイタケなども入っている、、、どのキノコも持ち味が違い、食感も違う。炒めるときにまとわれた油脂によって、香りと旨味が凝縮される。まさしくご馳走だ。

そして、、、

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これが軽井沢ハンバーグ! こちらは150gだ。

そしてこっちが250g。かなりいいボリュームだ !

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しかもですな、別添の皿にはいっているのがトマトベースのオリジナルソースなんだけど、このハンバーグに最初からかかっているブラウンのソースは、、、

「これ、普通はお出ししていないんですけど、セップのペーストです。」

なんとなんとなんと! それは素晴らしい!じゃあ、ということでソースはかけずにこのセップペーストだけでいただく。

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分厚いハンバーグの断面に、いろんなモノが入っている。ん?キャベツが入ってる。あと、、、ナッツ、これはクルミ?

「はい、軽井沢ハンバーグという名前をつけていまして、この辺の高原野菜や食材をいろいろ加えています。」

頬張ると、まず外側のセップのペーストが含んだ天然のグルタミン酸と、なんともいえないくぐもったような風味が鼻に抜けていく。噛みしめると、適切に火の通った、噛み応えのあるハンバーグの食感。肉を自分のところでミンチにしているんだろうか、きっちり食べ応えのある強さだ。いたずらに脂を加えていないようで、ジュワワッと出てくる脂はほどよい。だから、食べていて嫌気がささず食べきることが出来る。これはフレンチの香り漂う大人のハンバーグだ

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オリジナルソースもトマトの酸味が効いており、へんにくどいドミグラスっぽくなくて美味しい。エスプリに満ちたハンバーグである。あっというまに食べきってしまった。

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デザートのシューアイスも手抜き無し。これは勿体ない店だ!

メニューにはハンバーグとステーキがどーんと載っているので、大半の人がそれらのセットを頼んで終了するだろう。しかし、ここはあらかじめ予約をして、その際に「キノコのコースを食べたい」とお願いして来るべき店だと思う。ちなみにキノコのコースはちゃんとメニューに特別コースとして記載されている。

今回掲載したのは、大作さんと一緒にうかがったことで特別に出してもらっているというのがあるので、セップのソースとかが普通につくとは思わないようにおねがいしたい。しかし、これ、マジで旨い。きけば相当に手の込んだソースだそうだ。これを特別料金でメニュー化した方がいいんじゃないの?あ、すんごく高くなるのか。でも俺はそれでもまた食べたいな!

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内堀シェフ、本当にご馳走様でした。まだ試行錯誤しているらしいが、次回再訪時にはもっと素晴らしい店になっているような気がする。

■スターグリル
http://www.stargrill.jp/index.html
〒389-0102 長野県北佐久郡軽井沢町 軽井沢1057-16
Phone 0267-31-0710 Fax 0267-31-0720
Open 11:00 〜 21:00

さてしかし内堀さんいわく、「キノコは軽井沢でもほとんどない!」そうなのだった。今年は、キノコが発生するのに重要な9月の雨があまり降らなかったので、発生が少ないということなのだ。うわーん 知ってたけど、ショック。

キノコは植物とは違い、菌である。倒木などに菌が入り込み、樹の内部に菌糸をめぐらせ養分をじっくり吸収する。それが、低温とか雷の電気ショックとか、そういう刺激を受けることによっていきなり発生し、胞子を飛ばす。で、発生しない場合は、ひっそりと眠っている。今年は発生する要件が満たされなかったわけだ。いま、築地市場などでは松茸がキロ30万円くらいの値がついている。こればかりはコントロールできないのだ。だから、気候変化は重大なのである。

「でも、何とかならないかと思って、いま地元のキノコ採り名人のフジマキさんに電話しました。案内してあげるって言ってくれているんで、合流してください」

と、初対面バリバリの人の携帯番号を携え、合流地点へ。

フジマキさんは地元の工務店を営みながらキノコ採種を趣味とする方だそうだ。

「今年はないよぉ。けどま、歩いてみるか?」

と、ぶっきらぼうに見えつつ、やたらと面倒見のいい感じ。一行を彼の縄張りのとある山へ連れて行ってくれる。

※ご存じの方も多いだろうが、山は誰かの所有物になっていることがほとんどだ。そこで生えている山菜やキノコを無断で採るのはいけないことである。今回はそうした問題のないスポットで採種しています。でも勿論、フジマキさんが採種をする大切なスポットなので、どこだか場所は書けません。

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「やぁ、やっぱり無いなぁ、今年は8・9月あたりはどーんと出たんだけど、もう無理だな。だいたいちょっと遅すぎるんだよ。」

と言いながら歩く。そうか、、、と残念に思いつつも、歩いていると結構キノコが見つかる。それも、見つけるのはもっぱら本城家の子供達なのである。

「あ!みつけた!」 と次から次へとモユがキノコを見つける。大したものだとフジマキさんも大作さんも感心。

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どのキノコも、名前わかりません、、、スミマセン

そして大作さんも大物発見! 撮影風景を見せていただく。大作さんは三脚を使ってじっくり構図を決めて撮影する。機材はキヤノン5DmarkⅡ。使用レンズは最近出たばかりの100mmマクロF2.8を中心に、70-200mmなどだ。

それはわかっていたので、今回ぼくは、通常ではあまり使っていないタムロン90mmマクロF2.8を持参。90mmという焦点距離は、料理撮影には微妙に長い距離になって使いにくく、ニコン純正の60mmマクロF2.8を使うことが多い。けど、タムロン90mmマクロはだれもが銘玉と褒めそやすレンズだ。きっとこれでなければ撮れない絵があるだろうと思って持ってきた。それが正解だった。

大作さんが撮影後、「やまけんさんもどうぞ」と言ってくださる。大作さんが工夫して決めた構図をそのままいただいてしまったので、この写真は僕の写真とはいえない。勉強させていただいた一発。

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これは絞り開放でAvモードで撮影。特に露出は補正しなかった。この時F3.5と表示されていた。

「僕は絞り込んだ方が、背景の物語もわかるので好きですね。F11くらいに絞った写真も見せてもらえませんか」

と大作さんが仰るので、F11に絞って撮影。

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おおおっ たしかにこっちのほうが佳い! うーん 開放ボケに気持ちよくなりがちだけど、絞った方がいい場合もある。第一、35mmフルサイズだと、おなじF11でもフォーサーズやAPS-C機よりもボケが段違いに大きい。これは発見でした。

それと久々に三脚を使ってみたのだけど、ちゃんと構図を決めてから撮影するようになるから、いろいろ考える。それが、手持ちでぱしゃぱしゃ撮るのとまったく感覚が違うのだった。今後、多用してみたいと思う。

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ところで、フジマキさんの正体がわからず行動していたのだが、「まあ俺も写真撮って本にしてるから、帰ったらネットで検索してみてよ」とおっしゃるので、検索してみた。そしたら、キノコの本を多数出しておられる藤巻富雄さんであった!

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キノコ写真とキノコ衛生指導員として非常に有名な方なのであった!

「まあ来年またおいでよ。一緒に採りに行こう」

この暖かな出会いに、心から感謝。ありがとうございました!

それにしてもモユたちのおかげで、チャナメタケやムラサキシメジといった食べられるキノコが結構採れた。夜はしんのすけ家でピザを焼く。

しんのすけの人生史上で最も賢明な選択であったにちがいない、良妻賢母であるアヤちゃんが白神酵母でピザ生地を発酵させていてくれた。これを延ばして、豪華なキノコのピザに。

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これを焼くのは、薪ストーブ。上部にオーブンとなるスペースがあるのだ。

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「わざわざピザ窯を造る人が多いらしいけど、一年に何回使うかってかんじだからもったいないよ。薪ストーブ、スゲー使えるよ」

としんのすけ。うん、ほんとだ。俺も欲しい、、、 すぐに輻射熱でぶくぶくとチーズが沸き、生地がカリカリにやけていく。

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どうどうの完成!

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本気で旨かった、、、キノコの野生の風味と旨さが凝縮。生地のパリパリ感も味も最高。これ以上はない美味しさでありました。

素晴らしき週末。キノコの御指南いただいた大作さん、フジマキさん、美味しいハンバーグをご馳走になり、フジマキさんを紹介してくれた内堀シェフ、そして本城家に御礼を言いたい。本当にありがとうございました!

さて今週と来週はかなりヘビーな出張ローテーション。

明日から明後日は愛媛出張。木曜日は日帰り(!)で山形県の新庄市。片道3時間半はヘビーだなぁ、、、金曜日・土曜日は某誌の取材で岡山。そして日曜日は横浜市主催の地産地消フォーラムというシンポジウムで講演。週が明けて月曜日は国産丸を山からおろすために岩手県二戸市に入ってから久慈市山形町へ。3日は先日告知したホオズキサミット。4日は岩泉の視察。

うーん どこかで熱を出さないように、気をつけねばならない。原稿執筆案件については、編集部の皆様、どうか尻を叩いてください。今の時点では〆切をぜんぶ忘れています。

どうぞよろしくお願いいたします、、、