大洲市に来年4月にオープンする直売施設の立ち上げのため、愛媛に通う日々が続いている。松山空港から大洲市までは高速を使って1時間半くらいかかるのだが、もちろんその途上で参考になりそうな施設を視察する。のみならず、愛媛の食シーンの探求も欠かせない。いや、趣味じゃないよ、仕事だよ~!
この日は今治市内の先進事例を調査した後、昼食。僕をこの仕事に引きずり込んだ張本人である、大洲市役所の河野さんが先導役だ。この河野さん、大洲市に初めてプロレス興業を成立させた人で、みちのくプロレスを呼んで大入り満員にさせたという輝かしき実績を持つ御仁である。僕と彼の会話は、ほぼプロレスの話題(それも猪木のジャーマンはどの試合が美しいかとかなんとか)か、もしくはガンダム系の話題ばかりなのである。
さてその河野さんがイチオシなのが、僕が産湯を浸かった地である愛媛県今治市の新しき名物「焼豚玉子飯」(やきぶたたまごめし)である!
「ヤマケンさんが生まれた頃には無かったと思いますけど、最近のご当地系グルメでは外せないネームバリューです」
という。そう、実はしばらく前に朝日新聞の別紙「Be」の誌上で掲載されたB級グルメランキングでも、割と上位に焼豚玉子飯がランクインしていた。
焼豚玉子飯とは、ご飯の上に薄切りの焼豚を載せ、目玉焼きをのっけたところに甘辛いタレをまわしかけたもの、といえばいいだろうか。目新しいわけではないけれども、そういう組み合わせを堂々と料理とした事例がいまだ無かったという、アイデアものだ。
「今日は、元祖の店の味を受け継ぐと言われている重松飯店にいきましょう!」
という。地元民にはシゲハンの愛称で識られる名店だ。
11時半に行くが、あいにくまだ準備中。なんだよーとうろうろうろうろ。本日第一号の客となって入店。
他にもすんごく惹かれるモノがあるのだけど(中華ウナギ丼に注目!)、ここは目もくれずに焼豚玉子飯である。しかしここで、右下の「大盛り300円UP」というのに目がいく。300円増しってけっこうな金額だぜ!?てことは、相当にすごい盛りになるのか、、、650円の焼豚玉子飯がどうなるのか、みてみたい!
ということで大盛りを頼んだのである。
待つことしばし、ていうかそれほど待たない。まずは普通盛りが出てきた。
うむ、実にB級感と、われらのようなコッテリガッツリ系好きにはたまらないプレゼンスである!
しかし、そのすぐあとにおばちゃんが持って来てくれたドンブリをみて、さすがに俺も驚いてしまった。
でけえ!
目玉焼きが三つ!その下の、白飯の裾野が広い! 普通盛りとの差がこんなである。
いやー 久しぶりだよこんなの。
でもね、俺は白米には強いんだよ! 沖縄のカフェ・くるくまにて怒濤のカレー3皿を喰ったときのごとく、俺は燃えた。
みてのとおり美しい料理というわけじゃない。けど、旨い!焼豚にかかっているタレが、甘辛いコッテリとした味(いわゆる照り焼きソース系をもっと深みを増した感じ)で、それがこれでもかというくらいにかかっている。大量の白飯を喰い進めるのに不足無し。
しかも、目玉焼きの半熟の黄身を焼豚とご飯にまぶしつけて食べれば、黄身のコクがプラスされてこれまた食が進むのだ! うーんこれは実に佳い。
ということであっさり完食。久しぶりに燃えた。
しかしここで畳みかけるのが河野さんである。
「あのですねぇ、今治ではブロガーとラーメン屋さんが中心となって、名物ご当地ラーメンを創ったのが話題なんです。食べに行きましょう!」
うーん この河野さんのノリは、昔のプロレスが「3本勝負」とかやっていたのに似ている。
この店、木曜日だけ今治ラーメンを出すという企画なのである。今治ラーメンとはなにか、については検索してください。このブログをよく見ている人はご存じの通り、僕はそれほどラーメンには執着がないのです。
しかし、このあっさりした中にも芯のあるスープは実によかった。愛媛の特徴的な食感のよい麺とのからみもいい。
さすがに腹がきついが完食。完全に血液が胃の動きに集中し、車の中ではフッと意識を失い、熟睡してしまったのである。
その夜は、なんと芋煮。
東北で盛んに行われる「芋煮」だが、なんと愛媛にも存在するのだ!しかもこの大洲市が、素晴らしく旨いサトイモの産地として有名! ちなみに大洲式の具は、サトイモに鶏肉、醤油の甘辛い汁が定番の組み合わせなのである。
しかもこの季節のみ、大洲を代表する河川である肱川の河原が芋煮用に開放される。
芋煮や他の料理に酒を用意してくれる業者に頼んでおくと、こんな風にセッティングしてくれるのだ。
こうしてやけにハイカロリーな一日が終わる。愛媛の秋はこんな風に楽しむのである。