うーむやっとこのうどんのことを書ける、、、実際に足を運んで衝撃を受けたのは、舌の写真をみればおわかりのとおり、桜の咲く春だったのである。
愛媛県大洲市と深く関わり合い始めているわけだけれども、市役所の河野さんから
「ぜひ連れて行きたいうどんがあるんですよ。これがまた、お店とかそういうんじゃなくて、絶景の山の上ですする炭焼き集団のうどんなんですよ!」
という興奮気味 の紹介があったのである。なにかというと、集落の仲間が集まって小屋を建て、共同で炭焼きをしている「平野煙友会」という集団がある。「煙の友」というのが楽しいネーミングだ。
で、この平野煙友会のメンバーが、炭焼きだけじゃつまらんし、弁当もってきてもなーということで、いろんな旨いうどん店を歩き回り、修行もし、いつしかうどん打ちのスペシャリスト集団になってしまったのである。
最初は炭焼きの仲間達が、作業の合間にうどんをすするというだけでやっていたのだけれども、炭焼き小屋を見に来るひとも増え、どうせなら観に来た人にふるまおうということになり、こんな風↓になったのである。
そう、毎月7日を「うどんの日」として、集まってくれた人々にうどんを食べさせる。ただし飲食店ではないから、うどんを出すということではなくてあくまで炭焼きの模様をみていただくというのが趣旨。そのついでにうどんも食べてってや~というものだ。
実は、、、 驚いたことに毎月7日をめがけて予約が殺到して、定員をオーバーすることが多いと言うほどに人気を呼んでいるのである!
今回、特別に7日以外の作業日に、うどんを茹でていただいたのである!
山の中腹にある炭焼き小屋の横に、うどんののれんがかかるスペースが。奥にみえる大釜 にすでに湯が沸いている。
こちらが 代表の松平さん。いきなりうどんを茹でてくれという要望を聞いてくださってありがとうございました!
さてぐらぐら沸いた釜でさっそくうどんを茹でる。ちなみにここのうどんが旨い理由は、湧き水を使っているからだという。たしかに水道は通っておらずでかい水タンクがしつらえてある。湧き水で茹で、湧き水で締めるのだからそりゃぁ旨いに決まっている!
松平さんが捏ねて打ったうどん麺を釜に投入。
ちなみに会にはうどん打ちの名人が数人いて、人によってもまた味が違うらしい。
それにしても、山からの風景はとても美しい里山のみはらしである。釜から上がる湯気をすかして眺めているだけで心地よい時間が流れていく。
ちなみにここの本当の趣旨はあくまで炭焼き (笑)炭焼き窯をみせていただく。
僕も昔、新潟の山中で炭焼きをさせていただいたことがあるが、これまたいい時間が過ぎていく作業だ。
この日、煙友会では竹炭を仕込んでいた。
窯に竹を隙間無く詰めていきながら、 その横で窯の口をふさぐための粘土を練っている。この赤い粘土のテクスチャーがまた美しい。
「おおっと、まだうどんが茹だるまで時間があるから、豆腐田楽やいといてよ」
と松平さんから、田楽サイズに切った硬豆腐と竹串を渡される。
しっかりと焼き目をつけて、フキ味噌を塗って香ばしく炙る。
絶品だぜ、、、 ちなみに大洲の豆腐は田楽に向いた堅めのものだ。風流な味である。
さてそろそろ茹で上がり。ちなみにここのうどんはお隣香川県のさぬきうどんの流儀だけど、味付けはじゃっかん愛媛風。なにが愛媛風かというと、つゆがさぬきより少し甘い(笑)それがまた旨いのだ。
薬味もお好みで一杯。
生み立ての玉子もほれこの通り。
さーて茹で上がり。
まずは茹で上がったのをそのまま、あらかじめ玉子を溶いておいた器に入れて、釜玉だ。これを最初にやった人は本当にエライ。釜玉はうどん会の地位向上に確実に資する発明であったと思う。
ここに、例の甘いつゆを注ぐ。つゆはもちろん松平会長のお手製である。何度も言うが甘くて旨い。
うん、いいうどん、美味しいうどんです。 愛媛のうどんはそんなに腰がないのが多いけど、平野煙友会のうどんはほどよい腰を追求している。釜揚げ状態だとホヤンとした柔らかさと適度な腰が共存する。
思い思いにみな、ざるからうどんをたぐって食べに掛かる。
「さーて ひととおり食べたら、今度は水で締めるよ!」
と松平さんの声が掛かる。
ここで出てくるのが、湧き水タンクである!
考えてみればこれは一番の贅沢だ。水の美味しくない地域でやったって、絶対に叶わない。よく締まったうどんを、こんどは特製つゆと大根おろしと青ネギでいただく。写真取り忘れるほどに旨い。またたくまに4杯くって、お腹いっぱい。
炭焼き作業が一段落した煙友会のメンバーさんたちも合流して、思い思いの食べ方でうどんをすする。
いや、なんともたまらないいい時間です。
食べたい人は毎月7日に、事前に予約の上で集まること。それだけじゃなく、心構えとしては「お店じゃないんだから、仲間に入れてもらうという気分で」行くことをお薦めする。ほんとに味のあるおじちゃんばっかりだから、炭焼きの講釈を伺っているだけでも楽しい。そしてその脇で茹でられたうどんを、この景色の中で啜り込むのが、、、また素晴らしい。
隠れた愛媛県大洲市のスポットであった。ああ、また喰いたい、、、