※いましがた諸井社長から連絡があり、昨日だけで120本くらいは売れてしまったとのこと。欲しいと思う人は早めに買った方がいいと思います。
もう、何もいわずに諸井醸造元のWebサイトに飛んで、ぽちっと購入ボタンを押すべきだ。これは、本当にその価値がある素晴らしい魚醤である。
説明するまでもないだろうが、魚醤とは魚を塩漬けにして長期間醗酵させることでできる、醤油のような調味料だ。タイのナンプラー、ベトナムのニョクマム、そして古代ギリシャではガルムというイワシを原料にした魚醤があったという。
日本には主に日本海側に魚醤文化があり、秋田県ではしょっつる(塩汁とかく)、北陸ではいしるが有名だ。そして、発酵食品文化の伝道師である小泉武夫先生のお骨折りもあり、全国の水産関連の産地で、ニュータイプ魚醤が産まれてきた。例えば北海道では、石狩で獲れる鮭のハラワタやアラを原料にした「鮭醤油」が売られている。僕も使っているが鮭らしく濃厚な味わいだ。あと、本ブログの過去ログにもあると思うけど、高知県では鰹のハラワタをつかった「びーみ」という魚醤があった。残念ながらこちらはすでに販売終了してしまったらしいが、、、
そんな魚醤だが、魚醤を使った郷土食文化はかなり廃れ始めている。秋田のしょっつるは日本を代表する魚醤だが、安いナンプラーなどを輸入してブレンドしたりする業者がいたりするらしい。
こういう状況に危機感を持ったのが、秋田県の男鹿半島でしょっつるを造り続ける諸井醸造所だ。その模様は過去ログに詳しい。
■2006年06月26日 総走行距離363キロ!秋田県縦断 日本酒としょっつると旨い飯ばかりの豪雪体験だったのダ! その6 魂のしょっつるバカ一代を観た!穏やかで柔らかいその液体に驚愕!http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/06/6.html
その後も諸井さんとの親交は続いていたのだけれども、もの凄い商品ができたよということを先日きいた。それが、こいつだったのだ!
英字新聞に包まれた、凝った梱包を解くと、まるで高級なコニャックかウイスキーかという瓶が出てくる。
1999年に仕込んだという、10年もののビンテージしょっつる。ちなみに原料は、日本海を代表する魚の一つであるハタハタだ。ハタハタ100%のしょっつるは、この諸井醸造所しか造っていない。その味は、しっかりとした旨味がありながら端麗で上品、プンと鼻を突く魚の匂いが「香り」に昇華されている素晴らしいものだ。しかし、、、
この「十年熟仙」は、その上品さが数倍に昇華されている!ドスンと来るアタックが限りなく柔らかくなり、どんなジャンルの料理にも使うことが出来る、深い旨味を湛えた調味料である。
ラベルをご覧いただきたい。手書きでシリアルナンバーが入っている。500本中の94本なのである!
しかも、ラベルに書いてあるとおりの非加熱であるということは、瓶詰めしたこの状態で置いておけば置くほどまた熟成が進むと言うことでもある!
たった200mlで3000円という価格。けど、佳い調味料を使ってみたいと言う人は、我慢してでもこれを買う価値がある。ていうか、外で呑むコーヒーを10回我慢すれば買えるじゃん。無意識に買ってしまうペットボトルを30回我慢するだけで体験できるのである。
俺は大人買いしたよ。とりあえず十年熟仙を5本(!)。それと、ふだんづかいの通常のハタハタ100%しょっつるの1リットル(3000円)を1本。これだけあれば、実に豊かな食卓になるのだ。
「どうやって使うの?」
という疑問があるだろう。諸井さんとこのWebにいろんなレシピがあるから参考にするといいとおもうが、もうね、とにかくパスタに合うのよ。オイルベースであろうとも、トマトベースであったとしても、このしょっつるを垂らすだけでものすごい深みのある旨さが加わる。だって、アンチョビを濃縮した液体のようなものですからな。醗酵しているから、アンチョビ以上にもの凄いアミノ酸のカタマリなのだ。我が家のパスタはこれが欠かせません。
本来的な使い道である和食はもっとかんたん。醤油や塩の代わりに使ってみて欲しい。魚にはがっちり合います。
どうやら限定500本のうち、もう半数を切ったらしいので、早めに買っておかないとなくなるぞ。飯尾醸造の富士酢プレミアムの時と同じくらいの衝撃度で、この商品を推しておきたい。
諸井さん、ほんと、素晴らしいです。おめでとうございます!
■諸井醸造所 http://www.shottsuru.jp/
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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