まあご存じの方も多いだろうが、愛媛県ではいろいろと「甘い」ものが多い。スイーツのことではない。関東なら塩がきいてる料理が、なぜか砂糖いれすぎのように甘いということがままある。
「やまけんさん、松山で根強いファンがいる『甘~いラーメンを食べましょう!」
と、大洲市役所のプロレスとラーメン好きK野さんが言う。この方はプロレス好きが高じて、大洲市に本当に団体を招聘して興行の立役者になったりした趣味人だ。そしてなにより、実に仕事のクオリティが高い。役場の人はかくあるべきという、大洲市をよくしたいという熱意にあふれた御仁なのである。
そのK野さんが推すんだから旨いのだろうと、前回の愛媛行の際に訪れた。その際にはなんと初めてニコンD700のバッテリーが尽きてしまい(前夜から電源入れっぱなしだったのがまずかったか!)、撮影できなかったのである。K野さん、それが残念だったらしく、「今回リベンジしますか?」と聞いてくる。
「んー まあ別に、いいですよ」
と生返事をしたら、かなりがっかりしたような表情を0.3秒くらいしたので、その後0.2秒で「いや行きましょう」と反応し、行くことになったのである。
まったく気取りのない店構え。どちらかというと飲み屋の呈だ。
これが、じっと観ているとビジネスマン4人組とかだけじゃなく、若い女性が入っていったりしている。かなり広範に支持されている店らしいのである!
ラーメンは普通・中盛り・大盛り。まあ普通は中盛りであるらしい。
これが中盛りである。
豚骨醤油系?なのだろうか、一見濃そうなスープにメンマ・チャーシュー、青ネギというシンプルな布陣だ。
麺は中太、なめらかなテクスチャーで僕の好みに合う。しかしこのラーメンで存在感が大きいのはチャーシュー。
よくある煮豚ではなく、ガチッと堅く、きっちりと味のしみこんだ、とても美味しいチャーシューが塊で入っている。厚みがイイ!
で、、、
全体の味だが、ホントーに、甘い。 いや、これは、、、 ありなのか? と問いたくなるほどに、甘い。ウソでしょ?と思うほどに甘い。もちろん醤油ベースの甘辛なのだけれども、どちらかといえば甘さの方が強く感じるスープである。ワンアンドオンリーな味! かというと、そうではないそうだ。
「愛媛のラーメンには”瓢系”というジャンルがあるんですよ。他にも数店、甘いラーメンがあります。けど、私はここがイチオシですねぇ」
というK野さん。そうですか、そうですか。これ、一派をなしているのですね。
美味しいか美味しくないか。これは好みの問題に帰結するだろう。で、僕の感想としてはとても美味しいです。世界観がギュギュっとまとまっていて、麺や具材のレベルも高い。「甘い」という先入観だけではなく全体性を観なければならないな、と思う。
佳い郷土食をいただきました、、、