やまけんの出張食い倒れ日記

「宇宙船地球号」で放映された「こめたま」はこういうものです。

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昨晩、「情熱大陸」の裏番組である「素敵な宇宙船地球号」を観た方はいるだろうか。いきなり番組のアドバイザーとして僕が出てきたのを見た人はビックリしただろう。

テレビのたぐいは、NHKしか出ないこととしていたのだけれども、番組制作会社のスタッフの姿勢がとてもよくて、協力することにした。

企画は「地球号食堂」というもので、佳い農畜産物・海産物を取り上げて、それを使って、実際にお店でメニューを作り、お客さんに食べていただくというものだ。

僕なりに「国産であること、自給率を上げること、正しい造り方をしていること」を訴求した素材を提起し、それをつかってある飲食店が実際にメニュー化する。第一回目は卵である。

「こめたま」は、僕の本「日本の食は安すぎる」などを読んだ人や、朝日新聞の記事を読んだ人ならご存じだろうが、玄米をメインの餌として食べた鶏の卵だ。映画キング・コーンのエントリにも書いたが、日本の畜産業の餌はほぼ輸入コーンである。青森のトキワ養鶏の石澤さんは「これでは、国際価格の乱高下によっては餌の輸入が絶える可能性がある」と危機感を持ち、国産の餌の追求を始めた。その解答が「米を餌にする」ということである。

畜産の餌は、飼料設計をして、必須の栄養価が満ちていればよい。従って国際的な穀物の需給によって、コーンや大豆、小麦やマイロなどを由来とする飼料の内容は変動するのが常だ。昨年は同時多発的食料危機のせいでトウモロコシが高騰し、畜産農家は大打撃を受けた。

でも、そもそも輸入飼料に頼りすぎた畜産業であることも問題なのである。飼料米の取り組みは一昨年からかなり拡がりつつあるが、このトキワ養鶏こそがパイオニアといっていいだろう。

飼料米を高い割合で与えた卵は、こんな色になる。

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とっても淡い淡い黄身なのだ。 市販のオレンジがかった卵を並べると信じられないくらいに淡い。この辺のからくりは時間ができてからゆっくり書こう。

ちなみにこの「こめたま」で卵焼きを作ると、真っ白くなる。実演してみましょう、と思ったのだけど、、、

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もうしわけない、僕は甘めの卵焼きが好きなので、みりんを入れて強火で焼くのだが、そうなると焼き目がついてしまって白さがわからない!

まあ、焼き目をつけないオムレツにすると、白いのですよ。

この「こめたま」、現在は一部の生協や飲食店に限定された販売なのだが、、、なんと都内で買えるようになった!

取り上げたのは、なんと百貨店のマルイ。 北千住の駅に隣接したマルイの食品売り場で販売開始している。一玉100円で、6玉入りが600円。 これを高いと思う人は、食についてなにが安くて何が高いかを、じっくり考えてみることをお奨めする。

ちかじか、某有名レストランでもこの「こめたま」を採用する見込み。時代は「内実」に目を向けつつある。ま、そりゃそうだ。この「こめたま」は意味的に面白いだけではない。

「美味しい」のである。日本食のような出汁のような味。ぜひ、市販の卵と並べて食べ比べていただきたい。