さて食事から帰ってくると、すでに先ほどの大きな桶に漬けていたすぐきをひきあげ、サイズごとに分けて、樽に詰めるという作業が始まっていた。
田鶴さんのお父さんが、この大きな(どこで売ってるんだろう、、、)ざるに山盛りになったすぐきを、脇の樽に分けている。
農の生産現場と消費者の距離が遠くなってしまった今ではあまり理解されにくいことだが、野菜も果物も、同じ大きさ・同じ形のものばかり採れるということはあり得ない。大きいものから小さいものまで、形の佳いものから悪いものまで様々だ。それを一通りの基準に合わせて選別するのは、農家が行っている負荷のかかる作業である。ま、おそらくこのすぐきに関しては、サイズの違いは漬け加減の違いに繋がるので、出来るだけ均等に漬かるように、分けているのだろう。大石センセイ、間違ってたらご指摘下さい。
そういえば、なぜこのように盛大に長い葉も一緒に漬けるのか。実は、葉と一緒に漬けなければ、独特のすぐき漬けの味にならないのだそうだ。
「葉の中に醗酵を促す菌がいるわけよ。そこが他のカブとも違うところだね」
と大石が教えてくれた。なるほどね!
だいたい仕分ける作業が終わりに近づいてきた。これらの樽はぎっちり塩をされて、蓋を閉めて、先の天秤にかけられる。
ちなみに、天秤にかけられて圧縮されているすぐきは、塩分が浸透し水分を出しながらかさを減らしていく。つまり天秤棒が下がってくる。そこにまたすぐきを追加して、さらに圧力をかけていく。
天秤を外して蓋を取ると、こんな風に平らに圧縮されている。そこに、新たにすぐきを盛り込んでいく!
並べ方も規則的で、秒速でこれを仕上げていく。写真で追いつくのも大変だ!
たっぷり塩を盛っていく。何%くらいの塩分濃度になるのだろうか、菊のを忘れたけれども、半端無い量の塩をまぶしていく。でも、この後に塩抜きをする行程はなかったと記憶しているので、この天秤にかけている段階で塩加減を決めているはずだ。
見事にすぐきの山になった!
このうえに、すぐきの葉だけを藁で束ねたものを置く、蓋で圧をかける際のクッションだろうか。その上に蓋を載せ、再度てんびん棒でギュウギュウと押すのである。
極寒の中、作業はこのように続けられるのである。さて、順序は逆になるが、5時間後には朝の作業。すぐきの皮むきと下漬けである。
(つづく)