さて、いよいよ石川の元気な農業者さん達と会食である。場所は今回講演で僕を呼んでくれた、県のほうで採ってくれたものだ。
「近江町市場で加賀野菜を商っている、北形さんに紹介してもらったんで、美味しいと思うんですけれども、、、」
と県の東さん。期待しちゃいますわ。
■食楽 かぶ菜 http://www.miraicorp.co.jp/kabuna/index.html
突き出しにいきなり治部煮(じぶに)。 昔、小学校の給食に「じぶ煮」が出てきたときには「なんだこのどろどろ不味いものは!?」と思ったものだが、ちゃんとしたじぶ煮を食べてびっくらこいた。なんて上品で美味しい煮物なんだろうか、と。以来、北陸に来ると必ず食べるものの一つ。
地魚中心の刺身盛り。といっても、富山とは違うので、エビの種類は多くはない。それでも甘エビは東京で食べるものと次元が違って旨い、、、
白エビ唐揚げ。これは富山湾かな?
加賀野菜の一つ、金時草(きんじそう )。赤と紫の色が綺麗な菜っ葉だが、茹でると濃い緑色に染まってしまう。とろみがあって美味しい。クセはないので、万人向きの葉野菜だ。
これも石川名物のヤマノイモ類、丸芋のとろろだ。
粘着力が強く、この玉を箸でつまんでもとろとろになってしまうことがない。この形をたもったまま舌に乗ってくれる。
この方が北形謙太郎さん。金沢市内での買い物では圧倒的に人気の高い近江町市場内で、昭和5年から続く八百屋をしている。
■北形青果 http://www.kagayasai.com/index.html
まだ30歳だが、なかなかに意欲的な人。加賀野菜に限らず、全国から美味しい野菜を取引しているようだ。明日はこの人と一緒にパネルディスカッションをする。
そしていい気持ちになりつつある若手生産者たち。いまどきピースするなよぉ、、、
新タマネギの煮物。タマネギ大好きな僕にはイカス!
お、出た、レンコン蒸し! 加賀のレンコンは関東のそれとは価値基準が違う。関東ではシャキシャキした歯触りが喜ばれるが、こちらではネットリ、ホクホクしたものが好まれるのだ。その粋とも言えるのが、すり下ろしてでん粉を餅のようにねっとりさせたこの料理だろう。
味わっていると、仲居さんが「気をつけてくださいねー」といいながら、ものすごぐばちばち音を立てるモノを持ってきた。
おー、タチ(タラの白子)である。焼き石の上で焼く算段。
しかも、上の部分だけはがして食べて、 石にくっついている部分はカリカリに焼き付けて煎餅として食べるのだという。仲居さんがぜーんぶやってくれた。
まあこの間、みんなとお話ししてはいるのだけども、この店、実に 料理が美味しい。おそらく地元の人からするとよそ行きな店なんだろうけれども、僕のように外から来る人間には非常にいい店だ。
シイタケ、 原木栽培は当然、能登の方で栽培されている特殊な品種。分厚くて旨味がコッテリ乗っていて、バターたっぷりで炒めたのが旨い!
そして、ある意味これはメインディッシュ。
加賀野菜の一つ、五郎島金時芋の天麩羅だ。
金時芋といわれているもので有名なのは、鳴門金時とこの五郎島金時だろうか。どちらも高系14号 の系統。どちらにも共通しているのは、沿岸部の砂質土壌で造っていることだろう。砂の多い土壌が、あの甘さと香りと食感を産むらしい。僕が学生時代にやっていた畑では、関東ロームと黒ボクの中間くらいの土質だったので、もっとみっちり詰まった肉質になってしまったものだ。
それにしても五郎島金時の天麩羅、お菓子のように甘くて香り高い。しかもその甘さが長引くことなく、ほうっと消えてくれる。これが、でん粉の糖化による甘さか。
「これは旨いから、俺の畑のじゃないなぁ、わっはっはっは!」
と笑うのが、五郎島金時の生産者である河二(かわに)さんだ。
五郎島金時の生産者49名の一人だ。そして、これまでは捨ててしまっていた格外品を焼き芋加工してペーストにしたものを販売する事業を進めている、地元では一番はっちゃけた生産者さんである。この日も一番はじけ飛んでいた(笑)
でっかいノドグロ。クリックすると大きくなります。
さてレンコン蒸しに続いてはカブラ蒸しだ。京都とはまた違う風合い。カブラに含まれているイソチオシアネートのツンと来る香りが、加熱しても少しだけ残っているのが鼻を刺激して、たまらない。
ということで、加賀の素材と加賀料理を堪能。
「よし、じゃあ二軒目は美味しいそばを食べに行こう!」
■手打そば 藤井 金沢市片町1-7-15 片町キンリンビル1F
この店、席数が13席しかないのだが、酒が飲める せいか長っ尻の客が多いようで、ずいぶん待ってしまった(20分くらい)。その間も、つぎつぎと店を覗きにくる客多数。「あーこんなに待ってるのか!」といって帰って行く。
通常金沢ではそばでしめるというのはないようだ。このお店は生粋の更科蕎麦だそうで、他にはない美味しさだという。20分ほど待ってようやく中にはいることができた。
〆だけど、ここはいろいろ食べるべし、と思い、辛み大根蕎麦と十割蕎麦を。
ここによく出入りしているという案内人が、暖かな蕎麦を啜る。
これも美味しそうだが我慢!
さてまずは通常のせいろを辛み大根の汁で楽しむ、辛み大根蕎麦。
む!
ここは東京か!?と思わんばかりの江戸前蕎麦。蕎麦の香りの立ちも申し分ない。辛み大根の量はちょっと寂しいが、これならそういう飛び道具はいらない。
そして十割蕎麦!
ええとですね、 まさか金沢くんだりでこんなに美味しい蕎麦に出会えるとは思わなかった!というのが全てです。素晴らしい十割。技術もよし、粉もよし、つゆの塩梅もよし。堪能いたしました。
金沢も奥が深い、、、こんどは3泊位したいものだ、と思いながら帰途に着いたのであった。この時、熱が37度5分くらい。すぐに寝たけど、翌日38度は確実にあるふらふらの状態で、講演に臨んだのであった、、、