息も絶え絶えに出張にいっているさなか、岩手県二戸市の杉澤君から吉報が届いたのだ。
「おめでとうございます、やまけんちゃんの短角牛に第二子誕生です。今度は立派な男の子ですよ!」
おおお、やった! 第二子の誕生である!
第一子はメスの「さち」。普通なら母牛にして、さらに子牛を採るところを、肉牛にするべく肥育に回し、来年の4月ころに出荷時期を迎えるところだ。それに併行して、今度は雄牛。産まれてきてくれてありがとう!立派な体格ということだったので、いい肉牛になってくれることだろう。
ちなみに雄牛は、よほどの素質がない限り、半年以内に去勢されてしまう。雄のまま成長すると、身体がでかく、肉が硬く、匂いも悪いものに育ってしまい、肉牛として出荷ができない。去勢すると、肉が多くとれ、肉質もよいものに育つのだ。可愛そうだが、家畜である以上、避けられない運命である。実は昨年、僕は去勢シーンを目撃した。獣医師さんがピッと陰嚢を切開し、精管を切るのである。んーーーーーーーーーー 観ていて股間がもぞもぞとしてしまい、なんともやるせないシーンである。でも、肉を愛する人はこれをきちんと想像し、ありがたさを感じるべきである。
しかし、いいニュースばかりではなかった。
「残念なことに、やまけんちゃんの母牛は、やっぱり乳房に問題があるようです。昨年、さちに乳を与えないということがありましたが、今年も乳房が一つしか使えません。」
なんと、また起こってしまったか!
実はこの母牛は、生まれた子牛に呑ませる乳が濃すぎるのか、乳房が詰まってしまい使えなくなってしまうということが昨年起きた。
■衝撃を受けてしまった、、、牛さんの世界にも”育児放棄”が存在する! どうも神経質な子だと思っていた僕の母牛が、子牛の”さち”に乳を与えてくれないのである。ショックだ、、、
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2008/07/post_1183.html
今年も起きたということは、彼女の遺伝的特性だということだ。
「残念ですが、今年、母牛を交換しましょう。年末に開催される家畜市場で売りに出して、違う牛を購入してください。」
うーむ
やはり畜産はリスクの塊なのである。肉牛なんて安いもんじゃない。それが、乳を出してくれなかったり、疾患のある子供を産んだりすると、即座に経営に支障が出る。そんなリスクの塊である牛肉が安いなんて状況は、オカシイのである。
とにかくいまは、この男の子がすくすく育ってくれることを祈るばかりである。
ちなみに、第一子のさちは今、漆原牧場にて肥育段階に入っている。一日600円の餌・世話代を支払ながら、大きくなり、来年の5月くらいに出荷となる。
あー もうお別れが見えてきてしまった、、、
4月、また二戸にて、彼らと会う予定なのであった。