ちまたではニコンのD3Xが90万円!とかキヤノンのEOS5DmarkⅡに黒点が出る!?とか騒がれているが、、、実は僕のカメラでの新しい、そしておそらく最大のチャレンジは、デジタルではないのであった。
大判カメラ。 フィルム面の大きさがすでに通常のL判プリントサイズくらいになる、どでかい撮像面を持ったカメラだ。よく写真館とか、修学旅行の記念写真とかで黒い幕をかぶったカメラマンのおじさんが「はい、うごかないでね、バシャッ」とやる、あれだ。なんで、手でもってぱしゃっと撮影するカメラじゃないんだろう、だいたいあの時代錯誤的な蛇腹はなんなのだろうか、と思っていたのだが、、、
大判カメラが、いわゆる普通の一眼レフカメラ(35mmという)と違うのは、先述したとおり撮像面、フィルム面がでかいこと。だから、でっかいサイズに引き伸ばしても精細感が損なわれない。だからプロの写真の世界では、まだまだ大判は活躍している。
とはいっても、撮影するのが35mmカメラにくらべ超・面倒なので、大判カメラの出番はどんどん減っているという。ちなみに大判にも8×10というどでかいのがあるが、こいつは本当にもう出番が亡くなってきたといわれている。僕が買ったこのカメラの規格は4×5(シノゴ、と呼ぶ)というものだ。
しかし、僕がこれに取り組みたい理由は撮像面のデカサではない。
ごらんのとおり、レンズがある本体前部とフィルムを装着する本体後部の間は、黒い蛇腹(じゃばら) で繋がっている。蛇腹になっているということは、前後に伸び縮みするということに加えて、横方向や斜め方向にあおることができるということだ。
あおることによって、ピント面をコントロールすることができる。なんのことかというと、、、
カメラのピントは、ある一点にしか合わない、というのはうそで、ある面にしか合わない、といった方が正しい。レンズと撮像面(フィルムとかデジカメのセンサー)は、通常は平行だ。従って、ピント面もそれと平行になる。佳いレンズでクローズアップで料理を撮るとき、絞りを開けるという撮り方をすると、一点にしかピントが合って無くて、あとは盛大にぼけた、幻想的な写真を撮ることができる。この時、一点にピントが、と思っているけど、実は面になっている。そしてレンズと撮像面が固定されている場合は、その面は撮像面と平行になっている。
しかし、そうなると風景写真を撮影するとき、困ることがある。
例えば棚田の写真を撮るとする。先日いった栃木県の南那須の棚田の写真を例に取る。
ご覧の通り、階段状に降りていく棚田。撮影時の意図としては、この一枚一枚全部の棚田の面にピントを合わせたいのだけども、それは全然無理。この写真では割と手前のほうにピントが合っていて、奥の方はぼやけてしまっている。
ここで、大判カメラの場合は、蛇腹をあおってレンズ面を傾けることができる。そうすると、ピント面をずらすことができるのだ! 、、、というのは、本を読んだり人に訊いた話であって、まだ僕はそれを実現できていない、、、
要するに僕は、畑や田んぼの、全域にピントがガシッとあった写真を撮りたいのである!そのために大判カメラを買った。
いろんなひとから「辞めた方がいいよやまけんちゃん」といわれた。プロカメラマンのことごとくが「そりゃダメだ。辞めとけ」という。編集者の知り合い達にも「ええええええ 時代に逆行してるね、、、」といわれた。
けど、アントニオ猪木好きの僕としては、逆境に追い込まれれば追い込まれるほどに血がたぎる!そんなにみんなが辞めろっていうのは、きっとスゴイ世界が拡がってるってことじゃないか!?と、、、
というわけで買いました。中野にある中古カメラ屋の伝道、フジヤカメラにて5,6000円なり。
「あんがい安いじゃん!」
と思うでしょ? これにレンズ。シュナイダーのジンマー150mmが、レンズ剥離寸前だけど激安で15,000円。1年持てばいいやと思い、購入。これに加えて、フィルムのクイックローダー2,5000円。ピント確認用のルーペ7000円。フィルムも激烈に高いから、ポラロイドフィルムを装填できるローダーがやっぱり2,5000円。そしてインスタントフィルムが10枚で2000円、、、本体価格よりも、周辺機器や消耗品価格のほうが高いのだ!
それに、4×5のフィルム現像は一枚300円で、それをプリントすると、、、最低ラインの大きさでも一枚2000円以上! ひえええ失敗できねーよ!
ということで、最初の撮影テストは、インスタントフィルムバックをつけて撮影。しかし、最初に装着したインスタントフィルムパック、撮影後のフィルムを力を入れて引き出しすぎて、おじゃんに。一瞬にして2000円がふっとぶ!きゃああああああああああ
気を取り直して装着しなおし、撮影するも、変な光が入ってしまう。なんでだ?と5分ほど逡巡。レンズの下部にあるスイッチをひねらないといけないことに気づく。
そんなこんなをやりつつ、ようやくインスタントフィルムに、思っていた構図で写真を撮ることができた、、、 はい、洒落です。
和歌山県北山村から届いた、今年度産の「じゃばら」のセットの箱を撮影。
いやー
こいつでちゃんとしたフィルムを使って撮影するのがいつになるのか、、、
道のりは遠い。けど、頑張るぞ。
ちなみに
これで撮った4×5のリバーサルフィルムを、どのようにしてスキャンして画像にすればいいのか、どんなスキャナーが一番いいのか、とか、全くわかりません。知ってる人、教えてください!!!!!!