やまけんの出張食い倒れ日記

札幌の野菜料理達人 吉川さんが居る 「ベジカフェ まーくる」にて、北海道の食関係者の集う現場に触れる!

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野菜をメインにしたメニューを提供するカフェが結構増えているようだ。これまではオーガニック系の流れに乗っているものが多かったが、特にそれにはこだわらず、むしろ品種や地域の在来種などを取り上げるようなココロザシある店も散見されるようになっていると聴く。

「札幌でね、僕ら食品関係事業の人間がたむろする店があるんだ」

といって、望月製麺の泉田社長が連れて行ってくれたのがここ、ベジカフェ まーくるだ。PB054514 
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■ベジカフェ まーくる
札幌市中央区南1西6-21-1
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店のオーナーの吉川(きっかわ)雅子さん。北海道産の米や野菜、食材にこだわったメニューしか出さないという方針を貫いている。北海道新聞などにレシピの連載を長く続けているそうだ。
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店内には、カフェスペースだけではなく物販スペースも。なるほど北海道産品ばかりで、僕もみたことがないようなのが並ぶ。

それだけじゃなく、彼女はパッケージングを変えることで販促につながるような試みをしている。

「北海道産の豆ってホントにいいんだけど、ガバッと大袋に入ってても若い子は買わないのよ。だから、うちで小分けして、煮豆2回分くらいの分量で小売すると、けっこうみんな手にとって買っていくのよね。」
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なるほどカワイイ。
北海道産の豆は、丹波の黒豆とかとは違って、磨きというのをかけるので、豆がピカピカになる。だからこういうパッケージだと綺麗に映えるのだ。

「これ、呑んでみて!」

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ううむ 見るからに濃厚なトマトジュース。
適度な粘性、複雑なアミノ酸組成を思わせる、旨味たっぷりなジュースだ。これはもう、単品でオカズである。

「これ、シシリアンルージュなのよ! 私、シシリアンルージュの北海道ファンクラブなの!」

シシリアンルージュとはトマトの品種。イタリアのシチリアから、パイオニア・エコサイエンスという企業が輸入販売しているものだ。日本で主流の桃色系品種とは違って、生ではなく加熱料理をして食べることが推奨されている。それだけ旨味が濃いということで、僕もこれまでいろんなところでテイスティングさせてもらってきた。

出来は生産者によってばらつきがあるようだが、このジュースは非常に美味しかった。

「このシシリアンルージュを北海道に広めたのが、この人なのよ!」

「やあどうも、山本さんとはトウモロコシのプロジェクトでメールをやりとりしましたね」
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え?
えええええええええええええええええええええええ

雪印種苗の安達英人さん?

いやぁビックリだ。 夏に開催した、「料理人のための食材研究会 トウモロコシ編」にて、北海道が誇る名品種「ピュアホワイト」を提供していただいた。その窓口が安達さんだったのである。

「実はね、本州に行けっていわれて、僕は北海道で仕事をしたかったので、会社を辞めちゃいました。」

なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

ホントですかぁ、、、

淡々とした安達さんのお話を伺うが、道産野菜に対する、とてつもない愛と知識の持ち主である! こんな人材が「辞めちゃいました」なんていうのはあまりにもったいない、、、

安達さんがこれからも北海道野菜と関わりを持ち続けて行かれることを祈念する。
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紹介が遅くなったが、この方がそもそも今回僕を北海道に誘った、望月製麺所の社長である泉田さんだ。以前、ラーメンサラダの紹介の時に掲載したよね。

「ねえねえ、この油、みて! 」
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おお、菜種油である!

「これはね、菜種農家さんが、自前で圧搾の搾油機を買って、絞ってる油なのよ。」

ひええええええええええええ

国内で使われている油はそのほとんどが輸入品、または油脂植物を輸入して絞ったものである。国産の菜種油は、その存在だけでも非常に尊い。

これにねぇ、面白いものを合わせて食べる方法を編み出したの」

といって彼女が取り出したのが、スパイスのような面白い粉末だ。
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これ、海藻パウダーなのだ。昆布とは違う、ガゴメとかなんとか、いろんな海草類をパウダー状に加工して、振りかけて使えるようにしたもの。もちろん昆布と同じくらいか、より強い旨味と風味を含有している! これは函館のある海藻を研究している機関が作っているものだ。

「このガゴメの粗挽きを、菜種油に振って、道産小麦のベーグルにつけて食べると美味しいのよ!」
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うお!

これはウマイ!

菜種油のしっかりと主張する香りと重さ、ベーグルに練り込まれた全粒粉の香り、そこにガゴメ粗挽きの粒から、しっかりと海藻類のグルタミン酸のうまみが舌に強くポイントされるのだ!

ああ、これは面白い。何が面白いって、吉川さんは「食べ方マイスター」なのだな、ということだ。

農林水産業は、素材を創り出す仕事だ。素材をいかに流通し、販売するかは中間流通業・小売業がなすべき仕事という分担だ。

けれどもこんにち、小売業者は 「これはこうすると美味しいんですよ」という「販売促進」の部分を、さぼっていることがほとんどだ。スーパーなどではメーカーに対して「なにか提案してよ。よければ店頭に置くからさ」という対応をしていることが多い。

これは職務タイマンである。小売が率先して食べ方発見・訴求をしなくて、誰がやるのか。その点、この吉川さんがやっていることは尊い。

「この、シシリアンルージュのドライトマトとベーグルも合うのよ!」
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うむ、相性抜群。こういう創意を発揮しながら、地元食材を使った料理を提供する店は、安達さんはじめ地元の生産側にいる人たちにとっては重要な存在だろう。

で、ここはカフェということで、朝と昼と夜はきちんとフードメニューが提供される。
この日はこの後にホクレン寺尾さんとの会食が待っていたので失礼したが、翌日朝、しっかり朝食をいただきに上がったのである。
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もちろんおにぎり2個セットをオーダー!
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おお、思ったよりもしっかりとした量のプレートが出てきた!しかも汁物付き。

驚くのは米の旨さだ。おにぎりは、店内でも販売しているピリ辛味噌とゆかりをまぶしたものだが、「ななつぼし」の新米をつかったご飯が実に実に美味しい。

もっちりして風味も豊か。道産米がぐんぐん品質向上しているのは、温暖化の影響もあるのだろうが、品種改良と栽培レベルの向上が資するところ大だろう。実にウマイ!
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こんど、必ず昼のビュッフェか夕飯をいただきに上がりたいと思う。

吉川さん、どうもありがとうございました。また伺います!
さて札幌の夜はまだ始まったばかりである、、、