僕は、いわゆる専業のライターではないので、文章の書き方はできるだけ人の真似などして勉強をしている。先日、相次いで二冊の新書を手に取ったが、驚いたことにその二冊は、まったく装いや目的感が違っているように見えながら、ほぼ同じような到達点を目指す(と僕は思った)本だった。
一冊はこちら。
調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940) | |
野村 進 講談社 2008-04-18 売り上げランキング : 7905 おすすめ平均 プロの仕事 ノンフィクションライター以外の人にもおススメ 実体験に裏打ちされた、ノンフィクションを作るノンフィクション。 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ノンフィクション作家である野村さんが、テーマに沿って調査・取材し、それを書くための方法論を書いている。
最初にご本人が述べておられるように、最近では最低限の礼儀や作法をわきまえないで取材をするような、失礼な人が多い(僕も人のことは言えないが)。そんなことにならないようにと、ライター向けのマナーブックを作ってくれたようなものである。実に勉強になった。ものを書こうと思っている人は読んで損のない本だ。最近よくみかける、中身がスカスカな新書とはレベルが違う、とても内容の厚い入門書だと思う。
もう一冊はこちらだ。
空気の読み方~「できるヤツ」と言わせる「取材力」講座~ (小学館101新書) (小学館101新書 8) 神足 裕司 小学館 2008-10-01 売り上げランキング : 14374 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
福岡の書店にて「お、コータリさんが新刊を出した!」と買い求めた。秋葉原無差別殺傷事件を例にとりながら何を言うのかと思えば、「人間には場の空気を読み、コミュニケーションをとる力、つまり”取材力”が必要だ」という。ははぁ、そうきましたか。そして話しは、彼が膨大な事件取材を行う中から得た教訓の海へと続いていく。
そう、野村さんの本のような、かっちりした造りではないが、到達しようとしている地平はなんとなく同じような気がする。しかも、コータリさんは、必殺兵器である西原理恵子さんの漫画を帯や章扉に持ってくる。大盤振る舞いだ。このサイバラさんの漫画がサイコーに笑える。これだけでも買う価値がある。(←ただし、コータリさんについてよく知る人でないと笑えない可能性はあるが、、、)
ちなみにこの本の中には、僕らしき人間も登場する。光栄な話しだ。コータリさん、また寿司を食べに行きましょう。
それ以外に、、、
メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書 (298)) | |
松永 和紀 光文社 2007-04-17 売り上げランキング : 5628 おすすめ平均 健康情報のいい加減さ メディアを中心とした自己中心的で恣意的な情報の取捨選択・操作による「メディア・バイアス」が働く構造や実態を解き明かし、それに騙されない視点や思考を提示。 類書の中では一番 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
今更の感もあるが、食品に関するヒステリックな告発や偽装、事故の報道が多いが、本当に危ないもの、騒いだ方が佳いものを峻別することは必要だ。その一助になるだろう本を紹介したい。
まだ読んでない人は絶対に読んだ方がいい。著者の松永さんとは、某大学で開催された食品関連のパネルディスカッションに、お互いパネリストとして呼ばれて、お会いした。信頼できる方だと思う。