青森に向かう機内、なんともいえずエロティックな夕焼けが佳い。
翌日朝からの仕事なので前泊なのだけど、弘前は大好きな街だ。なんといってもあの美しき霊峰、岩木山があるのだから、、、高校卒業後、自転車で東北の祭りや郷土芸能を求めて廻っていた時がある。青森では津軽三味線の師匠さんのところに図々しくも居候させていただいた。その先生の鞄持ちをしているとき、先生が
「津軽三味線の心はね、岩木山の風景とは切り離せないんだ」
と言っていたのを思い出す。その岩木山では、毎年「お山参詣」という行事があって、太鼓と擂り鐘と篠笛で「登山囃子」を奏でながら岩木山に登る。下山時には「下山囃子」を奏でながら降りてくる。このお囃子が実に素晴らしいもので、3人一組での登山囃子コンテストなんてのがやってるくらいだった。和太鼓をやっていた僕は、夢中になって耳コピしたものだ。ドンドコドコドコドーンコドンドン、という感じ。
さて弘前市内に着くと、駅前がなんだか開けている感じ。でも、食料品売場でウインナーとかの試食で腹を満たしていたイトーヨーカドーとかはちゃんとまだある(笑)
「いい店、教えて貰ってきましたよ」
という連れが連絡したのは、居酒屋「土紋」。地方のイタリアンやフレンチのブームを創り出した凄腕ライターである井川直子さんが教えてくれたという。うーむそれなら絶対に旨いはずだ!
日本酒がずらずらと並んでいるが、実はこの店、地元弘前の酒造である三浦酒造の醸す「豊盃(ほうはい)」という酒を中心にラインナップしている。もちろん純米!これをかたっぱしから呑みつつ、青森ならではの酒肴をいただいた。
身欠きニシンの味噌漬け、ニシンの切り込み、ホヤの塩から。そして豊杯。
冷酒は苦手な僕だが、芳醇どっしりフルボディなこの酒は、冷やですっきり呑むのががちょうどいい。塩気の強い肴がグイグイと酒を進ませる。
それにしてもこの店、実にドカンと素晴らしい盛り方で肴をだしてくれる。長芋とんぶりを頼んだら、大きな鉢に一杯、長芋の線切りととんぶりを盛り込んでくれる。ちなみに長芋は青森の特産品である。帯広の長芋とはまた違う品種、違う味。
ホタテにタコの刺身。津軽といえばホタテである。
イカの一夜干し。肉厚、うま味たっぷりで佳し。酒、進ム。 名前忘れたけど、青森の銘柄豚。
脂サッパリ系の、餌と飼養管理にこだわった感のある豚バラ。
最高に旨かった漬物達。あまりに旨すぎてもう一皿追加。なんといってもダイコンで鮭の塩漬け切り身をはさみ、麹で漬けたのが最高。そう、北陸のかぶら寿司を想起させる漬物だ。
居酒屋チャーハン、にはたっぷりミズとナメコが入っている。お腹いっぱいです。
井川さんに教えて貰ったことを伝えると、「あらそうなんですか」と驚きながら、おかみさんの口からは知ってる編集者さんや食ライターさんの名前がボンボンでてくる。あーなんだ、やっぱみんな通ってるのね。納得しました。
ほんとに旨かった!今度は豊杯以外の酒にもチャレンジしたいのであった。