農林水産省から、H19年度の食料需給表が公表された。
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/index.html
一般の人は「平成19年度食料需給表のポイント」をみればいいと思う。
このように、カロリーベースでは1ポイント増加、39%から40%になった。これによって「よかったよかった、自給率は上がりつつある」というムードになりそうだが、現時点では全くこの国の食に関する改善が反映されたことではないので、注意が必要だ。
昨年度はあまりにいろんな事件が起こり、中国からの生鮮野菜等の輸入が激減した。それによって国内産地に代替した分が上乗せされたということもあるはずだ。しかし、たったの1%ですよ。誤差範囲に過ぎません。それでも見た目上は30%台ではなくなるので、安心してしまいそうでそれが怖い。
でも、上の画像を見る限り、状況としてはもっと悪くなっているのである。
(2)生産額ベース というのをみて欲しい。国内消費仕向額は781億円増となっている。これは食品の値上げが効いているのだと思うが、一番下をみて欲しい。
○食料の国内生産額は前年度から2,601億円減の10兆38億円(前年度2.5%減)
うーむこれはやばいぜ、、、という数字だ。
さきほど、農水省の塩川参事官ともお話ししたのだけども、カロリーベース自給率は消費者が指標としてみるもので、生産額ベースは、国の生産者の状況をみるものだ。
つまり消費者的には野菜や米の国内生産量が上がって「1%も自給率が上がったわ!」と嬉しいだろうが、食品の価格は以前よりも減少しているのである。昨年度は米の価格が下落し、生鮮野菜の価格も下落傾向だった。畜産の場合は、輸入飼料が高騰したことで、生産者の利益がほとんど出ないところまで追い詰められた。
金額をみて欲しい。2,601億円もの額が消えてなくなっている。生産者は本当に苦しんでいるのだ。
短期的にみれば自給率がアップしたようにみえるが、この状況があと5年も続けば、高齢な生産者が離農し、新規就農者は「儲からないからやーめた」ということになり、造る人がいないという最悪の形で自給率が再び減少に転ずる可能性もある。
消費者も大変だろうが、生産者が生活できなくなったら、食の基盤自体がなくなってしまう。だから、高くても国産の食品を買ってげてください。そしてマスコミは、これ以上庶民に偏重した報道で、食品価格が上がることを批判しないで欲しい。
国は、消費者だけでは成り立たないのだから。