やまけんの出張食い倒れ日記

今年は早い! 素晴らしき山菜 コゴミのシーズンは素早く過ぎていく。

2008-05-06№287 

先日、庄内でコゴミを撮影してきたけど、今年は温暖化の影響か、全国的に早い段階でコゴミが芽吹いているようだ。コゴミは「一夜コゴミ」という別名があるが、それは一晩で大きくなってしまい食べられなくなってしまうという意味だ。2008-04-26№639 今年は東北でもコゴミを取り逃したという家庭も多いかもしれない。温暖化の影響は農産物のみならず山の幸にもダイレクトに及んでいる。

同じ山形でも庄内ではなく、内陸の置賜・村山のほうでも、ずいぶんと早いようだ。まあどんな会の佐藤洋子さんに「コゴミ、今年はどう?」と連絡したところ、「いつもより早くて、GWの関係もあって採りにいけないんだよぉ」ということだった。

しかし運良く、山形県庁の職員であり、県内の集落をほぼ全て廻っている高橋ノブさんが、「そんならうちの識ってる山で採ってきてやるよ」と、送って下さった。しかも、珍しいことに二カ所から採取して送ってくれた。こちらの写真は「飯豊山」のコゴミ。

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そしてこちらが「朝日岳」のものだ。2008-05-06№249

「朝日と飯豊は共に、手付かずの自然と、今でも管理された里山が残る数少ない場所です。
普通は絶対にやらない、コゴミの食べ比べを体験してもらいたかったのです。
山形の人間でもやったことないと思います。山の匂いも水も土も気候も違いますから、食べた時の香りは違って来ます。天ぷらにすると、もっとハッキリしてきます。ヤマケンちゃんに楽しんでもらい嬉しい限りです。」

ううむ、本当にこんなのは初めてだ! 山菜は肥料も何も投入せずに山の生態系の循環のみで育つ。落ち葉などの有機質が腐食し、植物の養分となるわけだ。山深くに分け入ると、土が驚くほどふかふかしていることに驚くが、これは腐食質が自然に堆積・発酵して土をなしているからだ。そうした自然由来の養分のみで育った山菜の味は、当然ながらその山の性質がダイレクトに味に反映される。でも、通常の消費地では、山菜を他の産地のものと並べて食べることは少ないだろう。2008-05-06№303 さっそく、二種のコゴミを茹で上げておひたしでいただいてみた。

ううむ、全くアクが無く、ポリッとした食感とクンナリとした食感が入り交じる絶妙な味だが、この二種を食べ比べてみると本当に味の個性が違う! 飯豊山のコゴミは噛んでいるうちに粘りがトロッと溶出してくるが、朝日岳のものは最後までしっかりした食感だ。どちらも清く力強い味わいであることは間違いないけれども、微細な違いがある。きっと地元の人たちにとっては「うちのコゴミの味が一番」と思っているはずだ。僕のような外様の人間からすると、その差異こそが豊穣の証であると思えてしまう。

それにしても昨年の熱波の夏には驚いたが、今年もまたその兆しが見えるのが怖い。ワラビを摘みに行っても、「もう惚けちゃってる(育ちすぎてしまっている)よ」と言われた。これは埼玉県だけども、確かに早い。2008-05-06№124 このところ、世界各国で食料の禁輸傾向が出てきている。先日、タイ料理のパッタイを食べたいと思って、錦糸町のタイ食材屋に出かけたら、見慣れていたパッケージのセンレック(米の麺)が無かった。

レジのタイの女性に聴いたら、「あのメーカーのは、いま在庫が無くなって入ってこない。まだ今年の米が採れてないから、みな出し惜しみして高値がつくのを待っているのだと思う。」ということだった。どこもかしこも、食料にセンシティブになってきている。

日本のマスコミもようやく数紙が食料関連の記事連載を組み始めたが、、、遅いなぁ。僕も、東北の方に山林を買っておくべきかもしれない。人が手をかけなくても育ってくれる山菜を食料として期待しなければならない時節がやってくるかもしれないから。

そんなことを思いながら、コゴミ二種をありがたくいただいている。ノブさん、ごちそうさまでした。