やまけんの出張食い倒れ日記

木場のおいしいダイニングバー代表! 今井商店 easeのメシは安定高火力である!

最近の木場はやっぱりおもしろい。気の利いた飲食店がオープンし始めているのだ。タイ料理のプイや、昨日書いた二店など、楽しめる店が増えてきた。深川ギャザリアという複合施設内にでかいビルが建ち、僕の古巣でもある野村総研ができたりしているから、昼間の人口がドドッと増えたのが原因だろうか。

そんな中、安定した実力を発揮する、元祖木場の気の利いたダイニングバーといえば「今井商店 ease(イーズ)」だ。

■今井商店 ease(イーズ)
東京都江東区木場5-3-3
03-3641-2728
日曜日

「今井商店」という屋号は、実は畳屋さんとしての屋号。その生業はいまももちろん続いているらしいが、息子さんである今井さんが、このeaseを開店したのである。最初はワンショット飲めるバーという感じだったらしいが、フレンチの修行をしていた五十嵐さん(この人も木場と東陽町の間にある州崎出身だ)と出会い、今のように料理がおいしいバーとなった、ということだそうだ。

最初は店に入ったわけではない。Barオーパ門前仲町店の面々が、5月の連休の際に催していたBBQの時に、隣でものすごい料理を作りまくって差し入れしてくれる一団があった。それがease軍団だったのだ。へぇ、と思ってその後、店にカレーを食べに行った。それが実にうまかった。ということを過去のエントリにたしか書いたと思う。実は膝・激突の土曜日夜、料理をするのもおっくうなので嫁さんとメシを食おうということでここに集合だったのである。転倒しながら「あー メシ食えないかも」と思っていたのだが、3分後には案外いけそうだという判断で、キコキコ自転車を漕いで、永代通りを木場方面に向かったのである。

この店、つまみというレベルではなくて、本当にきちんとご飯が食べられる店なのだ。前菜は、最近お気に入りのサバのマリネ。これが実に、オーパの水澤君のバーテンダーコンクール世界大会で行ったフィンランドで食べた料理を思い起こさせる味なのだ。

何がフィンランドっぽいかというと、右下に盛られたサワークリームだ!
フェンネルを混ぜたサワークリーム、フィンランドでは様々な料理に使われていて、3泊くらいしかしなかったのに、帰る頃にはすっかり「もうフェンネルはいら~ん!」という気分になってしまったのだ。

でも、ここのマリネは激うま。たっぷりの青ネギの下には、たっぷりと真鯖の酢締めが並んでいる。いい塩梅に〆った鯖を、サワークリームにつけて食べるのがウマイ。


野菜のピクルスも、きっちり自分のところでつけ込んでいて、キレイ&美味しい。

この日は寒かったので、オニオングラタンスープを頼む。やたらとしっかりしたグラタンが出てきたのでちょっとびっくり!

うーむ
コンソメを一から引いているのか聞き忘れたけれども、とてもきちんとした味だ。炒めタマネギたっぷりで、バゲットがとろとろ溶けたのにチーズと一緒になって、きわめて豊潤。

もう一品、何かスープをとお願いしたら、ブイヤベースがあるという。けどなぁ、ブイヤベースってんでもないなぁ、と思ったら、「じゃあ具なしでスープだけで、フィメ・ド・ポワゾンで出しましょうか」といってくれた。

うーんこれなら次回はきっちりブイヤベース頼もう、と思う出来だ。

イノシン酸のカタマリとなっているフィメ、とっても濃厚で美味しい。魚に生臭みがあるようなものを使っているとと、どんなに旨みがあっても嫌気がさしてしまうけど、そんなのは皆無。

アイオリをバゲットにこんもり塗りつけてフィメに浸し、いただく。あー これで味が決まった、実に旨い!

「おもしろいモノがあるんですよ」

と今井さんが出してくれたのが、なんとカナディアンクラブの1983年!

25年以上経ったカナディアンクラブは、まろやかに丸まったバニラ香が凝縮した、すんげぇ上質な古酒に昇華していた! 「カナディアンクラブだと思えないでしょ?」 いやほんと思えない。

さてそろそろメインだ。
やっぱりこれでしょう、鴨のコンフィ。

コンフィもどきじゃなくて、きっちりとコンフィされた鴨をジュージュー焼き目をつけて出してくれる。

鴨はホックリ、付け合わせのフレンチフライも美味しいし、言うことなし。

もう一品、キッシュがおすすめだというのでお願いしてみると、超ド級のボリュームでやってきた!

でかい!
生ハムが刻み込まれたキッシュは温かくしっとりジューシーで、脱水された日持ちするキッシュに比べて繊細かつダイナミックな味わい。

これ1プレートでおなかいっぱいになりそうである。


しかしながら最終章はもちろんカレーでしめるのが正解。実はこの店、特製ハヤシライスもとても旨いので迷うのだけど、今回はスタンダードに行ってみる。


この店のカレーは、以前も書いたが、小麦のルーをかなり炒りつけているようで、もう少しで焦げるか?というくらいに香ばしく炒ってある。その香りがコクを呼んで、独特な風味づけになっているのだ。

骨付きブツ切りの鶏肉もたっぷり入っていて、付け合わせも満載でとても楽しめる。始めてこの店で食べる人はやはりこれを試してほしい。木場ではナンバーワンカレーなのではないか、と僕は思っている。

簡単なデザートを、とお願いしたら焼きリンゴにバニラアイスのせ。

暖かいリンゴの酸味とバニラアイスが合わさって佳い。ていうか、お腹はちきれそうである。

2人でこれだけ食べて1万円行かなかった。地元だけに、木場で飲む機会はきわめて少ないのだけど、やっぱりいいもんだ!

それにしても今井さんの控えめなお酒のサーブと、五十嵐シェフの、食いしん坊が作る一皿!という感覚あふれた料理のコンビネーション、最高である。

木場の宝物になりつつあるイーズ。最近はランチもやっているようなので、今度は昼にも行ってみたい。ただし昼はカレーはなし。カレーの強い香りが残ってしまうからだ。やはり夜にきてガッツリいただくのがこの店の楽しみ方だろう。