青山の糸井重里さんの事務所にて、NHK「月刊野菜通信」の収録。毎月最終日曜日の朝6:15からという、ほぼ農家さんなど朝早く起きる人じゃないと観ないだろうと思うような時間帯だが、なんと視聴率が6~7%というスゴイ番組である。
昨年の仕事の中で強烈に大きな意味をもっていたもののひとつが、この番組を通じて糸井さんのお話しを聴くことができたことだ。
お金払ってでも話しを聴く価値がある人である。仕事の前に糸井さんが最近考えていることを聴ける小一時間がスゴイ価値なのである。
さて、収録終了後、事務所にダッシュして出張準備を整え、こんどは赤坂TBSへ。TBSラジオ「デイキャッチ」の中の「噂の調査隊」にて、最近増えている食品の値上げについてコメント。終了後、赤坂界隈でソルロンタンをすすり込んで東京駅へ。
二戸に向かう東北新幹線は実に快適。3時間で着くから、その間タップリ仕事が出来る。溜まっている原稿を片付けていたら、いつのまにか着いていた。無茶苦茶に寒いということだったけど、思ったほどではないな。マイナス3度くらいだろうか。
改札口には振興局のH坂さんが待っていてくれた。22時を過ぎると二戸駅前は開いている店がないが、居酒屋「きんじ」だけは空いている。居酒屋というが実に素晴らしい蕎麦を出してくれる店である。
まずは乾杯。
最終便で来るときは必ず顔を出すので、すっかり馴染みになってしまった女将さんが、面白いモノをだしてくれた。
「これね、こっちでは”ドコロ”っていうんですよ。大人じゃないと食べられない美味しさね、、、」
という。向かいのH坂さんとK地さんは「あーこれはいいですね」「おおっ オレはこれ苦手なんだよなぁ、、、」などという反応。好みが分かれるらしい。
みての通り植物の根部のようだ。デンプンぽい感じ。ジャガイモ「インカのめざめ」の果肉のようだ。
ここで「ドコロ」という名前でぴんと来る。昨年、一昨年と、山形県朝日町の阿部さんに送っていただいた、山中に自生する山ユリで「アマユリ」というのがある。茎を茹でて食べると、アスパラのようでそれより甘く、美味しい。その後、違う県の人から「あれはナルコユリというものだ」というご指摘をいただいた。
この仲間はけっこうあって、「アマドコロ」というユリ科植物もあると聞いていたのだ。だからこの「ドコロ」は、きっとヤマユリの根部なのではないか、と思った。
食べてみると、やはり豊富なデンプンを感じる芋のような食感。しかしすぐに苦みが舌に浸透する。その苦みにマスキングされてはいるものの、かなり強力な甘さと高貴な香りが立ち上る。これはオツな味だ!僕は好きだな、この苦さと香りの重なり方は。
鮎の一夜干し。もちろんこの二戸周辺で穫れた鮎である。
この一夜干しがかなり旨い!
頭からバリバリいけてしまうのだけど、上品な味の肉に、干したことで絶妙なひなびた旨みが加わっている。
さて〆はもちろん蕎麦。「一升蕎麦」6人前を3人でいただく。しかし6人前で3000円だから安いよな。
一升って実は結構なモノだ。このざる、実は深みがあって、蕎麦はかなり大量に盛られている。
前にも書いたが二戸周辺では蕎麦生産が盛んで、地域の在来種である「岩手中生(いわてなかて)」が生産されている。ご高齢の農家が多く、新蕎麦出回り時期の10月後半よりずっと後になって製粉される傾向がつよいが、11月に来たときに食べたのより、今回の蕎麦の方が旨かった!
「そうですね、今頃が一番落ち着いて美味しい味に安定しますね!」
実はご主人、農家からこの岩手中生の粉をよそにも売って欲しいと委託されているそうだ。関心のある蕎麦屋さんはぜひ連絡して手に入れてみて欲しい。香りは強烈という感じではないが、穏やかな香りでしみじみと美味しい蕎麦だ。
さて、明日は10時50分から、二戸地域の雑穀ブランドマーク発表会。その後、二戸パークホテルの柴田料理長による雑穀料理を食べられる。楽しみだ!