一番好きな食べ物は何か、と言われると「うーん その都度変わるからなぁ」といわざるを得ないのだが、もし食べるものを一つだけ選べと言われれば「納豆ご飯」と答えるだろう。小学校低学年までは食べられなかったのだけど、ある日の給食で出た納豆を旨いと感じ、それ以来、愛情に近いものを抱いている。
過去にも数回書いたと思うが、北海道の富良野にある「富士食品」の納豆との衝撃的な出会いもあり、かなり納豆については理解したつもりになっていた。
■富士食品との出会い(過去ログ)
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/07/post_284.html
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先日書いたエントリで「愛国納豆」を紹介したが、その作り手である三井田さんに教わりながら納豆を作ったのである。実に目から鱗のおちる体験をさせていただき、面白い時間を過ごさせていただいた。
■三井田さんと愛国納豆
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2007/04/post_988.html
しかし実に世間は広い。
なんと足下の東京都内に、素晴らしき納豆製造業者さんがいらっしゃるのである。
それを教えてくださったのは、過去二回開催した静岡オフ会にも参加してくださったブログ読者である溝口さん。実は彼は百貨店である丸井の食品担当をしている方だ。
僕も溝口さんとの出会いまで知らなかったのだが、丸井は衣料品で有名だが、実は都内の数店舗が食品を扱っていて、そこではこだわり品の取り扱いにかなり力を入れている。話を聴いていると、その力を入れる方向性が実に健全なのだ。
「生産者さんが真面目な仕事が出来るようなお付き合いをしたい」
と、仕入れ単価が高いであろう独自商品を共同開発し、きちんと売り切っている。漬物なども可能な限り添加物を添加せず、グルソーを一切使わない商品ラインナップまで揃えている。
「でね、登喜和食品さんっていう、府中の会社で作っていただいている納豆が素晴らしいんですよ!国産大豆なのはもちろん、納豆につけるタレや芥子にもこだわっているところなんです」
と、その商品を分けてくださった。
店頭でもよく見かける藁苞(わらづと)納豆。稲ワラに包んで発酵させるものである。稲わらには天然の納豆菌が棲んでいるので、熱々の煮豆をそこに包み込んで、一定の温度・湿度下に置いておくと発酵して納豆になる。納豆菌が分離・固定されるまでは、ずっとワラで納豆が作られていたわけである。
しかし、これを剥いてみて驚いたのだ。
これは本当にわらづと納豆ではないか!?
何がおかしいかというと、、、
実はこの藁苞納豆を製造してよい業者は、茨城県の水戸や、その他数カ所に限定されているはずだ。藁を使用するのが衛生的に問題があるとして、保健所レベルでの規制があると聴いたことがある。だから、許可が下りていない地域でわらづと納豆が売られている場合、その藁を剥いてみると、しっかり藁と納豆の間にビニールが巻かれていて、きちんと包装されていたりする。これはつまり藁が包装紙の役目しか果たしていないということだ。
しかしこの登喜和食品の納豆は藁にダイレクトに納豆が詰まっている。ということはわらづとで発酵させた本物の納豆なのか?そんなことを思いながら食べてみると実に端麗、綺麗な風味の納豆である。
しかも添付されているタレはきちんと醸造された醤油をベースにしたものだ。
いやもうこれには脱帽。
急速にこの製品を生み出している登喜和食品さんに関心が沸いてきた。
「じゃあヤマケン、一緒に見学に行きましょうか!?」
と溝口さんのご厚意により、登喜和食品視察をさせていただくことになったのである。
某日、府中では小雨が降っていたが、超こだわり納豆作りの現場を一目見ようと、むんむん熱気を放つ一団が集結したのである。
■登喜和食品
〒183-0046 東京都府中市西原町1丁目10番地の1
Tel:042-361-3171
http://www.tokiwa-syokuhin.co.jp/
(続く)