ここ2週間、ものすごい勢いでサクランボをいただきまくっている。
山形県産、山形県産、秋田県産、山形県産、岩手県産と、極上品がばらばらと届いて、我が家は至福の時間を迎えている。
それにしてもサクランボの食味向上はここ20年くらいで劇的に進んだと思う。
僕が子供の頃、こんなにサクランボは旨くなかった(という記憶がある)。嫁さんとも話していたのだけど、昔はアメリカンチェリーのでかさと甘さに驚愕したものだ。やっぱり洋物はいいな、と思っていたけれど、いまやそんなことはつゆほどにも思わない。
今回、様々な産地のものをいただいたのだけど、山形の東根周辺から送っていただいた佐藤錦はさすがの味。しかし意外だったのが、写真のもので、これは秋田の十文字のものだ。
サイズは3Lだと思う。ぷっくりと大きく(今年見た中で一番の大玉だ)、しかも表面がツヤツヤである。もちろんワックスなどではないよ。品種がわからないけど、佐藤錦とは違うだろう。味は糖度だけではなく酸味も有していて、バランス重視派。とっても美味しいものでした。
今、岩手の二戸に来ているのだけど、「つぶっこまんま」の安藤ママからも立派なサクランボをいただいた。これは安藤家の農園謹製の佐藤錦。
「岩手でこんなのが穫れるとは思わなかったでしょ?」
うん、思わなかった。家に帰って速攻でいただきます。
今年は受粉をするハチの働きが悪く、あまり大玉が出ないらしい。
さくらんぼは、販売に苦戦するフルーツのなかでは珍しく、出荷量が増加している品目だ。やはり洗ってそのまま食べられるのがいいのだろう。けれどもサクランボの世界でも異変が起こり始めている。
温暖化に関連すると思われるが、気温上昇によって産地が北上しつつあるらしい。岩手県の北部でも収穫ができるということは、やはりそういうことなのではないだろうか。山形の有名なサクランボ業者が、北海道の某所に農地を買ったという噂も訊いた。本州の気温の昼夜寒暖差がだんだん小さくなってくると、フルーツの美味しさはのらなくなってくる。そうなると、北へ北へと産地が移動を始める。
地球環境問題は複雑に糸が絡み合っているが、その結果は明白だ。日本では食べ物が不味くなる可能性が高い。この旨いサクランボを維持していくために、やらないといけないことは何なのか。いや、「捨てないといけないもの」が多いのだろうか。
そんなことを考えながら、ありがたく大粒のサクランボをおしいただくのだ。