熊本産の西瓜(すいか)は5月~6月、そして千葉の西瓜は月6月一杯で食べ時を終える。
真夏の食べ物と思われがちだが、西日本~関東では作物としての生理上、梅雨明けくらいで最盛期を終える。それ以降は東北部へと北上していくのだ。もちろんこれはJA(農協)が市場向けに出荷するものの話で、個人農家さんがそれぞれに腕自慢する西瓜はまだ残っている。
西瓜は瓜なので、このように蔓(つる)を四方八方に伸ばしながら結実する。カボチャと西瓜は、十分に畝(うね)間と株間のスペースをとらないとうまく生ってくれない。日射量が命なので、日光を受けるための葉が他の株と重ならず十分に展開できることが肝要なのである。
JA富里スイカ部会長の高山さんのところに伺った。
生産者の笑顔はいつでも豪放である。
部会とは、農協の中で品目別に分けられた生産者のグループだ。スイカ部会の長、ということになる。200人以上いる生産者を束ねている、重責なのである。彼の着ているポロシャツの右胸に、顔がスイカのキャラクタがプリントされているのがわかるだろうか?富里のトレードマーク「トミちゃん」である。実はこれを着ることが出来るのは部会の役付きの人だけ。そういう誇りに満ちたポロシャツなのであった!
圃場で割って食べさせていただいた「紅大」は、甘さだけではなく旨みが詰まっている。その微量要素としての旨みを、高山さんは「味がするだろ?」と言っていた。
スイカの選果をする倉庫の風景は、スイカ好きにはたまらないものだろう。大玉すいかが所狭しと、規格別に並んでいるのである。
スイカの出荷は個人で大きさ・見た目そして中身の充実度まで見た上で選果され、集荷場に持っていく。
そのために一玉一玉を農家さんが計って選果していくのである。
これはお掃除マシーン 。
圃場に寝ていたスイカの土を、回転子ながらブラッシングして落とし、ツヤツヤに掃除する。
「俺の作ったの、一玉もってけよう!」
と惜しげ無く一番でかい規格を箱に詰めてくれる。
高山さんいわく「小玉でもうまく栽培すれば美味しくなるけど、味がのるのは大玉だなぁ!家庭で食べきれなくてもいいから、大玉買った方が旨いよ」。
丸のスイカを抱えてマンションのエレベータに乗るのはなかなか辛い。なんとか家にたどり着き、早速に割ってみる。
良質なシャリ感、十分な甘味、ジュースの旨みも乗っており、旨い。しかし、高山さんの圃場で割ってその場で汁をシャブブブと滴らせながら食べた、全く冷えてないスイカのほうが美味しく感じたのは、おそらく錯覚ではないと思う。
その時の高山さん自身の、
「旨いなぁーーーーーーーっ!」
という突き抜けた笑顔が忘れられない。