やまけんの出張食い倒れ日記

買ってしまったぜオリンパスE-410! ここ最近の写真は実はこいつで撮影していたのダ!


週刊アスキー誌の連載のために試用させてもらっていたE-410だが、返却期限がきてしまった!
うーむ 別れがたいなぁ、と思いながら、野菜関連の会合のため秋葉原へ。ヨドバシの3Fにて価格を観ると、ネット通販とかと比べても破格に安い!5月20日まで、ポイント還元を入れればレンズキットが8万円台前半、Wレンズキットは9万円台で買えてしまう。

一気に逆上しかけたが、なんとか心を抑えて会合へ。終了後またヨドバシへ。広角レンズなどの重さを確かめていたら、自身もオリンパスユーザだという販売員さんと愉しい会話が始まってしまった!

「僕、ウエディングのカメラマンをしていたんですよ。E-1を使ってたんですけど、このf2.0マクロレンズも最高の写りですよ!僕の周りのプロも結構使ってます。それにしてもE-410はいいですねぇ」

おおおお

「友人のカメラマンが、EOS 1D系のプロ用機材を持ちながら、セカンド機として買ってました。このE-410は入門機の価格ですが、実力的には中級機だと思います。」

そ、そ、そうだよね、そうだよねぇええ

「しかも観てくださいこのE-410の撮影サンプルパネル! こういうのって普通は、ボディはともかくレンズにはメーカの一番いいのを使うもんですが、オリンパスは偉い!レンズキットの望遠レンズの方を使ってパネルにしてるんです。そんなメーカ、なかなかありません。しかも写り、いいでしょ?」

おおっ マジ?
かなりデカイ撮影サンプルパネルは、白人女性が芝生で遊ぶポートレート。髪の毛の繊細なラインがきっちり解像している。

もう、この会話でノックアウト。
期するところがあったのでお金を財布に持っていたこともあり、Wズームレンズキットを買ってしまった!

そう言うわけで自分の機材がこれからはE410になることが多くなります。
オリンパスのマクロレンズとして定評の高い50mmF2.0はまだ買えないので、しばらくマクロが必要な場合はEOS KISS DNの60mmマクロを使うけど、相対的に出番が少なくなりそうな予感。

で、アスキー連載での取り上げが始まるまでは自粛してましたが、もう先週号から始まっているので、
「実はこの写真もE410だったのよ」
ということで、撮影サンプルを掲載したい!

以下、撮影はすべてJPEG。RAWを使いたかったのだけど、付属してきたRAW現像ソフトがあまりに重かったのでJPEG撮影。でも十分に使えました。

■アルキメーデのシチリア料理
カメラの写りを確かめたくて久しぶりに足を向けたのはアルキメーデだ。
クリップオンストロボをコードで離して、ディフューザで光りを和らげて撮影。F9程度の被写界深度である。






そしてこの日のベストショットがこれだ! 「赤海老のクスクス」

どきっとするのが、細葱のようなハーブであるシブレットの表面の筋が見えるほどに高精細なところ。
この日、家で画像をみていてかなり昂奮してしまった。すげーカメラじゃないか!

■寿司処 匠
相変わらず繁盛してる匠にて。

奥の煮切り醤油を拭いてないのまできっちり写ってしまった。
マグロ、金目鯛にピントが合っている。
今度は逆に目線を下にして平目にピンを合わせる。こうすると奥行きが出るので奥がぼける。

清楚な純白の平目の身の下にほんのりわさびの薄緑色が覗くのが、なんとも隠微で美しい(笑)
このカットでは、「この辺にフォーカスが合って欲しい!」とおもった位置にビタリと合っている。
キヤノンのEOS KISSではAFのフォーカスを合わせる位置が多く、画面の端にある要素にピントを合わせたいときにもAFポイントを移動するのでどうにもなった。
しかしE-410は中央に3点のポイントがあるだけなので、画面端にポイントを合わせたいものがある場合は、中央で合わせた後にできるだけ距離が変わらないようにカメラ位置をズリッとずらして撮影する必要がある。そこだけがキヤノンの方が使いやすいな、と思うけど、今のところピントを思い切り外してしまった!ということはない。

生の鳥貝は、僕自身は余り好きではないけど、一点にだけピントが合って、他はボケボケになる感じで撮れてしまった。手持ち撮影だと難しいなぁ

ウニ、釣り鰺、かすご鯛。

横位置でも決まってくれる。

さて
最近のエントリのなかでは最もメールなどの反響が多かったのが、山菜特集だ。

■本コゴミ

僕はストロボを利用する場合にはF16とかにして深い被写界深度で撮影することが多いのだけど、この写真は奥をぼかして撮影したほうがいいかな、と思い、これはF5.6で撮影。みごとに意図通りになりました。トーンカーブを少しだけ調整。

■紫キャベツ

実は紫色というのはカメラにとって難しい色なんだそうだ。アントシアンというポリフェノールの色素で、植物の神秘的な色なのでぜひ綺麗に撮りたいところだ。

E-410ではきっちりと綺麗に写し撮ってくれた。
手持ちでF9ていど、クリップオンストロボをコードで離して使用。

■定食屋「木の子」のメンチカツ弁当

しばらくマクロレンズがないまま過ごすのだけど、キットレンズについてくる14-50mmでかなり接写できるので、割と困らない。もちろん純粋なマクロレンズより解像感は劣るだろうけど、必要十分だ。
写真は、オフィスに置いてある外付けストロボにソフトボックスを付けて撮影。

■ADF辻のケイ・コジマシェフ

アラン・デュカスグループの料理学校であるADF辻のケイ・コジマシェフとは親交が続いている。

「フランスに行ってきたんですけど、すっごく美味しい蜂蜜とオリーブオイルがあるので来ませんか?」

行く行く!
蜂蜜は栗の木、ラベンダーなどで、これがまた華やかさと濃厚さがあって旨かった。

キットレンズの広角側は14mmからだが、オリンパスのデジタル一眼カメラが採用するフォーサーズ規格では、この14mmに2をかけたものが実質的な画角になる、14×2で28mmと、胸を張って広角レンズとは言えない広さかもしれない。でも、これ一本でかなりの範囲に使うことができるレンズであることは間違いない。樽型の歪曲もけっこう出るけど、それはそれ。レンズキットの価格からすれば信じられないほどにいいレンズだ。

■港屋の肉蕎麦
久しぶりに虎ノ門から愛宕1の信号まで歩き、黒いモノリスに入っている新興蕎麦屋の港屋へ。最近の「食楽」にも載ってましたな。オーナーの菊地さん、相変わらずにこやかに沢山の客を切り回している。

昼のピークの時間なのでストロボは使えない。ISO感度を最大にして撮影した。それでもちょっと暗いが、、、しかしノイズはそれほど出ていない。何故かというと、画像調整にキヤノンの現像ソフトであるDPPを使ったのだ。DPPではJPEG画像の調整もできるが、ノイズリダクション機能が先日追加されたのだ。他社製ソフトで調整するのは双方に申し訳ないけど、正直なところ、付属ソフトの質ではキヤノンの方が使いやすいと思う。これでオリンパスのRAW現像もできればなぁ、、、って、無理か。

■飯島農園のレタス

自宅にて、下に白い板を引き、ストロボ&アンブレラでライティング。
アスキーでいつも撮影していただいている大師匠である八木澤カメラマンにお見せしたら、
「うん、レタスは表面がカリカリしてるからアンブレラで正解!」
とのこと。飯島さんとこの極上レタスを綺麗に撮すことができた。

■銀座「流石」の蕎麦
流石の蕎麦を食べに行く。
この店には粋人が集まるので、ストロボを使用するのは控えてしまう。ISO1600で撮影。

やっぱり若干、エッジの部分の描写が甘くなっていて、どうも頼りない画になってしまっているような気はする。流石の蕎麦は信じられないほどに細く繊細な10割蕎麦なのだけど、その超絶技術でビシッと立ったエッジを写し撮るには、マクロレンズと十分な光量でF11くらいまで絞りたいところだ。

光量が少なく、かつ白熱灯でホワイトバランスをとるのも難しい環境だった。ちなみに先述のキヤノンの現像ソフトDPPでホワイトバランスの調整だけしてある。A4に引き延ばせといわれたらちょっと無理だけど、Web利用であれば問題ないのではないだろうか。っていうか食い倒れ日記では全然OKでしょう。

■古月新宿店のスッポンのオイスターソース煮

ちなみに撮影時の画質設定としてNaturalとかVividとかある。僕は一番コントラストの効いたVividで撮影している。そうするとかっちりした画質になりやすく、この写真のスッポンのテラテラした表面のような表現を得ることができる。
その下の煮汁に浮かぶ小さな油分の点々や気泡の表現も緻密で、フォーサーズが撮像素子が小さいということを忘れてしまいそうだ。僕には1000万画素は多すぎなのだけど(800万画素前後で十分なので階調表現を富士フィルム並に充実させるなどして欲しい)、細かな描写まで行き届いているのはありがたい。

■熊本の某店の馬刺し

熊本で地元の人しか知らないであろう店に行く。
週アスで掲載されるまで店名はかけないが、最高の馬刺しが出てきた。
この写真をみると、タテガミといわれる馬の脂身の刺身が、ギリギリ白飛び寸前(というか若干飛んでる)になっている。Vivid設定にしているせいか、白飛びはしやすいという印象だ。これは野菜を撮影するときにはかなり難しい要素になる。最初の方にあった紫キャベツの断面なんかもかなり飛んでしまっている。特にストロボ利用の際には設定が非常に難しいということを記憶しておかないといけない。

■タラの芽とコシアブラ

タラの芽の表面の産毛の柔らかい感じが出ていて、自分でも好きなショット。
僕の手は普通より小さくずんぐりしているのでタラの芽が大きく見えるけど、本当はとても小さいものだ。


コシアブラとしどけのおひたし。
ここでも敷いている皿はほとんど白飛びで消えてしまっている。けど、おひたし本体はちょうど良い明るさで写っている。皿の質感を残しながらおひたしを美味しそうに撮すにはどうしたらいいんだろうか?
ムズカシー

■溜池山王 「黒豚劇場」の埼玉県産生ハム

生ハムのねっとりした感じのテクスチャや、奥のハムの切り口が少しめくれてるところの表現がきっちりわかる。これも手持ちフラッシュで斜め後ろから光を当てている。

とまあ、こんな感じだ。


E-410の評価できるポイントは、

・軽い、小さい 機動性が非常に高くなる。
・キットレンズの性能が素晴らしい。 あとは広角・マクロを揃えればよし。
・安い! Wズームで10万円を切る(ポイント入れて)のだから素晴らしい。
・電池の保ちがすげーいい 800枚撮っても電池のインジゲーターが減らない。けど、一目盛り減ったあとは早いという報告もあるので、気をつけた方がいいが、、、しかし保ちのいいバッテリーだ。
・AFの精度
 AFで致命的にこけるということは少なかった。キヤノンのEOS KISS DNとEFS17-55f2.8ISという組み合わせでは、どうしても後ピンになってしまう傾向が多かった(これは個人差かもしれないけど)ことから比べると、キチッと合ってくれる。
非常に細かいながらマイナスポイントは下記だ。

・ホワイトバランスがオートだとこけやすい
 蛍光灯や白熱灯下でそのモードに合わせても、今ひとつ思ったような色になってくれない。オートにしたときもいまいちだ。ただし、白い紙を持ってさえいれば、それを撮影することで、その場所に最も合ったホワイトバランスをマニュアル設定できるので、これを心がけることをお奨めする。

・AFの合焦しやすさ
 ただしキットレンズが多少暗い設定(望遠でF5.6から)なので、低照度の場所ではAFが合焦するのが遅い。この辺はキヤノンに分があると思う。

・白飛びしやすい
 Vivid設定ばかり使っていたからかも知れないが、白飛びには注意が必要だ。試用期間の後半にはこの傾向がわかったので、若干アンダー目に撮影して、あとでトーンカーブをいじることで対応した。

・高感度撮影にはあまり向いてない
 自分でも使っているキヤノンと比べるとどうしてもノイジーだ。でもブログへの使用目的ならISO800までは使えない程ではないと思う。1600でもまあイケルと思う。

で、僕の総合評価としては、5段階評価で文句なしに5だ。
上に挙げたマイナスポイントはあっても、致命的ではない。手ぶれ補正が欲しいとは思うけど、でも僕の場合最近ではフラッシュを使う撮影のほうが多くなってきている。その場合、手ぶれ補正は必要にならないから。

ただしこれは食い倒れ日記用の総合評価。通常にフラッシュを使わないで持ち歩き、レストランなどで撮影をすることを考えるなら、もっと高感度撮影に強く、手ぶれ補正がついているモデルの方がいいかもしれない。その場合、キヤノンのカメラや、7月に出るというオリンパスE-510がいいかもしれない。

まあしかしとにかく僕はこのカメラを買ってしまった。
本当は、EOSシリーズでしばらく後に出るであろう、APS-C機のハイスペック版に食指が伸びていたわけだけど、それが出てくるまではこのE-410を使い倒し、その時期にまた考えたい。

現時点ではE-410を手にして大満足している。
オリンパスのカメラ哲学は、機動力を重視せざるを得ない食い倒ラーには最高にマッチしている。
さーて
これからも頑張って旨そうな写真を撮れるように精進していこう。