新潟市で、畜産関係者さんたちへの講演をした。県の担当者のHさんは僕のブログを読んでいただいているようで、
「タレカツ丼の店で昼食をとり、講演後は三日月でインデアンを食べましょう」
と言ってくれる!
上越新幹線のMAXに乗ると、東京駅を出たら次は終点の新潟まで停まらないという。プレゼンをまとめ、他の仕事を片づけていると、いつのまにか雪景色に変わり、新潟に着いた。さあ、新潟名物のタレカツ丼だ。タレカツ丼についてはこちらをご参照のこと。
「我々はとんかつ太郎も好きですが、もう少し味のこってりした店も好きでした。それが、これから行く「政ちゃん」です。」
実はこの店、いくつか同名店があるらしい。しかしこの店が元祖。よくある仲違いが原因らしいが、元祖だけに11時半になるとどんどん客が入ってくる。
意外にも洋食全般を供する店らしく、ランチメニューには色んな洋食メニューが並ぶのだけど、そこはそれ。タレカツ丼を食うのである。特製カツ丼1520円なり。それと、メニューを見ていて気になったのが「カニ焼きめし」。焼きめしという言葉には弱い!これも注文してしまった。
注文をしている間にもどんどん客が入ってくる。ドカチンの兄ちゃんたち、家族連れ、ご老人など、とにかくあらゆる年齢層の人たちが集ってくるのである。
「はい、お先にカニ焼きめしです~」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
すっげえうまそうなプレゼンテーション! ただのカニチャーハンではない。非常に具だくさんな”焼きめし”なのであるっ!
飯にはなにか仕上げにだし粉のようなものが振りかけられているようだ。こしょうではなく、やはり魚粉のよう。新潟の白米にテラテラと脂が絡んだこのプレゼンテーション、実にソソルではないか。
具材はカニのほぐし身に大ぶりに切ったタマネギ、タケノコの薄切り、キクラゲ、グリーンピースなど豪勢。バクッと食べると、いい感じに濃いめの塩ベースの味付け。脂のまとわりついた飯の旨さと、カニ肉の香り、そしてキクラゲのクニルッとした食感があいまって実にうまい!
「はい、特製カツ丼です~」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
出た!
ドンブリの蓋が閉まらないカツ丼盛りである!
ちなみに特製と普通盛りの差は、これだけあるのだ!
ドンブリの蓋を取って、その飯の厚みをみれば差が一目瞭然だろう!向こうにぼけて見える普通盛りと比べていただきたい。
俺、もうかなり興奮気味。
しかし、ばくつく前に作法を確認する。
「Hさん、福井県のソースカツ丼の文化圏では、ご飯の上に乗ったカツをドンブリの蓋によけて食べるという技法が存在します。新潟のタレカツ丼もそうなんですかね?」
そう、福井県の名物であるソースカツ丼文化では、当然の「文法」として、ご飯を覆い隠すカツをドンブリ蓋によけるという技が存在する。
■越前の国はソースカツ丼の聖地であった!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2004/02/post_160.html
この技法が、新潟でも使われているのかと思いきや、僕はHさんの返答に驚愕した!
「いや、僕らはカツを重ねますね」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
そんな荒技を使うのかっ!!!!!!
これには心底ビックリした。コペルニクス的展開である!!
テンポラリファイルのようにカツを重ねて、バッファに非難させるのである!
新潟には福井とは違うカツ丼文化がはぐくまれていたのだ!
もう、こういう瞬間が生きてて一番楽しい。
食文化の「差異」に出会う瞬間。それにはもちろん優劣はない。ただ「差異」が存在するのだ。
日本という国は小さいけど、これだけの文化多様性がある。まだ日本も捨てたもんじゃない。
、、、なんてことをこの一瞬で感じたのである!
さてカツにかぶりつくと、もも肉が薄めにカットされ、切れ目を入れられて軟らかく食べることが出来る。以前に食べた「とんかつ太郎」よりも甘めで、そして醤油ベースの味も濃い。甘辛が強く実に食欲を昂進するのである!
この、ご飯にかかった甘ダレが秀逸。醤油ベースで糖分を加えた、いわゆる甘辛味は白飯キラーである!
そして食い進めるうちに、第二の驚愕が、、、
白飯の中にカツが埋まっている!
いわゆる「まむし」である!
しかも二枚。合計で特製カツ丼には6枚のカツが乗っているということになるのだ!
うひゃあ、これは凄まじい物量である。カニ焼きめしとともになんとかがっついて食い終える。
後には深い満足感と満腹感が、、、
後続の人に言っておきたい。
特製カツ丼を頼んだら、他には頼まない方が身のためである。
厨房では3人の調理人が立ち働いている。気持ちよくきびきびと料理をしながら、「ありがとうございましたぁ~」と声掛けをしてくれる。周りのテーブルをみていると、意外にカツ丼以外のメニューを食べている人が多い。この店はタレカツ丼の専門店ではなく、トンカツやさんなのだな、と理解する。
いや、満腹です。
でもって講演終了。
一路、新潟駅へ。その途中で「三日月」の入っているスーパーへいく。
買い求めたイタリアンは、帰りの車中で消えました。同じ車両に乗っていた皆さん、匂いがしたと思いますが、申し訳ありませんでした!