大阪の伝統野菜”なにわ野菜”の商いをみる

2006年8月23日 from 市場人との対話

「大阪ではね、買参人さんによっては『引きゼリ』っていいましてね、2800円なら3本だした指から2本をスッと折るんですよ。そんなん、0.5秒くらいの動作でしょ?これを一瞬のうちに見渡して誰がいくらで落とそうとしてるかを判断して競りを決めるんですよ!」

大阪東部市場の近郷野菜のセリ人をやっていた三谷君が、愉しそうに笑う。
大都市・大阪は、実はその近郊にまだまだ伝統的な野菜の種を残す地域だ。東京近郊にも産地はあるが、大阪の方が若干元気で、まだ普通に農業をしている地域が多いという印象がした。

一通りなにわ野菜の現状を訊いたところで、伝統野菜を出してくれる居酒屋に移動。


さて伝統野菜とはいっても、生の野菜をそのまま切ってもあまり面白くはならないなというのが印象だ。

手前にあるのが毛馬キュウリという大阪の伝統野菜の一種だが、表面を軽く炙っている趣向だが、持ち味はまったく引き出せていない。大体キュウリをこんなに小さく切ってしまうと、食感がかなりそがれてしまい、キュウリのキュウリたるゆえんがほぼ味わえないではないか。やっぱりいかに品種が面白くても、それをどうやって皿に盛り込み活かすかは、料理人さんに頑張って開拓して頂かなければならない領域だ。

水ナスの浅漬けは文句なしに旨い。

「皮が色落ちしてますね。そろそろハウスものが終了する時期で、これから露地物主体になってくるんですが、そうなると皮の色ももっと黒々になりますよ!」

と三谷君が渋めのコメント。
これからどんどん無くなっていく近郊の農家さん。それと相反して、料理の世界で求められるようになる伝統野菜。両者の狭間にいて日々苦闘する彼のような人を応援したい。
三谷君、なにわ野菜の発掘と応援、頑張ってね。