横須賀で年間150品目以上を作付けする、野菜のびっくり箱的農園である長島農園の勝美君から、またもやすごいものが届いた。
「やまけん、県が育種している試験品種なんですけどね。やたらと旨み成分が濃くて、みそ汁の出汁にしてもいいくらいのものなんですよ!生で食べてもまずいけど、トマトソースとかにしてみてください」
そうして届いたのがこの品種だ。
野菜の育種とは非常に手間と時間とお金がかかる。基本的には、欲しいと思う性質を持つ品種を複数交配させるのだが、期待している性質が発現するとは限らない。何回も交配を繰り返す内に、「これは!」と思うモノが生まれている瞬間がある。それを選抜し、必要な性質がはっきり発現するまで選抜を続けていく。国や都道府県の試験場や、民間の種苗会社、そして民間のブリーダーといわれる育成家までがいるすごい世界なのだ。
で、この品種は県が育種しているという。まだ名前がついていない段階で、番号での管理がされているようだ。
結論から言おう。
このトマト、ものすごいポテンシャルを持っている。
サカタのタネから出ているミニトマトのアイコという品種によく似た形質(ちなみにアイコも旨い品種だ)だが、旨みの量が本当にすごい。生ではとても旨いといえないが、加熱してトロリとさせ、油と合わせると凄まじく旨いソースができる。あまりに驚いてしまったので料理段階の写真を撮るのを忘れてしまったくらいである。
この品種、ぜひ育成を続けて、品種登録していただきたいと思う。世に出る価値をもった品種である。