2005年晩夏に発生し、九州一円に猛威を振るった台風害によって、宮崎県のマンゴーハウスが倒壊した。地元の農協職員である沼口君の要請により惨状をレポートしてもらい、義援金を募ったのを覚えている方がいらっしゃるだろうか。
■2005年09月20日
皆さん本当にありがとうございました。
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/09/post_635.html
総額617,585円、38人の方々から集まった義援金は、ありがたくマンゴー部会長にお渡しした。ナイショにしていていきなりお渡ししたのでかなりビックリされたようだが、非常に感動していただいたようだ。
これが少しでも励みになったのであればいいが、なんと部会の皆さん全員が離農することなく復興に全力を注いでいる。
現地からその後を伝える言葉が来たので、編集無しで掲載します。
マンゴー被災義援金にご賛同頂いた皆様方へ明けましておめでとうございます。昨年はマンゴー被災義援金を戴きまして、誠に有難うございました。マンゴー生産部会生産者一同にとって大変な激励となりました。感謝の意とともにこれからも誠意をもってマンゴー栽培に取り組んで参る所存でございます。
さて、山本様のブログでマンゴー施設の被災状況をご覧になられたかと存じますが、その後、少しずつではございますが、各農家とも復興に向けて取り組んで参りました。この場をお借りしてご報告させていただきます。まず、被災した農家全員、マンゴー栽培をやめることなく復興に向けて取り組んでいます。全壊したハウスは、今年4月に新規建設することになりました。半壊したハウスは8割程度が完全復旧しており、残り2割は全壊ハウスと同じく4月から修復建設工事を行う予定です。
気になるマンゴーの生産量ですが、今年、春から夏にかけてお届けできるマンゴー生産量は例年対比の2割減と予想しています。台風被害は、思ってのほかマンゴーの樹にストレスを与えたようであり、樹によっては花芽分化を向かえないものもございます。一方、重油高騰により燃料代が例年の1.5倍になります。マンゴーハウス1反当り150万円の燃料経費が掛かると予想されており、各生産者は頭を抱えている状況です。そのような状況下、マンゴー生産部会は今年、設立20周年を迎え、記念式典を予定しています。台風被災に伴い、多くの皆様にご支援頂きましたこと、これまでの歴史を振り返って多くの苦難を乗り越えてマンゴー産地を形成してきた経緯を思い、今後の発展に繋げていく所存でございます。
なお、計画ではございますが、糖度センサーを用いた果樹選果機を導入する予定となっています。皆様方に喜んでご賞味いただく為にも、今後とも品質の変わらないマンゴーをお届けしたいと思っております。
重ね重ねではございますが、取り急ぎお礼、ご報告とさせて頂きます。
マンゴー生産部会 部会長 島地良次
よかったなぁ、、、
と思う一面、心配は募る。
文中には書かれていないが、ハウスの復興費用は、またもや高額の借り入れを生産者がした上でのことだ。文中にあるように生産コストは非常に高く、ハウス内で暖房を焚き加温する必要があるため、極めて生産コストが高くなる。今後、彼らはかなりの苦戦を強いられるだろう、と思う。
「そんな生産コストをかけて、燃料までつかって生産するなら辞めた方がいい」
という声があるかも知れないが、それは農業者に座して死ねといっているに等しい。
地方の就職難や財政的窮状は都市部の比ではない。ましてずーーーーーっと続く農産物価格の低下により、通常の作物の生産で利益を得ることができる産地は非常に少なくなっている。そうした構造的背景が、栽培難易度の高い高品質な農産物を作るという方向に農家を押しやっているのだ。
だから 引き続き僕はマンゴー生産を応援する。
一方で、農家さんが環境に負荷をかけず、普通に農産物を生産すれば食べていけるような社会になることを望む。それには生産者が継続的に生産活動を行うことができ、かつ消費者が納得して支払うことができる適正価格というものが形成されることが必要だ。
どうやって実現できるものか。
日々悩む。
ともあれ、
部会長、頑張って下さい。マンゴー収穫の時期を心待ちにしています。
そして義援金をご提供下さった皆さん、改めてどうもありがとうございました。