本日は神奈川県の藤沢市でヒアリング。藤沢といえば、僕が大学~大学院時代を過ごした青春の地である。しかしながら藤沢駅周辺というのはちょっと微妙な距離感があって、僕が住んでいた「六会(むつあい)」(現在は六会日大前という駅名になっている)からは横浜とか新宿に行くことの方が多かった。そんなわけで藤沢はけっこう未開拓なのである。
ヒアリングが終わり、さてメシである。そういえばたしか、僕にとっての南米系料理の導き手である柴田さんが、「首都圏でペルー料理を食べるなら、川崎のインティライミか藤沢のオアシス」と言っていたのを思いだしたので早速電話。
「美味しいですよ!藤沢駅の北口からすぐですし。道はちょっと分かりにくいけど、ペルーそのままの味。やまけんが好きなアロスコンポージョは無いと思うけど、その他はたいがいあると思うよ。」
まじ!?
ということで探してみることにした。
藤沢駅北口のさいか屋脇を通ってTOPOSに至る道を歩き、「立花」という料理屋の角を右に曲がると、いきなり怪しげな店の並ぶ小径に。ちょっと不安になりながら歩いたが、駐車場の近くに燦然と輝くOASISの看板を発見した!
オアシス
藤沢市藤沢545-209荒川ビル1階
0466-28-6814
店内にはなんと誰もいない!とおもいきや、日本人のお母ちゃん的おばちゃんが出てきて迎えてくれる。
が!
全編ペルー語である!
「○△□~○☆△」
全っ然わからない!
けどまあいいや。だいたい料理の名前だけは分かっているし、メニューみて指させばなんとかなるだろう。
と思って運ばれてきたメニューをみると、日本語表記もあったのでほっと胸をなで下ろしたのであった。
とりあえずクリスタルビールを頼み、調査のバイトをしてくれている学生H君と乾杯。
なんとH君、不遜にも友人から「ペルー料理はまずい!」と聞かされていたという。
何を言う! ペルー料理は日本人が親しみやすい、素晴らしい体系をもった料理だゾ!ということを立証するためにも代表的なものを頼む。
「えーと とりあえずセビッチェ! パパ・アラ・ウアンカイーナ、 アンティクーチョ! それとロモ・サルタド!」
怒濤の僕の好物セットである。
ちなみにペルー料理はそれほど待たずに出てくる。腹へり人種にはもってこいである。
■セビッチェ
川崎の名店「インティライミ」でもお馴染みのセビッチェ。白身魚をレモンでキツめにマリネし、玉ねぎなどと和えたものだ。インティライミ同様、上にインカコーンというか、ペルーのトウモロコシが盛られている。なんとも美しいプレゼンテーションだ!
ちなみにトウモロコシとかトマトとか茄子はだいたい南米、それもペルーあたりの高原地帯が原産である。歴史の重みを料理にも感じるところだ。
このセビッチェ一口食べてビビッときた! すっげぇ旨い! 実にこの店は旨いぞ!
そしてインティライミ同様持ってきてくれたアヒ(唐辛子)のクリームソースをかけると、また辛さとマイルドなコクに満ちた最高の味になる!
そしてペルー料理といえばこれ、の一品。
■パパ・ア・ラ・ウアンカイーナ
ジャガイモを茹でたものにチーズクリームソースをタップリとかけた一品だ。この滑らかなチーズクリームソースが実に柔らかい、温かい感じの味で、おそらくこれはペルー人にとってのオフクロの味なんだろうなという感じだ。
さて
僕が最も愛するペルー料理、それがこいつだ!
■アンティクーチョ
このアンティクーチョは、牛ハツに各種スパイスで漬け込み、串焼きにしたものだ。これが、ハツ(心臓)というモツであるのに、全くモツ臭くなく、食感とジューシーさ、そしてコクとスパイスの刺激で最高にハッピーな肉料理になっているのだ!
果たしてここのアンティクーチョも実に旨い!スパイスの使い方がインティライミより少し強めで、濃い味好きの僕にはかなりイケテル。
一緒に運ばれてきたのが、パセリとニンニクのソースと、玉ねぎを刻んだ、サルサソースのような一品だ。これをアンティクーチョに載せて頂く。
アンティクーチョのスパイスの香りが、パセリソースによってマイルドに緩和され、これはまたいい感じ!さきのアヒソースもかけると、もうかなり超絶に旨い世界である!
■ロモ・サルタド
この料理は、牛フィレ肉とフライドポテトを炒めたものだ。
「フライドポテトを炒める?」
と、文章でみるとかなり引いてしまう内容なんだが、こいつが嘘みたいに旨いのだ!
醤油ではないんだろうけど、なにやらスパイシーな味が絡んでいて、フライドポテトが程よくしんなりとして、牛肉・玉ねぎと絡んでいる。これについてくるご飯、そして目玉焼きを別に注文して載せてグチャグチャにかき混ぜて食べると、スペシャルな旨さ爆発なんである!
「いやー 無茶苦茶 旨いっスね! 学校の近くにこういう店があったらいいのに!」
「そうだろ ペルー料理はまずいなんて誰が言ったんだ!?宗旨替えしなさい!」
「はい もうしました、、、」
そして本日、初めて食べる一品。柴田さんご推奨の料理だ。
■ペスカ・ド・アロ・マチョ (←って読むのかわからないけど)
これ、魚のカレイをフライにしたものにオレンジがかったクリームソースがかかっているのだが、そのクリームソースの中に玉子が入っているという、我々日本人には少し不思議な料理だ。はたして、ソースの色はオレンジ色を基調にしているものの、クリームの粒と玉子のトロリとした感じの粒子が混ざって不可思議感を醸し出している。
これも別盛りでついてきたご飯に載せて食べてみる。
「おおっ」
「うおっ旨い!」
なんだかよく分からない味の組成なんだけれども、これは旨い!
僕は最初ミントのような、少しスッとする香りを感じたのだが、食べている内にそれは違うものに変容していった。このクリームソースは、何から出来ているのかが全く分からない。溶いた玉子がかき玉とはまた違う感じでトロリととけ込んでいて、これがいっそう不思議に美味しい感覚を強めている。
これはかなりワンダフルな一品であると、言わざるを得ない!
「いやー美味しいねぇ!」
「○△☆★◎■ ありがとうゴザイマス」
とお母さんがニッコリ微笑んでくれる。どうみても日本の人みたいなんだけどね。やはり人類、繋がっているのである。
いやぁ 大満足!これは本当に旨い店であった。
勘定は6800円程度。まあ量的にみると、今日のオーダーはふつうは3人でお腹一杯になるところでしょう。僕はともかくバイトのH君は180センチの剣道出身の猛者だし、、、と考えると、かなりお得な感じだと思う。
僕らが食べ終わるころ、ペルー人のカップルが入ってきて座り、「ロモ・サルタド」と頼んでいた。やっぱり国民的定食なんだな!
いや旨かった!
ただ、藤沢市というロケーションは、現在東京住まいの僕には少し遠いので、わざわざ腰を上げるかというとかなり微妙なのだが、でも川崎の「インティライミ」で美味しいと思った人には、同じように美味しく、しかも味の傾向が少しずつ違い、違う料理も楽しめるという意味で非常に穴場だと思う。
しかしさすがに南米料理オタクの柴田さんである。彼のお薦め店で外れたことは一回もない。
実は彼の最近のお薦めが、新橋にある、日本人が腕を振るうペルー料理屋だという。ここにもいずれ行ってみたい!と思いつつ腹一杯の夜であった。