さてコンソメで一息入れた後、オマール海老のバターソースが。これもやはり野菜がうずたかく盛り込まれた、最近のトレンドと農園の野菜と、シェフの感覚がでた一品になっている。
さていよいよメインだ!
メインに用意されていたのは特製ローストビーフとエゾ鹿、そして野ガモである。
ロースト・ビーフ メークインのグラタン添えこれはもう鴨を食べるしかない。藤野シェフが使うのは、新潟の猟師さんから直送される本物の野ガモだ。しかもそれをトロトロになるまで熟成し、旨味成分がぎっちり生成されたものがおろされる。
または
エゾ鹿のロースト ソース グラン・ヴニィール
もしくは
新潟産野鴨のロースト ソース サルミ
今年の鴨は旨い!
しかもソースサルミの濃度が適切で、一皿食べきった瞬間に満足をする絶妙な塩梅である。
それにしてもいままでカストールでいただいた鴨よりもなんだか野趣に富んだ香りである。
「鴨の血を最後に加えてコクを出しているからね」
とシェフが言っていたが、それ以外にも何かあるような気が。うーんそれにしても旨い。
野生だから、モモ肉の引き締まり具合も素晴らしい。しかし長期間熟成されているため、肉自体はトロトロに柔らかい。野生らしい筋繊維の締まり加減のある熟成された肉、というパラドックスの世界だが、ムチンムチンという食感が最高である。行儀悪いけどてで持ってかぶりついてしまった。
鴨の横に添えられていたパイのような添え物がまた旨い。ブイヨンのような旨味が立ったもので、これにソースを絡めながらいただくのが素晴らしい!
そしてジビエの内臓といえばこれはもうご馳走である。レバーの力強いほろ苦さは、オトナでないとわかり得ないダイナミックレンジの際(きわ)にある味と香りだ!
いやこの一皿、一気に食べきってしまった。
ちなみに野鴨は、1人前が半羽分になるはずなので、通常は2名からでないと頼めないはずだ。運良く他のテーブルで注文があればできるんだろうけど。でもまあ、この季節、やっぱり鴨を食べとくべきでしょ!
さて藤野シェフのデセールは激旨。
なんといってもガトーショコラで知られた藤野さんである。(NHKからDVDが出ているくらいだ。)
本日はチョコレートのデザート3種。
アイスクリームとムースとミルフィーユ。甘いのは苦手の僕もここのデセールは大好き。今回は、タイムで風味の付けられたチョコレートアイスクリームが素晴らしかった。想像できない味、である。それとこのミルフィーユの美しさ。
いや、喰った食った!
「どうでした~?」
といつものとおり最後の客になった僕らのテーブルに藤野さんがやってきて下さる。
「いやもう 銀座・京橋のお客さんは代々木上原時代と全く違いますね。厳しい部分は本当に厳しい。けれども、フレンチというスタイルを楽しみにいらっしゃるお客さんがまだまだ少ないかな。この店では、ファッションのように先端の流行を追い求めるのではなくて、フレンチというきちんとしたスタイルの上に成り立つ料理を出していきたいと思ってますから。」
と笑いながら話してくださった。
今年のレストランの営業は本日まで(ブティックは明日まで)。新年は9日からだそうだ。
まだまだこれからが野ガモの季節。
おそらくあと二回は来ることになるだろうな、、、