2005年10月23日 from 出張
さあ大会4日目、北海道の釧路のバー「A One」の相田(あいた)君(29歳)が出場する、FCC(フレアーテンディング・コンクール)だ!
「うちのバーの『A One』っていう名前は、Aクラスのナンバーワンを目指すっていう意味で付けた名前なんですよ!」
彼は高校卒業後すぐにバーテンダーの世界に入り、北海道のカクテル大会では何度も優勝・入賞しているバーテンダーだ。僕はこの数日間彼と話したが、そのまっすぐで、前へ前へと出る性格がすっかり気に入ってしまったのだ。
「いろんなフレアーの流儀があるんですけど、僕は技も重要だけど、最後にできたカクテルが美味しいということが絶対に必要だと思うんですよ。見た目だけじゃ意味がないと思うんですよね!」
釧路のA Oneでは、リクエストすれば彼のフレアーを観ることができる。僕も帰国したら絶対に行ってみようと思っている。
さて本日は午前中~午後17時までがフレアーの大会(長い!)、そしてディナーの後の夜10時から、フレアーの上位3人の演技と結果発表、そしてWCCの決勝が行われる。文字通りファイナルだ。
会場入りしてから出場順が発表されるいつものスタイル。各国の選手が練習する中、相田君も瓶を投げていた。
「僕は1番目が一番やりやすいんですよ。くじ運いいんで、それくらいをとりたいな。」
と言っていたのだが、なんと本当に8番目という早い順をひいてくれた!なんて観ている人に優しいヤツなんだ!
フレアーの大会は、WCCとは違って観客が純粋に観て楽しむことができるので、昨日のWCC予選とは全く違う雰囲気だ。
さてとうとう始まる!いつものごとく司会者(IBAに属しているスウェーデン人らしい)の
「Good Afternoon Helsinki!!!!!!!」
絶叫で会場はもう拍手喝采だ。
一人一人選手が壇上に上がり、音楽が流れ、5分間の演技が始まる。規定された技があるので、それをきちんとクリアしながら、より高度なオリジナルを混ぜてアピールする。瓶やティンを落としたら当然減点で、けっこうみんな落としまくっている。やはり世界の舞台は緊張するのか!
いろんなお国柄がみえる中、僕が好きだなと思ったのは、アルゼンチンをペルー、ギリシャ。全体の構成の美しさとかより、技術の派手さのほうが僕にはアピールするらしい。
さて相田君の出番だ!
画像だとわかりにくいだろうが、スパンコールの入ったデカイ蝶ネクタイにハチマキを締めて、わざとイモっぽいコメディアンスタイルで登場!他の国とは全く違う角度である!
「派手な大技はやると失敗した時が怖いんで、基本を綺麗に、高さを揃えてやります!」
と言っていた彼の演技、その通り基本を大切にしたものだった。
ポップでハイテンポな曲にのせた5分間が終了した。
彼ももう思い残すことはないだろう。
演技を終えてやってきた彼の顔のすがすがしさを観て欲しい!
「いやー これで肩の荷が下りました!やるだけのことはやりましたから、満足です!まあ、世界にはこのフレアーのプロで食べている人も沢山いる。そういう人たちが集まってますから、バーテンダーとしての仕事をしながらフレアーを練習するだけだと勝てない壁があるというのは事実なんです。でもまあ、それはその路線でいいと思ってやってきましたんで。満足してます!」
午前10:00から午後5時半までタップリかかってフレアーの出場者の競技が終了した。出場者全員が壇上にならぶ。
この中から上位3名が選ばれるのだ。本当に狭き門だ!僕が「巧いなぁ」と思った人たちも、ベスト3には残っていない!
上位に残ったのは、スウェーデン、アメリカ、そしてウルグアイだ!
ウルグアイとアメリカの選手は昨年度も1,2位を獲った宿命のライバルらしい。その二人の演技は残念なことに中座して観られなかったのだが、夜のWCCファイナルの際に観ることができる。
相田君は、世界大会では無冠ということになる。しかしそれは確信に満ちた、満足すべき無冠だったに違いない。
釧路に行く日が楽しみだ。そういえば僕は彼のカクテルをまだ飲んでいないのだから、、、
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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