吟寿司を出てJA幕別町の岡坂さん・相澤課長と落ち合う。
「やっぱ焼き肉だなぁ。十勝にきたら肉食うのがベスト。」
と相澤さんが仰る。前回来た時も「羅山」にて壮絶な焼き肉を食べたわけだが、今回も焼き肉臨戦態勢である。
帯広市街は完全に碁盤の目になっているので、通りの名前で場所を特定することができる。んで、繁華街の中でも有名な「名門通り」に目指す店はあった。
■焼き肉 彦一
0155-21-8331
※名門通り沿いに看板が出ている。ビルの2F。
ちなみに帯広駅近くの繁華街は、スナックやらもうちっと○○がわしいお店とかが入った雑居ビルが多い。そのただなかに旨い店があるので、これがなんとも風情を呼ぶのである。このギッシリ詰まった雑居ぶりをみよ!
店はそれほど大きくない。ていうかビル二階の本当に居酒屋風の佇まいだが、これがすぐに満員になってしまうので予約必須だそうである。さて座敷にとおされ生ビール。
「さーて片っ端からたのむかぁ」
と岡坂さんが肉を頼み始めるが、北海道の肉の呼称はちと本州と違っていて、どれがどの部位何だかまったくわからない!まあ来たのを片っ端から食うしかないな。ということで、どの部位だかは解説できません。
いい感に熾った練炭の詰まった七輪がおかれ、早速肉がやってきた!
のっけから素晴らしい肉が目の前に!これは牛タンですな。北海道産牛のタンなんだろうけど、素晴らしい肉質である。
「ほれ、焼き過ぎねーように食べな。焼きすぎっとここのおかみさんに叱られっから。」
了解です!
焼くごとにジュワッと染み出る肉汁!
全くタマラン。僕の好みは、本当はすこしこげ目が付いた肉のほうがすきなんだが、ここは薄切り主体なようで、さっと火を通して食べるのがお奨めらしい。道産牛の脂質はあまりくどさがなく、非常にキレがいい。
さてお次はサガリ(ハラミ)だと思われるのだが、、、これまた見事である。
お昼にこれ観てる人は、きっとランチに焼き肉食べたくなるんだろうなぁ。
これは若干厚みがあるのでしっかりこげ目をつけてタンパク質を凝固させ、アミノ酸をタップリな状態にしていただく。
この店のタレは、色をみていただければおわかりのとおり非常に薄味。焼き肉のツケダレというより、和風のつゆといった感がある。肉の風味を味わって欲しいということだろう。モミダレも控えめだ。その狙い通り、非常に肉の味がストレートに出るのである!
さてこの肉がどこの部位何だかようわからん。
ロースのどこかだろうと思うのだが、、、リブ芯にはこんなに脂身がついていないはずなので、芯ではなくてどこかのキワだと思うんだけど。焼き肉マニアな方、ぜひ教えてください。
この肉、超薄切なので、これこそさっと火を通してあげる。
「あーそれじゃ焼きすぎだよ」
とおばちゃんに叱られてしまった!
でも非常に繊細で旨い!
ハラミのような野趣ではなく、力を入れなくても引きちぎれる肉のヤワヤワな繊維感を楽しむ感じである!
さてこれはカルビなんだろうなぁ。
この辺になると部位のことなんかどうでもよくなってくる。ちなみに皿に載っている肉の5分の3くらいは僕が食べてしまっているので、この時点で相当食っているのだ!
これはモミダレに漬けたカルビか。僕好みだな!
このタレの焦げる香りでもうヤラレタ!
「ご飯大盛り!」
やっぱり醤油ダレと肉とご飯、これは最高のトリオなんである。
モツも超新鮮! どこの部位かはわからん!
そして、出た!ステーキにした方が良さそうな特上ロース!
美味しいだろうか?美味しいに決まっている。
僕はこうした霜降り牛はたまーにしか食べたいと思わないけど、でも食べるとやっぱり美味しいと思う。日本にしかできない技だ。
「あ、やまけんさんどうもっす!」
と、ここで帯広の隣町である更別(さらべつ)の生産農家、十勝やっち登場!
実はこの時、ジャガイモ収穫の真っ最中。収穫時期には、大型トラクターに電灯をつけて夜まで作業をするのが常なのだが、この日夕刻から雨が降り始めたので早めに切り上げて参戦してくれたのである。JA幕別町とは取引関係にないけど、岡坂さん、相澤さんとも話が弾む。
この時期、十勝の農産物は収穫のピークを迎えようとしている。これ以降は冬になり、豪雪になるので生産自体は終了するわけである。だから十勝の農業はこの時期が最盛期と言ってもいい。
生産者・JA・流通業者と農業関係者が集うと、やはり情報交換にいそしんでしまう。特に若くて意欲的な生産農家の話だけに、幕別のお二方も突っ込んで話を訊いていたのであった。
さて
〆はジンギスカンである。
「俺たちはジンギスカンはいいよぉ~」
そうだよな、いつも食べてるもんね、ということで僕がいただきます。
ジンギスカンは網いっぱいに隙間をつくらず固めて焼くというのがセオリーらしい。それにしたがって焼きを入れる。
ジンギスカンには生ラムとツケダレがあるが、僕は実を言うとツケダレジンギスカンの方が好きである。生ラムは余程タレが旨くないと外すからだ。この彦一のジンギスカンは絶品!どうやらこの彦一がジンギスカン専門店も出しているらしいので、今度行ってみたいものである。
「よーし ヤマちゃんくったかぁ? そんじゃスゴイ店に連れてってやるよ!」
まだまだ夜は終わらないのである。
(つづく)