もう何度目であろうか、北海道は帯広に到着である。
一番最初に帯広に降り立って、空港内の食堂「白樺」の豚丼に舌鼓を打ったのももう二年前である。そしてその後、白樺は「大平原」と名を改めたそうだ。帯広の名ホテル「大平原」のグループだからなのだろうが、まさに時代の変遷を感じさせる出来事だ(なんのこっちゃ)。
■北海道帯広にて伝説に残りそうな食い倒れをするhttps://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2003/08/post_3.html
帯広へはもともと、2003年度の農林水産省の事業でトレーサビリティシステムを構築する仕事で訪れたのがきっかけだ。十勝の中でも最も「尖った農協」であるJA幕別町のナガイモにRFIDタグをくっつけて流通するという実験だ。それが縁となって、JA幕別町さんとはナカナカに深い絆をいただくことができ、今年はついに幕別町きっての素晴らしい農産物の流通のお手伝いをすることになったのだ!
ということで今回は、そのJA幕別町への来訪と、もう一ついま執筆中のトレーサビリティに関する本のために、とある企業のシステムを視察させていただくという2件のミッションがあるのだ。しかしながらはやる気持ちを抑えて、まずはとにかくインデアンカレーである。
これまでずっと読んできてくれた読者ならおわかりのとおり、インデアンといっても僕が世界で一番愛している、大阪のインデアンではない。帯広一円にチェーン展開している「インデアン」である。この辺のいきさつは複雑(でもないか)なので、過去ログを観ていただくとしよう。
■なんと帯広にもインデアンカレーを発見
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2003/12/post_98.html
バスが帯広駅につくとすぐに駅を突っ切って反対側にある長崎屋へと向かう。朝一便で来たので時間はタップリ、お店もまだ開いたばかりである。
なぜか僕は帯広インデアンはこの長崎屋の店でしか食べたことがない!本当はロードサイドに店舗が数店あるのだが、旅行者には長崎屋店が一番アクセスが楽なんである。
オーダーはいつもの通り、このインデアンで最高値メニューとなる「シーフードカツカレー」である。これはもうめちゃくちゃに美味しい!
シーフードカレーには「ベーシックルー」という、玉ねぎのしっかり入った芳醇な旨味のルーが使われている。この他、インデアンルー、野菜ルーとあるが、僕はベーシックルーが一番大好きだ。
テラテラと輝くテクスチャに、ゴロゴロっと具材がタップリ入り込んだこのプレゼンテーション。堪まらないではないか!
このインデアンのルーはかなり粘度が高く、スプーンからデロデロデロッと流れ落ちていく感じである。見事に濃い!
そこにしっかりと具が入っている。さすが北海道、魚介のふんだんさは最高なのだ。大粒のアサリ、海老、イカがドチャッと混入しているのだ。
しっかり揚げられたカツとこのルーの取り合わせも抜群で、朝飯を抜いてきて本当によかったとホッとしたのである。やっぱり旨いよ帯広インデアン。
さて
午後一番のヒアリングは、とある企業のトレーサビリティシステムについてのヒアリングだ。業界でもトップクラスの納入実績を誇るシステムについて長い時間ヒアリング。お茶と梨を出してくださった女性がやたらと美人だなぁと思ったら、なんとその人がシステム開発担当者さんであった!しかも「食い倒れ日記読んでます。ヒアリングにいらっしゃるっていうのを訊いて騒いでたんですよ~」とのことであった。ビックリである。
終了後、JA幕別へと走る。幕別の人が回してくれたタクシーに乗ると、「たしかヤマケンっていう名前じゃなかったっけ?2回ほど乗せたねぇ。よく食べるんだよね?」と言われ驚愕。広大な帯広がだんだん狭く感じてきたのであった。
さてJA幕別に着くと、帯広編ではお馴染みの岡坂さんが迎えてくださる。もう一人コンビのノムさんは、ジャガイモ収穫の最盛期のため、事務所には居なかった。
「ヤマちゃん、まだ全然大きくなってないけどさ、これが今年の和稔じょ(わねんじょ)だぁ!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおお
なんと美しい!
大根のような白い肌だが、これは「ナガイモ」である。全くヒゲ根のないつんつるてんのナガイモ新品種なのである!十万本に一本の割合でしか見つからなかったのをノムさんが保存し、繁殖させて品種登録した、JA幕別町の至宝といってもよいものなのである。
どうだろう?全くヒゲ根がないのがお分かりだろう。皮がこんなに綺麗で、実際薄いので、洗ってこのまますり下ろしていい。しかも何故か通常品種よりも甘くフルーティーな薫りがするのである。
今年はこの和稔じょを、とある通販企業さんで販売する。生の和稔じょと、このブログでも紹介した、たまり醤油漬け・梅酢漬け・ぬか漬けの3種の漬け物も販売するのである!
「おおお なんだよ また飯食いにきたのぉ?」
と笑いながら、相澤課長のお出ましだ。
相澤さんは、幕別では格別に信任の厚い、根菜類を担当する豪腕課長さんだ。昨今、農産物の現場について何もわかっていない輩が安易に「農協はいらない」と言っているが、実情はそう単純ではない。「いい農協」と「悪い農協」があるのだ。そして僕から観てJA幕別町はもちろん前者である。「俺たちはさぁ、農家がどうやって生きていけるかを考えるのが商売だからさぁ」という相澤課長の言は、ホンモノなのである。
ちなみに和稔じょの農林登録の証書がこれだ。
農林登録とは、著作権とか特許と同じもので、農産物の育成者の権利を守るためのものだ。正式名称は「和稔薯幕別一号」。現段階では市場出荷はほとんどされない(数量がない)ため、ほぼ今年の僕がてがける通販でしか買えない!これはまた別途発表したいと思う。
「さぁて、んじゃどうすっかい?とりあえずチェックインしてもらって、夜またメシ食いに行こうや」
ということでホテルにチェックイン。いつもの温泉ホテル「パコ」ではなくその隣の東急インだ。帯広という町は非常に旅行者にとってはいい町で、駅からすぐに繁華街があり、主要な飲食店がずらり軒を連ねてるのである。ただし、黒い豚丼の「鶴橋」や新興豚丼店である「とかちっこ」、そして生ラムジンギスカンの名店「白樺」などは郊外にあり、車でないといけないが。
岡坂さん相澤さんとの約束の時間は6時だが少し悩む。そう、金ちゃんの吟寿司にいって、先に牛トロ巻きを食べた方がいいのではないだろうかということである。今回は嫁さんを連れてきているのだが、小食なので何軒もハシゴした後ではきっと寿司をつまむことはできないだろうと思うのだ。ということで、東急インから50メートルと離れていない吟寿司に足を運んだのである。
■金ちゃんのみせ 吟寿司過去ログ
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/07/post_585.html
(続く)