2005年9月 9日 from 農村の現実
宮崎県西都市のアップルマンゴーのエントリを見て、実際に取り寄せて食べた人は多かったと思う。美味しかったでしょう?
■宮崎マンゴー大襲来 あと少しで旬が終わる!http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2005/06/post_566.html
ずっしりと重く、香しいルビーの玉。これを育てるためには、ハウスを建ててマンゴーの木を定植し、気温の低い時期は重油のボイラーを焚き、というように百~千万単位の莫大な投資をしなければならない。このアップルマンゴーが一玉2000円~3000円、高いという人もいるが、あの味を出すには相応のコストがかかっている。
その産地は今、大変な苦境に陥っている。先日の台風は、例年以上に凄まじく農村を破壊した。宮崎の弟分、沼口君からの便りだ。
アニキ電話見舞い有難うございました。
台風一過から、JA、市役所、普及センターの3機関で災害状況調査を行いました。台風の影響は風害よりも水害がひどくて、5箇所以上の堤防が決壊したみたいです。それによって多くの家屋浸水と土砂によるハウス倒壊が発生しました。残念なことに同市では避難し遅れた2名の方が命を失いました。
農業被害はマンゴーハウス(西都市の二つの地域に集まっている)が水没し、約3ヘクタール位は損害をこうむりました。10aあたり1千万以上する施設も濁流の水圧によって鉄骨が歪んでしまいました。来年の収穫見込みは全く検討もつかないようです。施設野菜はハウスピーマンの苗の水没、ハウスの倒壊が見られ、風によって飛ばされるのを防ぐために満タンにしていた重油タンクが水没したため、その比重によって重油が周辺集落に流れ出てしまいました。悪臭が酷く、しばらくは周辺の住民が悩まされるのではないかと思います。
その他、露地野菜は胡瓜が数割被害を受け、ジュース用の加工人参は芽が出たばかりでほぼ壊滅状態と悲惨です。今日、マンゴーハウスの状態を見に行ったところ、アニキの披露宴にマンゴーを快く提供してくれたマンゴー部会長のハウスも完全に倒壊し、呆然としてしまいました。私たちが出来ることは生産者への励ましや、災害復興のお手伝いですが、それすら十分に出来ない状況です。
可能であれば、アニキのブログで義援金を募って頂きたいと思ったのですが、そちらの都合などもあろうかと思いますので、また返事でも頂ければと思います。
近年、大きな地震など災害の絶えない国内ですが、こんな状況を目の当たりにするのは鹿児島水害依頼でした。今回はチョット悲惨です。添付写真はマンゴーハウスの被害状況です。近くに行っての写真撮影は気分的に出来ませんでした。
それではまた
この便りの他、僕が責任編集している農業用センサーのブログ「agrisensor」にも、彼のレポートを掲載しているので合わせてご覧いただきたい。
文中にもあるように、沼口君は僕の披露パーティに、最高級マンゴー15kgも届けてくれた。あっという間に来場者の口の中に消えてしまったそのマンゴーを育ててくれた部会長さんのハウスも倒壊しているという。おそらく、先日ぼくを宮崎に呼んでくれたピーマン農家の菅原さんのハウスも大変なことになっているだろう。
僕はあまりWeb上での被災支援等に真剣に向き合ってこなかった。しかしこれは人生で縁が出来た人への、最低限やるべきことだと思う。マンゴー部会、そしてピーマンの生産者さんへの義援金を、何らかの形で届けたいと思う。このWebサイトを見ている方でも、応援したいという方は、ぜひご協力をお願いします。
そこで読者さんの中で知っている方にお聞きしたいのですが、義援金をどこかの口座に安全に振り込んでもらう仕組みってあるのでしょうか。私の個人口座?それとも現地の人の口座?もっと客観的な口座があった方がいいと思うのですが、、、そういう個人口座以外の形で義援金を募る仕組みってあるのでしょうか。ご存じの方、教えて頂ければ幸いです。
口座等がきちんとでき次第、告知をさせて頂きたいと思います。
かといって、これは私の個人的動機から行うものですから、あくまで宮崎のマンゴー、ピーマンに少しでも愛情を感じて、なにか応援したいと思っている方のみ、ご賛同いただければと思います。
日本の農業が衰退していく中、「日本でコストが合わないなら海外から輸入をすればいい」という人も居ると思います。でも、海外から輸入したら、日本の円は海外に行ってしまって返ってこない。日本の生産者が作る農水畜産物を食べることは、日本の中でお金を環流させていくことでもあります。だから僕は日本の第一次産業に対して可能な限り応援をしていきたいと思っています。少なくとも、台風の爪痕・農業の厳しさを見ておくことは、消費の側に身を置く人たちにも意味のあることだと思っています。
では。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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