2005年8月 4日 from 富良野
「いやぁーいろいろ回ってみたけど、どう?富良野っていいでしょ?景色も最高だし、意欲のある若いヤツも居るし、これからもっと面白くなるんだよ!」
本当にそう思った。夏の一番いい時期に行ったと言うこともあるが、景観、人、そして食に関わるソフトとハードが揃っている、と実感した。
富良野という場所に対するイメージは、例えば倉本さんのドラマ「北の国から」や「優しい時間」に象徴されるものであったり、ラベンダー園の風景であったり、メロン、スイカといった特産物であるなど様々だろう。しかし、そこには必ず「人」が居る。富良野という場所が、単なるイメージ先行型の観光地であるとするならば、その隆盛が続く時期はそれほど長くないはずだ。ドラマの記憶はいずれ薄れてしまうからだ。
しかし、富良野に起居する人たちがリアルに創り出すモノやコトが独自性を持ち魅力的であれば、今後も人が集まる場所になるはずだ。そのための努力を、今こそしなくてはならないではないかと、宮田マスターは働きかけているのだ。
前にも書いたが、宮田マスターは唯我独尊のオーナーでありながら、富良野市議という顔も持っている。地元の有名人であることはもちろんだが、歯に衣着せず、いろいろともの申すことで、煙たく思っている人もいるはずだ。しかし、おそらくこと食の世界に携わっている人での支持は絶対的に高いはずだ。前回から今回にかけて、様々な店を周り、店の人とマスターとのやりをりを聴く中でそれを確信した。マスターは「これこれこういうことなんだよなぁ おい」と声を投げる。店の人も「最近こういうことがあってね、こういう問題があるんですよ」と相談したり、情報交換をしたりする。世間話に見えるが、マスターは富良野の食に携わる人たちの現在をヒアリングしているのだ。
市議の仕事はいろいろあるだろうが、この人がやっている仕事は、本当に貴重だと思ったのであった。
「よっしゃ、酒飲みながら仕事の話しましょうか!」
と、僕をデカイ厨房に呼び寄せ、悪戯っぽく笑いながら、古いウイスキーの瓶を取り出してくる。
「いや実はね、近くの酒屋さんが店閉めるから、使えるモノがあったら持ってけっていうんだよ。そんで行ってみたらさぁ、すっごい古い酒がゴロゴロ転がってるんだよね!」
と、このVAT69の裏書きを観てみると、今では拝めない「特級」の刻印があるではないか!
「これチビチビ飲んでみたらさ、すっごく美味いんだよ!いや参ったね」
と言ってトポトポトポとグラスに注いでくれる。氷は当然富良野の甘い水だ!
乾杯して一口含んでビックリ!
なんちゅう深みのあるウイスキーになっているんだ!芳醇、濃厚、色っぽい!
「時間こそが財産なんだよね、酒って、、、」
本当にそうなんだなと実感してしまった。まだ数本、マスター秘蔵の酒があるらしい。これから足繁く通ってしまおう。ウッシッシ、、、
さてさて、鰯とイカ、ホースラディッシュの醤油ヅケをつまみにウイスキーをチビチビやりながら、仕事の話をした。
「富良野はね、年明けてからは雪が降って、全部の産業が静かになっちゃうんだよ。うちの店も夏がピークだしね。だから、カレー商品を作るとしたら秋から冬にかけてだね!」 (宮)
「よしゃ。でね、カレー商品なんですけど、レトルトとか缶詰は不味くなるから、やりたくないですね。」(山)
「そうそう そうなんだよ!レトルトは問題外、缶詰だと金属の匂いがついて美味しくないんだよな。できれば瓶詰めでやりたいね。」(宮)
「そうですね、瓶詰めですね、決まりだな!」(山)
決まりである。唯我独尊のオリジナルカレーを瓶詰めでお届けする。
さっそく瓶の大きさを、厨房にある瓶詰めを眺めながら練るのであった。
「で、こういうのはどうでしょうかね。瓶の中身を鍋にあけて、瓶に水を満たしてスプーンで洗いながら鍋に足して火を入れると、ちょうどよい濃度に希釈されてカレーができあがるっていうのがいいんじゃないかと思うんですよ!」 (山)
「それはいいアイデアだね!じゃあ、2人~3人が食べられるような分量になるように瓶の大きさを調整しよう。」
「1種類じゃ面白くないから、オリジナルなカレーを3種類作りませんか?」(山)
「うーん じゃあこうしよう! 一つはバルバリー種の鴨をスモークしたのを具にした鴨カレー。ムチャクチャ美味いよ!もう一つは富良野で獲れた豆のカレー。富良野の豆が何種類も入ってるの。美味いよぉ!それと、僕らがオーソドックスに作っているポークカレー。この3本セットでどうかな?」(宮)
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
食いてぇええええええええええええええええええええええええ
企画しながらもう涎全開である!
「しかしあれだね、12月発送で300セット、年を越して1月中に200セット、その後は注文状況によってっていうかんじだね。そうそう沢山は作れないよ。」(宮)
「ん、いいんじゃないですかね。よっしゃこれで行きましょう!」
皆さんどうですか、食べたいですか?
昨年度に大反響を呼んだ、まあどんな会のなんばん粕漬けに続く第二弾商品は、唯我独尊カレーに決定です!
(まだやりたいのはいろいろあるんですがね、、、)
このカレー、正直言って僕自身が楽しみでしょうがない。だって、唯我独尊のカレーは、富良野にいくか、百貨店の物産展で回遊しているのにぶち当たるか、それかカレールーを通販で買って自分で作るかしかなかったのだから。それが自分の家で、プロの味が楽しめる!
しかも他では食べられない、オリジナル具である。もうしぶんない。
今回もライブドアデパートで販売することになりそうだが、これから経過を刻々と報告していきたいと思う。
しっかし宮田マスター最高だ。
誰よりも真剣で誰よりもパワーがあり、誰よりもデカイ声。悪戯っぽい遊び心と繊細な人に対する気遣いが全て内包されている。この写真、光量不足でうまく写っていないが、イタズラ軍団という感じで気に入ってしまった。マスターのこぼれそうないい顔が堪らなく佳い。
仕事の話は40分程度で済んだ。あとは、家の横に流れる川のせせらぎからのマイナスイオンに包まれ、ウイスキーの酔いに身を任せる時間を楽しんだのだった。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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