やまけんの出張食い倒れ日記

もう一つのインデアン伝説 帯広インデアンカレーはやはりオリジナルで旨いのであった。

昨晩タップリ肉を食いすぎたせいか、朝になっても目が覚めない。眠い、、、シャワーを浴び、昨日の話を反芻する。JA幕別町との今年の取り組みは面白いことになりそうだ。今までよりググッと深い付き合いになり、同JAの誇る絶品農産物を世に問うお手伝いができそうだ。ムズムズしてきた。このブログでも連動企画としてやっていきたいのでぜひ御支援いただきたいと思う。

さて帯広と言えばインデアンカレーである。

「なに?インデアンカレーって、大阪でしょ?」

と言われるかも知れないが、なんと帯広に、大阪のインデアンカレーとは全く違うカレーチェーン「インデアンカレー」が存在している。しかも、「全く違う」とはいうものの、どうやらこちらのインデアンは、大阪のインデアンをリスペクトするあまりにできた店であるということだ。その辺のくだりは、僕がこの帯広インデアンに初めて行った時の驚きの記録をご覧いただきたい。

■2003年12月08日 なんと帯広にもインデアンカレーを発見
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000129.html

さて
この帯広インデアンのカレーも実に旨い。十勝生まれで十勝育ちの岡坂さんやノムラさんにとっては「カレーの味と言えばインデアン」ということだ。そのインデアンだが、実は源流となるのは「ふじもり」というレストランというか食堂なのだそうだ。

「もともとはふじもりっていう店があって、そこの社長がカレー好きなもんで新しく創ったチェーンがインデアンなんだよなぁ」

ということなのである。よし、それじゃあ今回はその源流であるふじもりのカレーを食べてみようではないかと思ったのである。

帯広駅前からすぐの場所にあるふじもりは、真っ先に豚丼のノボリが目に付く、割と立派なこしらえの店構えだった。そういえば豚丼は今回一度も食べていないな、珍しい、、、と思いながら入店。内装は立派なものである。10時過ぎでまだ昼には時間があるため、店内には複数のおばちゃん連れが点在しているのみの平和な空間である。

ビシッとしたウェイター服のおっちゃんが来た時に「ここってインデアンカレーの元祖なんですよね?」と訊くと、ニッコリ笑って「左様でございます」と返してくれた。

メニューにはビーフカレーとカツカレーなどあるが、帯広内に点在するインデアンカレー各店とは違い、シーフードカレーや野菜などのバリエーションはない。インデアン各店では、インデアンルー、ベーシックルー、野菜ルーという3種のルーを使い分けた細分化されたメニューが楽しめるのだが、さすがは本流、さすがはレストラン。本道で攻めるという意志が見えるのであった。

さてビーフカレーを頼むと、今度はウェイトレスがお冷やを持ってくる、、、ここで驚愕の一品が!そう言えば昨日の晩、岡坂さんに言われていたのだ、、、

「え、ヤマちゃんふじもりに行くの? クックック、、、びっくりするよぉ、まずお冷やと一緒に緑色の液体が出てくるから、、、」

おおおっ!
メロンソーダがコップ一杯運ばれてきた!
なんたるサービス精神であろうか。

思えばメロンソーダというこの緑色の液体は、全くもってメロン由来のものが入っていなさそうにもかかわらず、ホンモノのメロン以上にメロン的魅力を湛えている。僕は今でも喫茶店にいくとたまにクリームソーダを頼んでしまうくらいである。それがお冷やと同じ扱いで出てくるとは、、、恐るべしふじもりである。

郷愁に満ちたメロンソーダを飲みながらしばし待っていると、ステンレス皿に盛られた、みるからにネットリ感の強そうなカレーが運ばれてきた!これが元祖(帯広))インデアンカレーである!

これは単なる好みの問題だろうけど、カレーを盛る皿は真円のものよりも楕円の方が美味しそうに見えるのは、気のせいだろうか。さてこのネットリ感の強いルーにはホロホロに繊維に沿って煮くずれたビーフ片が多く入っている。帯広インデアン各店舗では辛さ指定ができるのだが、今回は普通の味が知りたかったので会えて何もせず(通常僕は「辛口」を頼む)。

一口運ぶと、なんともまったりした、インパクトの強さではなく、まろやかさを感じる味である。これが本店のインデアンルーか。カレーブームの中で、辛さやスパイス香を極限に突出させたものが多く観られるが、そうしたカレーと違って静かにまっすぐの道を歩いているという感じの、美味しいカレーだ。

先日、週間アスキーの連載で取材した帝国ホテルのダイニング「ユーレカ」のビーフカレーにも煮たような感想を抱いたが(味は全く違いますよ、念のため)強い個性はないものの、一度食べたら忘れられない深みのある味である。野菜を多用し、調理しあがったルーを相当時間寝かせて出る味のように感じた。

いやしかしこのようなまろやかカレーを食べると、下はもっと刺激を、アタックの強さを求めてしまう。なんだか食欲増進されちゃうのである。このふじもりで豚丼を食べてみるか、それとも僕が愛用している、駅の反対側にあるスーパー長崎屋の店内にあるインデアンカレーに行って、シーフードカレーを食べるかしばし迷う。こうした時、僕は迷う時間に妥協をしない。この時も5分くらいじっと空になったカレー皿を眺めながら黙考し、「やっぱシーフードカレーを食おう!」と決意するに至った!

非常に丁寧な対応を受けながら勘定をしてふじもりを出る。地方の銘レストランという感じの、非常に好印象を受ける店であった。そのまま帯広駅内を突っ切り、反対側に出ると長崎屋がドドンと建っている。エスカレータで2Fに上がり、生鮮食品売り場を抜けてフードコートへ。懐かしのインデアンのスタンドが見えてくる。

この店にはちょっとだけ馴染みの眼鏡君がいつもいるのだが、ここ数回訪れている時には会っていない。今回厨房には女性陣ばかりであった。女子中学生や家族連れ、おっちゃんなどが食べている中、レジで「シーフードカレー、いやカツもつけます」とオーダー。そう、シーフードカツカレーは、この店で一番値の張るメニューなのである。JA幕別町農産部の凄腕課長、相澤さんが「俺は一番高いのが好きなんだよ」ということで編み出した高級メニュー(笑)である。

ご覧の通りメニューには色々あるのだが、インデアンルー、ベーシックルー、野菜ルーを使い分けしている。これにプラスして、辛さのチョイスが可能だ。

だから地元の人は、自分の好きなルーが使われているカレーをチョイスするのが通例だ。東京で、大衆店でこんなに複雑なオーダーができる店もそう無いだろう。

さてレジでお金を支払いカウンターに座る。もうすでに顔見知りの女性が手際よくカレーを作り出す。この店は、できあがっているカレーを温め直すだけではなく、仕上げ行程をきちんと入れるのが好ましい。特にカツについては、トンカツ屋と張るのではと思わんばかりの立派な、そして美味しいカツを揚げてくれる。

やはり十勝の地域性ゆえだろうか、トンカツは豚肉の質が圧倒的に良いいためか、実に素晴らしいのである。あがったカツをサクサクサクと6分割程度の短冊に切った後、一口で食べられるよう、横に包丁を入れて12分割にする。この大きさが本当に食べやすいのだ。そうしてカツを載せたご飯の上にシーフードルーをタップリとかける。カツは見えなくなりこのようなプレゼンテーションになるのだ!

みてお分かりだろうか、シーフードルーには、関東では観られないほどにタップリの魚介が詰まっているのだ!

観よ、この海老!

観よ、このプクンプクンしたアサリ!

この他ホタテ、イカなども入って、まさしくシーフードである。
そして香ばしくあがったカツがまた旨い!僕はカツカレーには、カレーがかかっていても別にソースをかけて食うのが通例だが、ここのカツカレーにはそれは必要ない。ソースがあまりに濃厚なので、厚みのあるカツもそのルーで食べられてしまうのである!

いやぁ こいつはマジで旨い!
シーフードカレーはベーシックルーという、タマネギの旨味をプラスしたルーである。まろやかでおとなしめのインデアンルーよりも旨味が濃いような気がする。ちなみに辛さは「辛口」にした。程よい辛さで、食べ終わる頃に額にうっすらと汗が滲んでくるくらいのスパイシーさである。

魚介の旨味をたっぷり吸ってネットリ加減を増したルーが硬めのご飯に絡みつき、カツの豚肉の上品な脂と淡泊さが合わさるとコクをさらに増す。間違いなく超絶品カレーである。サッポロを中心にスープカレーが流行っているが、それよりなによりまずは帯広インデアンカレーを味わうべきであろう(←私見)。

大満足して席を立つ。
しかしながらいつ観ても、この帯広インデアンのロゴマークは、大阪インデアンマークとそっくりである。どうひいき目に考えても意匠侵害の恐れがあるのではないかと不安になる。この先問題にならないことを祈るばかりである。なんといっても帯広インデアンは十勝のスタンダードカレーなのだから。

しかし朝10時からカレーを食べて、そしてシーフードカツカレーを食べて、これから僕は富良野に向かうのである。富良野といえば、、、そう!カレーで有名な唯我独尊である! つまり僕は夜もカレーを食べるのである、、、