2005年6月 7日 from 出張
昨日の日テレを観た人へ。先ずはじめに言っておきたいのだが、僕は「料理評論家」ではない。まあ、日本テレビの人も困ったのだろうな。
「おいこのやまけんって人は何て職業なんだ?」
って感じだったのだろう。なにせ僕の名刺には肩書きが書かれていないのだ。
まあ何にしても一昨日、昨日のテレビで堀江君の姿を見つけた人は、その横で僕が居たのにビックリされたことと思う。
「スポーツライターの二宮清純さんと今度、愛媛のじゃこ天を食いに行くんだけど、やまけんもこない?二宮さん、愛媛出身なんだよ~」
と言う連絡があったのだ。一も二もない。僕の本を読んだ人はお分かりだろうけど、僕は愛媛県今治市の病院で生まれた愛媛ラヴァーである。追ってライブドア副社長さんから送られてきたスケジュールを観ると、凄まじい過密スケジュールなのであった。
■1日目
①タルトの六時屋(勝山町)
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②うどんの大黒屋道後店
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二宮&堀江講演 at 松山市民会館
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③道後ぎやまんカフェでじゃこ天といろいろ食事
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二宮清純を囲む会(清談クラブ)&会食
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三崎漁師物語りにて宇和海の海の幸食い倒れ
■2日目
④味噌・醤油の梶田商店(大洲)
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⑤じゃこ天・おがた蒲鉾(宇和)
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⑥ゆず商品・高田商店(広見)
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⑦じゃこ天・かどや(宇和島)
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⑧じゃこ天・島原かまぼこ
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⑨じゃこ天・田中蒲鉾
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⑩以降、現地対応
特に二日目にじゃこ天が重なっているのをみてお分かりの通り、このツアーのテーマはとにかくじゃこ天である。堀江君がじゃこ天好きだとは知らなかったが、僕も本でじゃこ天を採り上げた人間である。愛媛県のじゃこ天は世界に誇ることができる素晴らしい食べ物だ。どんどんやろうじゃないか!ということで空港に向かったのである。
羽田空港のゲート前に集合すると、背の高い飄々とした表情の二宮清純さんがいらっしゃった。
「どうも~ 食い倒れの人ですね?」
と仰るので、食い倒れ本を一冊プレゼント。なんと機内でちゃんと読んでくださったらしく、「あのシチリア料理の店に行きたいですよ!」と仰る!今度お連れしようっと。
堀江君は帽子をかぶって参上。羽田ではあまりパニックは起きず安心だが、それでも飛行機に乗るまでに何人も握手を求めたり写真を撮ったりする人がいる。
さて愛媛に着いてミニバスに乗り込む。こちらが二宮さん。
こちら堀江君。
と、一緒にテレビカメラマンさんも乗り込む。なんと今回のツアーには日本テレビさんの取材チームが同行。ニュース番組の特集になるんだと。僕はそのことは前日に知った、というかスケジュール表に書いてあることに気付いたのであった。
さてまずは、愛媛でタルトと言えばこれだ!の六時屋タルトである。
■六時屋のタルト
県外には「一六タルト」が有名だが、愛媛県内では圧倒的に「六時屋」という老舗がスタンダードである。お茶とタルトが食べられる店内に入ると他の客がひっきりなしに堀江君を撮影しにやってくる。あたりまえか、、、
さて
愛媛県でタルトといえば、カステラ生地であんこを巻いたこういうものを指す。
オランダから伝来したと言われているのだが、なぜこれをタルトというのかは実はよく分かっていない。ちなみにあんこの中には柚子が練り込まれていて、独特の風味を醸し出している。非常に変わったお菓子であることは間違いない。
ちなみにこのタルトは通常の普及版ではなく、六時屋が誇る「特選」である。通常版と比べて素材が吟味されていて、僕が子供の頃に食べたのより全然上品な味がする。
社長さんいわく「この、カステラ生地とあんこの境目に糖分が滲んでいるくらいの時が一番美味しい食べ頃なんですよ!」
ということであった!確かに美味しい。
しかし愛媛ではタルトと言えばこれだが、県外人には全くわけのわからんシロモノである。
「もっと宣伝しないとダメですよ。」
と堀江君は言うが、「いやいや宣伝下手で、、、」という社長さん。そう、間違いなく愛媛県人は宣伝下手である。美味しいお菓子なのだからもう少し宣伝すべきだな。
ただ、僕はタルトもいいけど、愛媛を代表するお菓子は母恵夢(ぽえむ)だと思っているので、次回はそっちに行きたいなと思うのであった。
さて「ではそろそろ次へ、、、」ということで、バスに乗って移動である。
■うどん・大黒屋
これもまた食い倒れ本で書いてある通りだが、愛媛のうどんは旨い!ほんとは「踊るうどん永木」に連れて行きたいところだが、講演会場に近いというロケーションからだろうか、「大黒屋」にて昼食。
じゃこ天を巡る旅は本当は明日からなのだが、メニューにじゃこ天を発見してしまう。「小手調べにいっちゃおうか!?」ということになる。
これが大黒屋の揚げたてじゃこ天である!
実は格別期待していなかったのだが、結構旨そうなプレゼンテーションである!食べると、ブリブリした食感と、原料魚であるハランボの香りが濃い。旨いじゃないの!二宮さんと僕とで目が合う。
「いけるじゃない!もしかして店で揚げてるのかな?」
「もちろん店ですり身を揚げてつくってますよ!」
なあるほど。愛媛では揚げたてじゃこ天を食べさせる店が多いのだが、ここもちゃんと店内で揚げているのであった。
もちろんうどんもなかなかイケル。僕は最初から飛ばすつもりなので、名物の大黒うどんに海老天のせと玉子ぶっかけを食べる。
まあ、愛媛のうどんの神髄を味わってもらうためのベストチョイスかどうかはわからないが、堀江君も美味しい美味しいと食べていたのでよしとしよう。
さて大黒屋から歩いてすぐの処に、「にきたつ」という通りがあり、そこに造り酒屋がある。
「ここが道後ビールの醸造元ですよ!」
おお、道後ビールか!愛媛県の地ビールである。そうか日本酒メーカが作っていたのかと合点しながら入ると、当然ながら地ビールの振る舞いを受ける。気持ちよい苦みがスッと切れる、食中酒にピッタリの旨い地ビールだ。
「実は焼酎を仕込み始めました。免許を取ったばかりで、まだ商品名も就いてないのですが」
と、未発売の焼酎原酒をいただく。
大吟醸の酒粕を使った、いわゆる粕とり焼酎である。大吟醸の吟醸香がとけ込んだ、綺麗な香りの焼酎だった。仕込み水を少しもらって原酒を20度くらいに割ると、香りが膨らんで甘さが出てきた。悪くない。
「旨いじゃないの、、、やまけん、ライブドアデパートで売ってよ!」
売れるわけ無いじゃん、俺は酒販免許を持っていません。
さてこの酒造に隣接して、ビールと日本酒と料理が食べられるカフェレストランに移動。
ここでも当然ビールセットとじゃこ天を頼む。
まあ、ここのじゃこ天には全然期待していなかったのだ。日本酒の醸造もとだしね。しかし!出てきたじゃこ天は全くのオリジナルじゃこ天だったのだ!
この外観を見た瞬間、またもや二宮さんと僕で目が合い、「おや?」という感じに。
一口噛みきると、通常のじゃこ天よりも強い弾力が歯を押し返す!ブリンブリンとした強い食感で、個性的な味だ。
「実はこのじゃこ天には、ビール酵母が入っているんです。」
おおおおおおおおおおおおおお
なるほど!しかしビール酵母が食感を強めるとは知らんかったゾ!
いや、これは旨い。健康のためとかそういうんじゃなくて、単純に食感が増強されて旨くなる。これが増粘多菌剤なんかで人工的に出されているのだとイヤになるが、ビール酵母の作用だとすればかなりセンスがいいではないか!結構ビックリ。
ちなみにこのカフェ、従業員の女性軍がかな~りキュート揃いであった。今度また行こうっと。
さて講演会場の松山市民会館は、「2000人のキャパシティがほぼ満杯ですよ~ こんなの、市民会館始まっていらいですわ!」ということであった。
舞台の袖で二人の対談を訊きながら、凄いことに気付いてしまった。僕は堀江君のお仕事モードの話を訊くのは初めてだ!話し上手でなかなかやるでないの。メディアや聴衆が「堀江モンにこんなこと言って欲しい」という内容を把握していて、そこになおかつ新鮮なネタと文脈を付加している。しかも、テレビの所業で悪役に切り取られたイメージを払拭するような、かなり聴衆を味方に引き込むしゃべりである。お見事お見事。
それにも増して二宮清純さんという異才の人を初めて間近で観た。切れ味、半端ではない。実は20年くらい前に、毎週読んでいたプロレス雑誌・週刊ゴングにコラムを書いているのを読んで「この人何もの?」と思っていたのだが、まさかそのご本人がいらっしゃるとは。感動である!
さて松山市民会館始まって以来のフィーバーが終わり、地元の名旅館「ふなや」に移動。荷物だけ置いてすぐに「道後ぎやまんの庭」に併設された「ぎやまんカフェ」にてお茶っつうかじゃこ天を食べに行く。
道後温泉の町中を堀江君が歩く。カメラも着いてくるからイヤでも目立ってしまうのであった。
■ぎやまんカフェ
いや実はこのカフェが実に素晴らしかった!水の流れの横にデッキテラスのある、今風小綺麗つまらないカフェかと思ったら、かなりフードメニューが充実している!
「ここはけっこう地産池消を意識していて、地元の農家さんから野菜を買ったりしているらしいですよ」
というだけあって、僕も非常に楽しめる内容だったのだ。
野菜の盛り合わせは、ほぼ愛媛県内の農家さんから直接買う野菜で構成されていた。実に美味しい。
とくにこのなんとか蕪(カブ)が実に秀逸。甘く雑味のない透き通った味だった。
そしてここでもじゃこ天オーダー。
この店のじゃこ天、カリカリのしらすを上に載せた、ダブルジャコという感じのものだ。カリッとしたしらすの食感とじゃこ天の香りが相まって非常に乙なものだった。
昼飯食べて時間経ってないんだけど、フードが旨そうなのでどんどん食べてしまう。
このゴボウの揚げたのが非常に旨かった!また食いたい。
伊予地鶏の黒七味焼き、伊予地鶏は大したこと無いけど、料理は旨かった。
このビビンパみたいなのも野菜がタップリ入っていて旨い。
「山本さん、よく食べるねぇ~」
と、この辺から二宮さんが僕を観る目つきが変わってくる(笑)
この旅で二宮さんは僕のことを「とにかく食うヤツ」と認知したに違いない。まあ確かに今回はよく食べた!
さて旅館に戻り、道後温泉名物の足湯につかりにいく。
足湯の広場はもう堀江フィーバーである。
ちょっと貴重な足湯ショット。左から堀江君、僕、二宮さんである。
さて次は二宮さんの講演会である。そこに堀江君を招いての対談懇親会という感じであった。
びっくりしたのだが、愛媛県での二宮さんの知名度は無茶苦茶高い!愛媛出身の有名人のなかでもインテリだしスポーツだしカッコイイので、当然と言えば当然だが、各界のお歴々が二宮さんの後援会に名を連ねているようである。
この懇親会でホテルの中華料理とか寿司とかでて、大したこと無い料理なんだけどまたバクバク食べてしまった。
「あー 山本さん、そんなのでお腹一杯にしちゃダメだよ、これから三崎の旨い魚たべにいこうよ!」
という二宮さんの号令で、またもや移動!三崎というのは愛媛県の南側、南予の漁港である!その三崎から直送の魚が食べられる店があるのだ!
■三崎漁師物語り
この店の刺身が凄かった!
関サバや関アジとほぼ同じ漁場で揚げられる岬(ハナ)サバや岬(ハナ)アジを、「なんじゃこりゃぁああ」と叫びそうになる厚切りで供するのである。
これは太刀魚の刺身。ものすごく甘くて旨い!
岬アジ。分厚い切り身を観てくれ!
そして岬サバ。これもすさまじい厚切りである。刺身というよりぶつ切りだな。
そしてこれも名物の伊勢エビ。トロントロンの身肉が旨い!
海老の味噌も濃厚なウニみたいな味で旨い!
ホテルの料理のつまらない寿司を13貫たべちゃったんだけど、それでも寿司はどんどん腹に入ってしまう!
そして〆は鯛茶漬けである。
胡麻をまぶした鯛の身に土瓶にはいった出汁を注ぐ鯛茶漬け、まずかろうはずがない。旨い!
この他、岬アジやキンメの干物なども食い漁ったが、15人くらいのテーブルの中で、二宮さん、堀江君、僕のテーブルだけが凄まじい勢いで目の前の皿を消費していた!
みよ、この手の伸ばし具合!
「いやー喰った食った、、、」
「食い過ぎだよ、山本さん!」
もうこれ以上ははいらん! 実はこの旅のメインイベントは明日である。そう、じゃこ天をめぐる冒険の本番が待っているのである、、、
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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