梨茄子の説明部分を一部修正しました。
過去3回のオフ会において、二回以上参加したことがある人は一人しか居ない。それは新潟在住のJINである。なんと僕と同じく青果物の流通の仕事をしている。新潟の市場にて仲卸をしているのである。オフ会のために新潟からわざわざ上京し、翌日も僕のエントリに掲載された店で食い倒れしながら帰っていく、笑顔の可愛いニクイヤツである。
競争率が高かった第二回の無二路に来てもらったのは、彼が新潟の大地震に被災した経緯があり、そのお疲れ様の意味も兼ねていたのだ。そのJINから、茄子を送るという連絡があった。
約束していた長岡巾着ナスもある程度の量も出てきて、来週には送ることができそうです。まだ生り始めぐらいで正直実の締りが?ですが、大玉で良い物が出て来てます。巾着ナス作りの名人の○○さんから聞いたのですが、今はまだ生り始めなのでわざと大玉に作っているとのことで、最盛期の頃にはナスの樹も疲れてくる為、通常サイズくらいで収穫するとか。その頃の実の締まった巾着ナスも、時期が来たら他のナスと一緒に送るので食べ比べてみてください。
その○○さんのところに今年、料理の○人の○○○○さんからオファーが来たそうです。長岡巾着ナスを食べてみて「これは旨いナスだ。是非使ってみたい」って。
まあ正直、賀茂ナスなどで主流の水分が多く実の柔らかいナスと違って、水分が少なく実がしっかりしたナスなので評価は別れると思いますが・・・。
実は新潟は茄子王国である。以前も書いたと思うが、東北でも山形・新潟は茄子に関する美意識が、全国でも飛び抜けて高い。山形県には、初めて上京し、関東で通常売っている長ナスを見ると「あれ、なんで獲り遅れた茄子をこんなに売ってるんだ?」と思う人が少なからず居るそうだ。当然品種も多く、小ナスの段階で浅漬けにして楽しむことが多い。
そしてもう一つの茄子王国が新潟なのである!
新潟といえば実は大根でも地大根が多いことで有名なのだが、茄子に関しても、村が違えば
違う品種があると言われるほどに様々な品種に彩られているのだ。食べ方も浅漬けに始まり、田楽、焼きなす、蒸しなすといろいろなものがある。
さて今回JINが送ってくれたのは、彼の地元である長岡市の地品種である巾着(きんちゃく)茄子と梨茄子の二つだ。
巾着茄子とは、その名の通り巾着袋をキュッと絞った時のようなシワが果肉に寄るところから名付けられた、大型の茄子だ。
ヘタを下にするとこんなふうに巾着袋状のしわが寄っている。かなり手にずっしり来る大きさ・姿形である。
対する梨茄子は、洋梨のような形状と、甘みの強い果肉からその名が由来している。
一度品種として絶滅しかかったという記述をしましたが、品種違いでした。失礼致しました。
艶々とした果肉が美しい! この紫色はナスニンという色素による。一番手前の茄子を見ると、ヘタの下に色がまだ着いていない部分がみえるだろう。これは、太陽光にあたり色素が生成される速度よりも、生長が早いためにタイムラグで色づいていない部分が出てしまうのである。つまり成育旺盛の証拠だ。
写真でも見られると思うが、トゲがツンツンと飛び出ていて、手に刺さるくらいだ。そう、地茄子ってそんなものなのだ。
さてJINによれば、実は長岡では焼きなすにはあまりせず、巾着茄子は「蒸かし茄子」に、梨茄子は浅漬けにするそうだ。
長岡巾着は地元じゃ、終わり頃の皮の堅くなったものをカラシ漬けにする以外は、あまり漬けものにもしないっすね。もっぱら「蒸かしナス」にして食べます。1.半分に切り、皮を剥く。(皮は剥かなくても可)
2.水に5分ほど晒し、あくを抜く。
3.15~20分蒸す。竹串がすぅーっと通ればOK。
4.蒸しあがったナスを縦に幅8mmくらいの厚さに切って、からし醤油または、生姜醤油をつけて食べる。他にも味噌炒めや汁物に煮物他、色々試してみてください。長岡巾着には新しい調理法が必要ですから。
でも巾着ナスっていっても、たぶん想像しているとはまったく別物かもしれません。何年か前のビールのCMで中山○穂が食べてたものは、ここら辺じゃ巾着ナスとは呼ばないっすから。
なるほどぉ!
ということで巾着茄子は蒸かし茄子にすることに決定である。
もう一つの梨茄子は浅漬けなのだそうだ。
梨ナスも今日入荷がありましたので一緒に送っときます。長岡で梨ナスは主に浅漬け用に食べられていますが、炒めたり揚げ浸しにしても旨いです。レシピを一応↓
梨ナスの浅漬け
<材料>
<作り方>
なす…300グラム 水…400ミリリットル
食塩…16グラム 焼きみょうばん…0.5グラム
昆布…5センチ角
1.なすを水洗いし、塩とみょうばんを混ぜたものの半量をかけて3~5回かき混ぜる。
2.容器になすを入れ、残りの塩とみょうばんを水に静かにそそぎ、昆布をのせる。
3.1キロのおもりを乗せ、冷蔵庫に入れる。
4.6時間後におもりを半分に減らし、その半日後さらに半分にする。
よし、こちらは早速に浅漬けである。すぐさまミョウバン等を調合し、ボウルに漬けることとした。実際にはこれ↓に重しを載せている。
ちなみにこれが二つの茄子の断面である。
梨茄子の方が図体が小さいせいか、ミッシリと果肉が詰まっている。
JINが言うように、最近人気の水茄子のように、フワフワしてジューシーな果肉とは反対で、ミシッと果肉が詰まった感じがするのが新潟茄子の特徴と言えるだろう。その分非常に果肉の味が濃く、旨味も濃いのだ。
巾着茄子の果肉はこちらだ。
種子の詰まった心室が綺麗に分かれている。まだ最盛期とはおえないということだから、もう少し時期が過ぎてからのが本領発揮ということだろう。
我が家にはろくな蒸し器がないので、今晩にむけてどこかで調達することにしよう。蒸し茄子と、浅漬け。最高に旨そうではないか!食べたらレポートしますね。