やまけんの出張食い倒れ日記

絶品ヤンニョムで食べる名物焼肉店が京都・一乗寺にある! 焼肉 「いちなん」で嬉しい夜を過ごした!

 どうにも気になる人、というのがいるものだ。孫さんはそんな人だった。今年の初めに企画された静岡でのオフ会に参加を申し込んできた人の中に「京都から参加したいです!」という人が居たのだ。いやさすがに京都からってのはなぁ、、、と思っていたのだが、、、しかし残念なことにオフ会は、主催者であり駿河若シャモ振興会の会長であった鈴木恵美子さんの急逝により、延期となる。
 そしてその後、この京都からの申込者である孫恵文さんから、「ぜひ味見をしていただきたい」という連絡と共に、自家製キムチとヤンニョム(韓国の辛い練り味噌)、ベーコンと焼き菓子が送られてきた。

「京都で小さな焼き肉屋をやっています。」

とあったのでなるほどと思ったのだ。送られてきたキムチは、やや甘めのヤンニョムで漬けられている感じ。これはおそらく焼き肉に合わせると最高のパフォーマンスを発揮する味にチューニングされているのだろう。旨かった。

そして一緒に入っていた、真空パックされたベーコン塊がまた秀逸だったのだ!この時写真を撮っていないのが悔やまれる。「生肉じゃないの?」と思うほどに生々しい生ベーコン。「冷燻だな」と少し薄めに切って口に運ぶと、まるで生ハムのごときネットリとした舌触りに、薄目の絶妙な塩加減だ。

「う、旨いゾこれ!」

とベーコンエッグ丼にして食べ、パスタにのせて食べ、と瞬く間になくなってしまった。

「こんな本格的な冷燻ができる設備を持った焼き肉屋なのか、、、」

冷燻とは、熱をかけないでじっくり燻す燻製方法だ。僕の過去ログで燻製(ハム・ベーコン)のエントリが多々あるが、これらは全て温燻といって、煙で燻す時に同時に熱をかけて肉に火を通す方法だ。対して冷燻は、熱源は肉に当てず、煙だけを煙突などで誘導して燻煙するので、このようなネットリした生肉味が残る。

「この人、タダモノではないな。少なくともすんごい食いしん坊だ。」

Webを検索してみると、あったあった、「いちなん燻製工房」。

■いちなん燻製工房
http://www.ichinan.com/shopping-online.html

燻製製品や蒸し豚など、旨そうなのが買えるではないか。ということで、ソーセージ、蒸し豚、ベーコン、カレーなどいくつか発注してみたのだ。

はっきりいって悶絶!全部無茶苦茶に旨かった!ベーコンの旨さはわかっていたが、繊細な味わいのウインナーが激烈に旨い。無二路からもらったクラテッロを食す会のパーティをした時にこのウインナーを焼いて出したのだが、「美味しい!」と瞬く間に15本くらいが消えていった。

そして絶品だったのが、蒸し豚である。

蒸し豚なんて自宅でも作れるんだけどな、でも切るだけでパーティに出せるから買ってしまおうという横着心で買ってみたのだが、一切れ食べてみて、自分の失礼千万な思い上がりを正すことになった。激ウマなんである。豚肉臭さが全くないのに、豚の旨味はきっちり残っている。そしてゼラチン質プリプリの皮が付いた蒸し豚なんである!これをスライスし、一緒に買ったチョジャン(唐辛子酢みそ)をつけて食べると、もう死にそうになるほど旨いのだ!

これでもう僕はいちなん燻製工房にどっぷりやられてしまった。こんなのを作る人の焼き肉の店が美味しくないわけがない。

「いずれ、京都に食べに行こう!」

そしてもう一つ。孫さんは、これらの肉製品を送ってくれる時に、「友人がお菓子を焼いているので」と同梱してくれた。

これもまたまさしく絶品なのである!

ガトーショコラがあるなぁ、と思ったら、デカイ栗が入っている。大ぶりに切って口に運ぶと、さっくり焼き上がった部分とチョコレートの生っぽさが残った部分のコントラストが見事である。そして、栗の直下にはチョコ塊が仕込んであり、カリッとした食感に突き当たって口が喜ぶのだ!

しばらくの間、ガトーは代々木上原のカストールにとどめを刺すと思っていたが、こういうやりかたもあるのだな、と感じ入ってしまった。

それ以外の焼き菓子も絶品。味の決まり方、焼き加減、整形の精緻さを観ても、どう考えてもプロか、10年以上、日常的に焼いてきた経験がないと到達しえないような味だったのだ。

しかしこのケーキ職人さんの名前やバックグラウンドを、なかなか孫さんは教えてくれようとしなかった。

「この方もやまけんファンなんですが、趣味で焼いているだけで販売はしない方針なんですよ、、、」

ますますつのる謎!一体どういう人なんだろうか、、、
何度か見事なお菓子を送って下さる中で、なんとその方が、先頃の僕ら夫婦の披露パーティ用にケーキを焼きたいと言って下さったという。是非お願いしたいと言うことでなんとか本名と連絡先を伺った。

その松下さんのフルーツケーキは、洋酒を一杯に染みこませたパウンドで、無茶苦茶風味豊かにして絶品なものだった。披露パーティで出したケーキはカストールのガトーショコラとこの松下さんのケーキの二種で、もちろんのこと超人気を博したのである。

時は満ちた。
このお二方に会いたい!

「京都に遊びに行こう!」

ということで今回、京都での夜が企画されたのである!
焼き肉「いちなん」と松下さんにお会いする旅である。そしてそれはやはり超食いしん坊の会になったのであった。

(続く)